この間の雪の日はなかなかエキサイティングでした(笑)
仕事だからよほどじゃないとNOとは言えない・・・
実はFRタクシー車両のクラウン(コンフォート&スーパーデラックス)のリヤサスペンション形式はコイル式リジッドアクスルなんです。独立懸架じゃないんですよね。トラックやクロカン系SUVに使われている形式。
スタッドレスは履いていますがOD付3速トルコンでの発進はTRCオフではかなり困難でした。朝の八事の狭い丘陵地域のマンションには流石に100mほど残して登坂不能になりお客様には歩いて頂きましたよ(;´∀`)
コンクリート舗装の場所なので勾配のきつさを想像して頂けるかと思います。
帰りに方向転換する際、切り返しが勾配のためホイルスピンしてできない・・・
少し考えて、前輪は新雪の抵抗の大きい位置にある、頭は通常だと切り返さないと塀に擦る位置、しかし車両の向きは下り方向に斜め向き。
ならば前輪舵角をフルロック状態にして強めに後輪駆動を与えてホイルスピンさせてドーナッツの要領で車輛はその位置で車体だけ下り方向に向ける作戦。成功♪ スタックすることなく帰路につけました。帰りにホイルスピンしながらスタックしかかる小型パネルトラックを見かける。助けてやりたかったけれど助っ人も多くいたし私も売り上げのこと(ペナルティを受けているので)もあるので横目で
交差点を曲がる際には左足ブレーキ、瞬間パキ切りステア(瞬間的にやるとアンダー発生と同時に雪の抵抗でヨーモーメントが生まれる)を行いすかさずパワーオン。ステアリングを戻しながら0舵角状態の低速ドリフト。
この動きができるのはリジッドアクスルならではなんですね。LSDのないFRで結構なところまで操作することができましたよ(TRC はフル稼働です、切ると話にならない)。
そういや乗っていた40、60のラリー車セリカも4リンクではあったけれどリジッドアクスルだったよな・・・
硬くしまった波状路でも全開走行できたし林道の側溝に後輪の片側が落ちてもスロットルを踏み抜いたら道に復帰して走り続けられた・・・
LSDはOHはしたけれど今どきの車みたいにカム角、作動方式、イニシャルトルクに関してチューニングしたりセッティングしたりしなかった。
リジッドアクスルはコストダウン&質実剛健ばかり注目されていますがそれ以上に走破性に係わる部分での優位性があるんです。一番は対地キャンバー角の変化が両輪が同じ角度なために少ないということ(かわりにストロークや減衰値とバネレート、そしてバネの伸び縮みのストロークに対するレート変化、が重要になるんです)。
で、もう一つのポイントがデフ自身もホーシングと共にストローク&首を振るということ。これが大きな利点になるんですね。

※デフが一緒にストロークするのがミソ
米国のスーパートラックレースやBAJA1000で驚異的なトラクションや安定した走破性を見せる車両をみていたら究極のリジッドアクスルのセッティングを見る事ができますよね。この動きは4輪独立懸架では相当考えないと無理かも?
私がiQの足回りを煮詰めるにあたって考えた事。
当初はLSDそのものが存在しなかったのでイン側の車輪が空転しないようにすること。SVSCに関係するTRCが作動するとスロットルONできない。ならば沈み込み量を増やして沈み込みはブレーキングによりコントロールし伸びに関しての余裕を持たせるように・・・
Frストラットですがタイロッドエンドの位置関係で車高調だと良い作動条件が得られない(ストロークを短くしなければならない、バネレートをあげなければいけない、直ぐにインリフトするようになる、路面条件が悪いとそれが顕著)のでノーマル形状で減衰力とスプリングレート&特性に拘りました。
ブレーキングで後輪から先に沈み込ませる(これは2輪レース経験からの応用、ホイルベースの短いiQだから)ための4POTキャリパーとリヤブレーキ効き方に関しての煮詰めもそう。制動というよりもコーナリング全般の動きを作るためのブレーキチューニングなのです。
後にLSDを製作したときにこの足回り特性は大いに役に立ちました。LSDに頼らなくても良いのでイニシャルを低くできるんですよ。良い道で直進時でも車輪は微妙に差動が生まれるのでイニシャルトルクが高いとLSDが微妙に効いてしまい引きずり抵抗を生んでしまうのです。これ、アンダーパワーの車両には結構大きんです。
iQで運動性能を楽しむ車を造るには車体の剛性バランス、エンジンレスポンス、減衰力、バネレート、ブレーキ特性すべての方面から考えて全てのベクトルが合わさった場所を見つける事が大切なのです。

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2022/12/27 09:28:44