※アメブロのコピーです
電子制御オンパレードで空力チューニング不完全の2012製トヨタiQを、如何にして攻略してAir Repair iQとして完成させたか?全てを明かさないまでも少しだけヒントを明かしたいと思います(^_-)
まずは1986年のGr-B最終年のモンテカルロラリーから・・・
Gr-Bは当時の競技車両の考えられる事全てが凝縮されたマシンです。
900kg以下の車体に500Hpのパワーユニット。4WD、ミッドシップ(AUDIはFrエンジン)、過給機、パイプフレーム、軽量外板構造、電子制御はECUのみ。過給機付エンジンの場合は排気量がレギュレーションから1.8L少々・・・
常時駆動の4WDは基本的に3つのデファレンシャルが必要です。カーブの際の前輪と後輪個別の距離の違いを埋めるデファレンシャル。前輪側と後輪側の距離の差を埋めるセンターデフ、ですね。
で、競技車両の場合は一輪の駆動力が無くなれば無限の差動が起きてしまうデファレンシャルギヤ構造では具合が悪いのでLSD(リミテッドスリップデフ/方式は数種類あります)が組み込まれます。
この動画の中では、4WD勢がタイトコーナーでサイドブレーキターンを決めているシーンはありません。今はできるのに何故?それは当時黎明期だったフルタイム4WDゆえに、サイドブレーキを利かした瞬間に一瞬センターデフのLSDをフリーにする機構が備わっていなかったからなんです。
それからGr-Aになりその進化が進み今のWRカーになったんですね。同時に電子制御技術が進み、チューニングの方法も考え方も当時とは違うパターンになってきています。ラリーの世界の技術が市販車にフィードバックされるのは周知の事実で、この1986当時のまんまの考え方では今の車は触れません(かといって知らないのも×)。
私が競技で乗ってきたGC8インプレッサA4車両のセンターデフはサイドブレーキを引くとフリーになる構造が装備されていました(市販車世界初)。後にレギュレーションが変わりランサーエボリューション9MR:N4車両の場合はサイドを引くとセンターデフがフリーになるのは当然としてその他の機能がECUによってコントロールされるようになりました。
そのコントロールとは、ステアリングの舵角と操作スピード、ブレーキの掛け方によるGの変化、スロットルの開度、全てをセンサーから情報をECUから読み取り、4WDの前輪後輪のパワーの配分(パワーの出具合で前後のLSDの効き方に変化あり)がコントロールされるのです。
これを手なずけるにはそれなりの勉強と練習とセッティングが必要になります。ブレーキパッドの特性(前後で変えるのは愚の骨頂くらいの間違い)、サスペンションのストロークを含めた硬さや減衰特性、機械式LSDのセッティングですね。あとは細かいところで言えばバッテリー能力を考える事(これはセンターデフを作動させる油圧ポンプがモーターなので作動中は電圧負荷が大きく燃料噴射ポンプへの電圧が下がる方向になるから)。
長くなりましたが・・・
やっとiQの話に移れる・・・
iQにはS-VSCが組み込まれています。その制御は私の走り込んだ感覚で言えば(トヨタさん関係でこの辺りの事を教えてくれる方は出会っていません)、ほぼランサーエボリューションCT9A系と同じ。
なので、古くから言われているシャコタンは良く考えなければS-VSCが早期に介入するようになります。4輪のうち1輪でもグリップ力が下がったとECUが判断すると制御を与えますから。これはブレーキセッティングでも同じ。また、素早いハンドルさばきによってグリップを失っても同じように制御が入ります。
パワー関係だと、海外で最初に売り始めている車種なので日本的に言えばハイオクの車。だからレギュラー仕様になっている時点で無理があるのです。また、圧縮比が11以上と高くて、これで正常な燃焼を行おうとするとエンジン側でボアを小さくし火炎伝播距離を短く、そして点火時期を遅らせるようにしなければなりません。
iQの電子制御は結構絡んでいる上に複雑なので、これを否定するとどうにもならないのです。如何に仲良く制御とお友達になるか・・・
詳細は書けませんが、そこなんです。機械的な特徴に対し、制御がどのように関わっているかを理解し、そのレベルを上げていく、それが私の考え方なんですね。
Posted at 2021/01/12 11:38:23 | |
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