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2015年05月19日

漱石を訪ねて...  江藤淳さんを悼む...

漱石を訪ねて...    江藤淳さんを悼む...

「漱石」を訪ねて...  


 あれは、数年前の穏やかな春の日、草原の木々や草花の優しさや肌を透けるような風を感じ始めた頃であろうか...


 かつてのMy BMW 530i M Sport ※ に乗って、向かった先は、「漱石」ゆかりの地、熊本...




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※筆者註:
BMWを知って最初に購入したのが、BMW 530i M Sport (直列6気筒3リッターNAエンジン搭載)。このエンジンは「シルキー・シックス」とも呼ばれていて、未だに根強いファンを持っている。このマシンで、福岡⇄横浜のロング・ドライブに行ったこと、落ち着いた走りの中にも、Sportモードにした瞬間、俊敏な走りのBMWの顔に変わる。このマシンに装着されていたホイールに魅力を感じていた。(写真は購入後、お祓いの為太宰府天満宮に行ったとき撮影)




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夏目漱石内坪井旧居 漱石記念館(熊本市中央区内坪井町4-22)



 第五高等学校の英語教師(1896年〜1900年)として、ここ熊本に4年間住み、6回の転居を繰り返し、この旧居が長く、1年8ヶ月家族と共に住んでいた。当時新婚であった漱石夫人鏡子さんと暮らし、長女筆子さんが誕生した思い出の家。

熊本大学五髙記念館(旧第五高等学校)





 書物を通してある程度の予備知識を持って行ったせいか、展示物の説明にも容易に理解ができ、楽しい、しかも有益な訪問となったことは言うまでもない。

 そもそも、筆者が「夏目漱石」という人物に興味を持ったのは、漱石の作品からと言うよりは寧ろ、この本からだった。多くの方々は、作品を読んで興味を持つのが一般的だが、漱石に関して言えば、筆者は逆だった..


出会った本は、『漱石とその時代』第1~5部 江藤淳著 新潮選書。

『漱石とその時代』第1部     1970年刊 菊池寛賞受賞、野間文芸賞受賞

    慶応三年の誕生から明治三十三年夏の五校時代まで。

『漱石とその時代』第2部     1970年刊 菊池寛賞受賞、野間文芸賞受賞

    ロンドン留学から「作家・夏目漱石」の誕生まで。

『漱石とその時代』第3部    1993年刊

    『我が輩は猫である』から職業作家になるまで。

『漱石とその時代』第4部    1996年刊

    『虞美人草『』『三四郎』『それから』『門』を経て明治の終わりへ。

『漱石とその時代』第5部    1999年刊(未完)    

    大正元年『行人』から『心』『道草』にいたる漱石の最晩年。


 この本が出版された当時は読まず、相当の年月が経てから読み始めた、そして読了。もともと筆者は「江藤淳」さん(故人)の考え方に共鳴するところがあり、いつかは読もうと思っていた本であった。


『漱石とその時代』は、漱石研究としての高い評価を受けている名著。著者の江藤淳さんは次のように語っている。


「十五年前に、『夏目漱石』を書き出したときから、私はいつか漱石の伝記を書きたいと思っていた。それはひとつは評伝というジャンルへの興味のためであり、より以上に漱石と、彼がそのなかで生きた明治という時代への深い愛着のためである」(第1部本の帯より)


 筆者も明治という時代にたいへん興味を持っているので、これまで様々な書物を紐解いているが、江藤淳さんの「漱石と明治時代への思い」に深く共感を覚え、この大作を読む切っ掛けとなった。読み始めれば、明治時代という近代化の大きな流れの中で、漱石が歩み、成長していく姿が自然に筆者の理解に溶け込んでいった。第1,2部までは、寄せる波が浜辺の砂に染み入るように読めていく... そして、最終巻は未完。正に、江藤淳さんの三十年に及ぶライフワーク。


 この本で得たものと、BMW530iに乗って、熊本の漱石ゆかりの地へ訪問したことが、二重、三重の歓びになった。筆者にとっては忘れられない良き想い出となっている...


江藤淳さんのこと...  そして、江藤淳さんを悼む...


 戦後日本の著名な文芸評論家で、小林秀雄の死後は文藝評論の第一人者とも評された。1998年最愛の妻を亡くし、その翌年妻の後を追うように自殺。享年66歳。ライフワークであった『漱石とその時代』は、数回を残し未完に終わった。また、妻の闘病生活を綴った『妻と私』を残した...


『妻と私』江藤淳著 文藝春秋


amazonの説明欄にこのような記事がある。

筆者この文章を読み、胸を打たれる...   心に深く染みる...


 「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し」。梅雨明け前の雷雨の夜、文芸評論家の江藤淳氏はこう書き遺して自裁した。昨年11月に最愛の妻であり、執筆活動を支えてきた慶子夫人を失い、今年6月には自らが軽い脳梗塞で入院するなど、心身ともに疲れ果てていたのだろう。読者に向けた「遺書」とも読める本書は、江藤氏自身が「どうしても書きたい」と望んだものだったという。


 入院中の夫人が昏睡状態から意識を取り戻したわずかなひととき、何気ない会話の中で著者は気づく。「慶子は、無言で語っていた。あらゆることにかかわらず、自分が幸せだったということを。告知せずにいたことを含めて、私のすべてを赦すということを。41年半に及ぼうとしている2人の結婚生活は、決して無意味ではなかった、いや、素晴らしいものだった、ということを」。評論家としての評価や名声よりも、慶子夫人と連れ添ってこられたことが、江藤氏にとって何よりも幸せだったのだろうと偲ばれる。

(日経ビジネス1999/8/16号)


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Posted at 2015/05/19 22:25:53

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