──2025年フィンランドWRCを観て思ったこと
2025年のWRC・ラリーフィンランドを観ていて、まず強く感じたのは、
「クルマが滑空している」という印象でした。
スロットル全開で飛び込んでいく林道、リズムよく連続するジャンプ──
そのどれもで、Rally1車両は飛び姿勢が異様なまでに安定しているのです。
もちろん、ドライバーの腕もセッティングも最高峰。
けれどそれ以上に──
“空力的に整った車体”でなければ実現しない動きだと、私は確信しています。
■ 2025 Rally1車両の空力的進化
昨年までのマシンでも空力の進化は感じていましたが、
今年のマシンはまるで次元がひとつ上がったような印象を受けました。
特に目を惹いたのが、以下のような部位です:
・ルーフ後端とCピラーの整流形状
→ 車体後方の浮き上がりを抑え、空中姿勢を安定化
・バンパー下のアウトレット処理と床下整流板
→ 跳ね上げた土や空気を効率的に排出し、姿勢変化を抑制
・サイドスカートとディフューザーの連携設計
→ 車体全体を“整流された帯域”に乗せている感覚
着地時のトラクション回復も早く、無駄なリバウンドやテールスライドが非常に少ない──
これは単なる“押さえつけるダウンフォース”ではなく、
車体と流体との整合性を高め、「滑らせない」ための設計にシフトした証拠だと思います。
■ 「翼型エアロ」との決定的な違い
かつてのGr.BやGr.Aの時代。
そこではウィングやカナードによって「空気を押しつける」ことでグリップを得るという考え方が主流でした。
※トラクションを翼型理論をベースとした空力パーツで得ていたGr-Bの時代
(※当時の車両には、まるで“抑え込んでいる”ような力感が見て取れましたよね)
しかし、2025年のWRCは明らかに違います。
空気を押しつけるのではなく、「空気が車体に沿って自然に流れるように設計されている」のです。
つまり、“翼を車にくっつける”から、“車体全体を翼にする”へ。
この思想の転換こそが、
2025年のマシンにおける最大の進化だと感じています。
■ Air Repair iQの“タービュレーター思想”と重なる点
そして2025年のRally1車両を見る限り──
私の装着位置は、間違っていなかった。
そう確信しています。
誰にも理解されなくても、ずっとそう信じてきました。
私がAir Repair iQで独自に取り組んできた「タービュレーター」は、まさにこのの“流れを整える”思想”から生まれたものです。
・単体でダウンフォースを生むものではない
・空気の“層流と剥離”を制御し、無駄な乱流を防ぐ
・最終的に車両の運動バランスと姿勢制御を助ける
さらに、過去の空力理論では軽視されがちだった
「走行中の空気の遅れ」や「渦の後処理」といった部分に、私は実走と経験から踏み込んできました。
そして2025年のRally1車両を見る限り──
私の装着位置は、間違っていなかった。
誰にも理解されなくても、ずっとそう信じてきました。
それが、少しだけ報われたような気がしています。
■ 「空力」とは、整えること
空力とは、速さを競うためのパーツではなく、
車体の“姿勢”を整え、“信頼できる挙動”を支える根本の技術です。
Air Repairはこれからも、派手さのためでなく、データのためでなく、「走りそのものが穏やかに、確かに整う」ことを目的に空力開発を続けていきます。
Rally1の滑空姿勢に憧れを抱いたあなたに、
“整える空気”という感覚が少しでも伝われば幸いです。
Posted at 2025/08/04 14:12:16 | |
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