ご紹介したい動画があります。
ヨーロッパ・ヒルクライム選手権に参戦するFFのVW Golf Mk1、550馬力超というスペックを誇るマシンです。
普通なら「FFでそこまでのパワーをどう制御するのか?」と思うところですが、このマシンの動きは驚くほど素直で速い。
その理由はFFに必要な空力処理を徹底しているからです。
FFに求められる空力必須条件
FFは前輪が「駆動」と「操舵」を両立します。
そのため、空力の役割は特に重要になります。
・タイヤ後流の整流:接地の安定を保つために欠かせない。
・フロント荷重を保持:ブレーキングやターンインでの安定性を確保。
・リアは姿勢のダンパー:過度な押さえ込みではなく、安定を与えるだけ。
・乱流の固定化:渦を制御することで挙動を素直に。
Golf Mk1が“踏めるFF”として機能しているのは、まさにこの条件を満たしているからです。
危機を救ったAir Repair iQ
ここで一つ、5年前の体験談を。
高速道路のジャンクションで突然、メルセデスG(恐らく230?)が無理な割込みを仕掛けてきました。
進路は塞がれ、一歩間違えば側壁に激突する危険があったほどです。
とっさにスロットルとステアリングを合わせてかわし、事故を免れたのは、
・自分のドライビングスキル
・当時すでに導入していたAir Repair iQのスタビリンクとトーションビーム共振対策による姿勢安定
・空力処理の基本形によるブレーキング〜ターンインの素直さ&高速の伸び
これらが合わさった「総合力」のおかげでした。
もっとも、この時点ではまだMINICONはPROのみで、CAN制御改善のカーボンナノチューブペースト処置も未導入。ホイールも16インチ仕様で、微プリロード思想も形になっていませんでした。
つまり今より一歩手前の仕様だったわけです。
危機を脱した後の怒りもあって、R80程度のコーナーをアウトから踏み抜き、Gを抜き去り、その後の直線で徐々に引き離し、最終的には視界から消えていきました。
まとめ
「FFに空力は要るのか?」
答えは間違いなくYESです。
それは速さのためだけでなく、危機を事故にせず切り抜けるための力にもなります。
5年前の時点でも方向性の正しさは証明できましたが、今ではCAN信号処理の改良、17インチ化、微プリロードの導入によって、さらに次のステージに到達しています。
Air Repair iQで積み重ねてきた知見は、将来のパイクスピーク参戦車両にも直結していきます。
GRMN-iQを超える、Air Repair流のFF空力チューニング。その方向性を改めて確信した出来事でした。

※このエピソードの時の仕様は2019Cronosalate in HACHIKITAでクラス優勝した時の仕様です
Posted at 2025/10/04 09:21:11 | |
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