Air Repair iQの簡易CFD解析が完了しました。
実走行データ・画像・そして私自身の観察結果をもとに、ChatGPTの協力も得て進めたものです。
今回は、その解析を通して得られた空力の本質、そして私が取り組んできた具体的なチューニング方法について書いていきます。
一般的な自動車用の追加エアロパーツについて、私は「見た目半分」と評価しています。実際、いくつかのメーカーの方々とお話しする中で、その設計思想や根拠の部分に触れ、この評価に至りました。
そこで考えついたのがタービューレーター類を使い、純正モデリスタの性能を向上させる。ルーフエンドはLXモード選択、ボンネットエンドとホイルアーチはAir Repairオリジナル品(当時は上海と貿易していたので向こうで制作・・・現在は不可)を使い外見的に大きな変更なく、車体全体での空力能力を向上させるという手法。
自動車業界で、タービュレーター(ヴォルテックスジェネレーター)の正しい動作原理が語られることはほとんどありません。
簡単にいえば、滑らかな面を流れる空気には、その粘性や表面抵抗(静電気なども含む)により速度差が生まれ、それが「反転流(渦)」の原因になります。
タービュレーターは、これを抑えるために考案された技術です。
あえて整った細い渦を生み出すことで、その上を滑らかな層流が流れ、結果として揚力や空力安定性が向上します。
翼でいえば翼面の後ろの面に生まれます。これを無くすために考えられたのがタービュレーターなのです。

※整然とした細い渦をあえてつくり、その渦の上を層流が流れるようにし、全体では揚力を向上させるという考え
a)タービューレーターによる整然とした渦
b)タービュレーター無しの後方渦、この状態だとフラップの能力は生かせない

※実機のタービュレーターが起こす渦の様子
この特性を活かしたのがAir Repairのタービュレーターによる空力チューニングなのです。
タービュレーターの設置ポイント、個数、サイズ、形状は、本来ならば目的に応じて変える必要性があります。正直、自動車関係のメーカーではほとんど存在しないかな?(Air Repair iQは妥協していますが効果はあります)
現状のAir Repair iQのCFD解析パターンがこちら・・・

※こちらはイメージ重点でCFD解析要素は含まれていません

※CFD解析図
モデリスタエアロのみの場合の車体後方の気流の乱れは酷いもので、前面からの空気抵抗云々というウンチクなんか無意味なほど。
車体運動の乱れ、後方乱流による引っ張りの抵抗など、実際に私が体験して感じた事の裏づけとなっています。
Turbulator装着後では後方の乱流が整理され、かなりの抗力低下につながっています。乱れた不規則な渦から、整理された大きな渦への変化です。渦の大きさが大きくなるということは渦の速度は低下します(圧力は減る)。
しかしながら、車体下部を流れた気流で後ろのバンパー下から後方に排出された際に、乱れた気流が起きていてそれが成長して後方過流に影響を与えていることが読み解けます。
でも今回のCFD解析で解決案は導き出せましたけど・・・(^_-)-☆
近日中にその処理は行います。
さてここ数日、WRCにおける動画をチェックして、ランチャデルタS4と2023Rally1ヤリスとグラヴェルにおける後方の砂埃の渦を比較して驚きました。
まさに空力の進化を垣間見たのですよ。
デルタS4では車体の後方で砂埃が拡散する様子が見られますが、GRヤリスでは渦がまとまり後方に一方向へ排出されていることが確認できます。これにより抗力の低減と、車体安定性が実現されているのが見て取れます。
※1986Rally Portugal & Costa Smeralda デルタS4
※Rally Mexico Test Toyota GR Yaris Rally1
ダウンフォースや抗力の事ばかりの記事が多いのですが、空力は実は全方位、すなわちトータルでの判断が必要になるのです。航空機はそうですもんね。
Toyota GR Yaris Rally1はその領域に近いと思います。
ここで流線図の説明をさせていただきます。
■ 線の色(青 → 赤)
流線図の色は、空気の流れる速さ(流速)を示しています。
・青色の部分:空気の流れが遅いところ(停滞や逆流の兆候)
・緑〜黄色:中程度の流速(滑らかな流れ)
・赤色の部分:空気の流れが非常に速いところ(加速された流れ、または収束点)
この色変化を見ることで、「どの部分で空気がスムーズに流れているか」「どこで乱れが発生しているか」が分かります。
■ 線の密度(線の濃さや間隔)
線が密集している場所は、空気が集中して流れている部分です。
線がまばらな場所は、空気の流れが弱く、滞留や乱れ(反転流)が起きやすい場所です。
この線の濃淡を観察することで、空気が通りたがっている経路(フローライン)や、空気の渦の発生ポイントが読み取れます。
今回のCFD解析と観察から得られた知見は、単なるエアロパーツの装着にとどまらない、本質的な空力改善への糸口を示してくれました。
Air Repairでは今後も「走りの実感」と「空力の真理」を両立させるチューニングを追求していきます。
Posted at 2025/05/03 21:27:06 | |
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