インジェクションが主流の昨今の原動機・・・
粗っぽい言い方をすると原動機1(カルノーサイクルやディーゼルサイクル)は、化石燃料が主である炭化水素が酸素と結びつく酸化による発熱を源とするガスの断熱膨張する圧力をピストンで受け止め、その力をコンロッドとクランクで回転モーメントを生み出す装置の事。
燃焼には3つの条件
1:良い燃料(炭化水素)
2:良い空気(酸素)
3:良い火花
があってそれをいかに作る事ができるのか?これが最低限のポイント。
そして、次に重要なのが刻々変化する燃焼条件下での燃料と空気量の制御。点火時期のタイミング、カムのオーバーラップ時間や圧縮比などエンジンの特性までもが絡んでくる運行制御。
全てを説明しようとしたら週一で半期くらい必要なので、今回はインジェクションについて・・・
理想的な燃焼を促すには、空気の分子と燃料の分子ができるだけ細かくきれいに理想比率で混ざり合っている混合気が必要になります。
キャブレターはベルヌーイの定理が元となる気化装置で空気が狭い流路(ベンチュリ)を流れる際に引き起こす負圧によって吸い上げた燃料が高速で流れるベンチュリの空気によって霧化する現象を利用した物です。
この燃料供給室の方式によって、ストロンバーグ、ゼニス、SU、ツインチョーク(ウェーバー、SOLEX他)などがあります。
ただ、キャブレターは原動機によって生み出される負圧に影響されるので制御は限定的なものになってしまいます(ただし、運行条件が揃えばコンベンショナルな分信頼性は高い)。燃料を送り込む燃料ポンプの量は燃料消費量にも関係してくるので強制的に圧送するような考え方は運行条件を加味しながら・・・
そこで次世代として生まれたのが燃料噴射システム。インジェクター(霧化装置)から強制的に燃料をインマニ、インテークポート、気筒筒内に燃料を噴霧することによって今までより理想的な燃焼速度や、燃焼温度をえるように考えられたものですよね。
本当はこれだけでもかなりの時間が説明に必要なのですがそれはひとまず・・・
キャブレターの時代と違って今どきの燃料噴射装置は常に一定ではないのです。要求される燃料の量(燃圧にも関係)も一定ではないのはご存じの通り。
それはエンジンコントロールユニットに繋がる各センサーからのデータ(酸素量、二酸化炭素量、スロットル開度、エンジン回転数、水温、気圧、吸入温度等等)で随時演算処理されて随時指令されています(CAN制御)。
で、意外に忘れられているのが燃料噴射タイミング。いくら綺麗に燃料を混合帰化して噴霧したとしても燃料噴射タイミングにずれがあると点火タイミングのズレと同じように綺麗な燃焼状態を作ることが困難なのです。
高回転になれば混合気の慣性力も考えないといけないし、機械的な能力(運動スピード)も考えなければいけない。低回転で1行程あたりの爆発力を求める場合にはそのような制御をしなければいけないのです。
高回転領域になると燃料噴射タイミングと噴射時間と量がずれてくる・・・
余談ですが・・・
2ストロークは1次圧縮と燃焼が同タイミングで起きる事、吸気と排気が同時に起きるために吸気と排気バルブがありません。そのかわり、ピストンの上下動タイミングにより排気ポートと吸気ポートの位置関係と面積によってそのバルブの代わりとしているのです。
この高速向けポートタイミングを普段領域でも使えるように工夫されたのがクランクケースリードバルブ、そしてポートリードバルブ、ロータリーバルブ。そして次にポートタイミング制御のYPVS(Yamaha Power Valve System)等の排気デバイス。
Posted at 2022/05/04 17:01:12 | |
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