エアスムーサーは一種のサクションBOXです。容量の大きなエアクリーナーケースの中の空気を邪魔するものなく一気に吸い込める事でトルクレスポンスの良いパワー特性が得る事ができます。また、オープンタイプと違いエンジンルーム内の熱気の影響を受ける事が極小なので吸気温度による補正値エラーが発生しにくいのです。
エアフィルターは純正と同じ位置に付きますが、フィルター以降の空気を均一化して吸い込むために吸気抵抗となる吸入空気速度(吸入負圧)が均一化される(=分散化)ために低くなり空気の濾過抵抗(圧力損失)が小さくなるのです(エレスタビエアフィルターにすればより効果的)。
このファンネル、大まかの形は私の設計図面をベースに協力加工工場で製作して頂いています。しかし、私の設計図面通りの製作は不可能であるために、最後は私の手作業によって削りこまれ、磨き上げられて写真のようになるのです。
そして、これを接着剤を使わない熱嵌合方式でエアクリーナーケースに装着して、エアスムーサーとなるのです。
他社様の事は存じませんが、エアファンネルは空力の基礎、流体力学の基礎を理解してなければ設計できません。
ファンネル(funnel)の意味は”漏斗”。ものを集めるものですよね。エアファンネルとは空気を集めるもの。
この吸い込み口の形状と口径、ファンネルの曲率は欲しいとする目的によって変わります。詳しく書くことはできませんのでお許しくださいね。
とりあえず明かせる事としては、エアスムーサーの計算は最大トルク発生回転数付近で約1秒間スロットル全開にした時にノーマルの二倍の空気量を得る事を想定し計算して設計しました。
設計するにあたり基本的な事として
・体積流量(m3/s)=断面積×平均流速
・質量流量(kg/s)=密度×体積流量
を知っておかなければなりません。
自動計算させるWEBページもありますが、口径を導き出すためには自動計算ソフトを使ってはできないので自分自身で公式を変形させる必要があります。
また、流体は仕上がりがスムーズであればあるほど壁面に沿うように動く特性があります(最小値での壁面は速度0、これが原因で反転流→渦→剥離乱流生成)。
この悪癖を抑えるパーツがturburator(ボルテックスジェネレーター)であり静電気除去なのです。
曲率は私の完全な計算ではなく、NACA翼型モデルのいくつかから条件にあう翼型の上弦の形状を引用しました。
エアファンネルは吸気を乱流から層流にする役目があります。吸気を加速するんですね。
この境界層σは層流境界層で層流となった流れの事です。ちなみにFORTEで静電気除去を行うと境界層の壁面に近い部分の速度が増すために有益な流路面積を得る事ができるのです。またその事で助走区間が短くできるので空気流量を増やす事ができるのです。
層流に対して乱流の場合の非効率さを表したイメージ図がこちら・・・
エアファンネルと燃料噴射装置の動画
1996年式アルファロメオ155V6TI DTMレーシングカーの2.5L V6レーシングエンジン
高回転仕様に合わせたファンネルの長さとレース専用燃料噴射装置の位置関係が解りますよね♪
エアファンネルの形はそんなに複雑ではない部品なのですが、実はエンジンの出力や特性に大きな影響を及ぼします。サクションBOXとなった場合にはBOX容量も重要となります。
エアファンネルは単純な形だけのものではない事をご理解頂けたと思います。
以前にも書きましたがturburatorについては再度機会をみて書きたいと思います。
Posted at 2021/12/13 16:04:36 | |
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