ガソリン車やディーゼルエンジン車のような化石燃料車は、燃料と酸素を混合させた混合気を燃焼してエンジンを動かしています。
混合気が燃焼し、ガスが膨張するエネルギーを機械エネルギーに変換するのが、エンジンの役割です。
厄介なのは、気温や湿度や気圧、それに運行条件によって、エンジンの求める理想的な条件が変化刻々と変化している、という事なんですね。
代表的なのが、混合気の空燃比(燃料と空気の混合比率)や点火時期、バルブを動かすカムのタイミング(説明するにはスペースが足りないので割愛させて頂きます)です。
昔はキャブレターという気化器で混合気をつくり、ディストリビューターという分配器で火花を起こすプラグに、電気エネルギーを分配していました。このディストリビューター部分で点火時期の調整を行っていたんですね。カムに関しては、カム自体の作動角は要求されるエンジン特性によって決まっていました(カム駆動用ギヤの調整でバルブタイミングの微調整は固定ですが可能でした)。以上のように、あまり運行条件に対して自由度がなかったんですよね(それが今でいう味という部分なんですが・・・)。当然ながら圧縮比も関係してきます。

※トヨタ2TGエンジン(設計生産/ヤマハ発動機)
それが今ではECU(コンピューター)の制御によって、燃料噴射装置(気化ではなく霧化)、点火時期、バルブタイミング(作動角に関してはVTECのようにカム自体が切り替わるメカニズムを持つものもあります)を常時同時変化させる事が可能になっているんですね。
ECUの制御にゆだねるという事は、ECUの演算速度や指示信号&受信信号の質が大事になってきます。ECUチューニングというものが巷では常識的な言葉で言われているのですが、ECUチューニングは制御の設定値を変える手法ですよね。ですから演算速度や信号の質とは関係ないものと私は考えています。
ECU制御はECUの能力以外に、入ってくる情報信号と演算後に発する指示信号の質が大切です。ここが弱いと正確な演算ができないし、正確な命令出力が出来ないのです。
私が行う電気系チューニングはECUの演算を助けてやる、すなわちエンジンを制御するための受ける信号の質、そしてそれを補器に命令する指示信号の質を上げてやるという内容なのです。そのためには何が必要なのか?という事ですね。
カーボンナノチューブを使った接続部の通電条件の向上、エレスタビヒューズを使う事による指示&受信電圧電流の質の向上があげられます。
今回のブログのお題ですが、混合気に関してです。前述しましたが、キャブレターは一定の条件下でしか能力を発揮する事が出来ません(調整機能はありますがECU制御の比ではない)。
ECU制御の車は、O2センサーとエアフロセンサー(負圧センサー方式もあります)からの信号を基に、その瞬間の空燃比を決めてそれに合った燃料噴射関係、点火時期関係、バルブタイミング関係への指示を行っているのです。
(O2センサー側の対策は管内は高温ガスが流れるために、カーボンナノチューブを使うセンサー信号出力ロス対策で対処)
そしてエアフロセンサーというセンサー部品は、吸った空気の量を計測します。このエアフロセンサーという部品。吸気配管の中に飛び出しているんですよ。そして考えられるのが吸気配管内の空気流のスピード。かなり速いです(これまた書ききれないので割愛
)。

※真ん中の楕円をエアフロセンサーと考えて考察
ということは、境界層の生成や乱流が起きている、というという事は充分考えられるという事ですね。そうなると、物理的に正確な空燃比の検出は難しいのでは?と考えられるわけです。
私はこの乱流境界層を薄くする事を行えば、より正確な空燃比計算ができるはず、と考えてFORTEの処理をエアフロセンサーに行っています。初めて施工した時のテスト&セッティングでは”こんなにも変わるものなのか!”というくらいMINICON-PROの設定値が変化したのです。そうなれば馬力とトルクの特性も変わりますよね。
でも私だけではなく、そこに気が付いたメーカーさんが実はありまして・・・
はい。J-ROAD/シエクルさんです。当社では一番使っている商品のメーカーさんですよね。
J-ROAD/シエクルさんの方法は、センサー部分に後付け整流板(商品名レスポンスブレード)を装着して、この部分の流れを変えようとするものです。
私、当初はJ-ROAD/シエクルさんの方法については”なるほど”と感心したのと、FORTEの処理方法とは対極する別の方法という認識で、私としては気にしていませんした。
しかし、認識が変わったのが英国のiQオーナーに使って貰った時のパワー。他のチューニング方法も併用しての話なのですが、シャーシダイナモで127BHP(日本でいう130馬力)をマークしたのです。FORTEは海外に送れないので、その代替策としてレスポンスブレードを送ったんですね。
実はAir Repair iQの出力特性に対して、僅かに気になる部分があったんですよ。そこを解消するのに使えるのではないか?と思ってたんですよ。そして英国からの結果報告から、試用してみようと決断したのです。

※レスポンスブレード:これをエアフロセンサーに装着します
ただエアフロセンサーに取り付けたのでは、既にFORTE処理を行いセッティングしているAir Repair iQに対しては、良くないと思い、装着後にレスポンスブレードを装備した状態でFORTE処理を行いました。

※処理組み込み途中

※装着(カプラー部にはカーボンナノチューブペーストを忘れずに)
装着後ですが、やはり変化がありました♪
ブリッピング時のレスポンス(吸入空気量のピックアップ時間)が変ったのです❤
数日後に基本セッティング作業を行いました。


空燃比のセッティング数値が結構変わりましたよ!
MINICON-PROで以前は+側だったのが、なんと初めてのマイナス側に!
吸気流量がかなり増大する、エアスムーサーを使ってこれですから・・・
(実は自然吸気エンジンの場合、理論混合比よりも燃料が僅かに薄い方が馬力は向上するのです)
セッティング作業はしばらく続きます。最終決定数値はどのようになるのか?今後のセッティング数値やAir Repair iQの性能変化が楽しみです。
ECUセッティングはECUのプログラムを触るだけでは足らないと思うのです。
ECUの演算処理は、センサー、通電状況、補器類の状況など通信に関係する部分全てが関係するのですよね。
私は混合気のセッティング一つについても、キャブレター等等のアナログ時代でのセッティング以上に、広く細かな対処が必要になっているのが、今の電子制御車だと考えているのです。
Posted at 2024/08/30 10:55:20 | |
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