カー用品店では人気のカロッツェリアのトレードインスピーカー・TS-C1720Aですが、サウンドピュアディオでは2006年からこの手の商品の販売をやめているので縁が無い商品です。
しかし、先日福岡店でTS-C1720Aにベーシックパッケージをプラスするという実験的な販売を行ったのでご紹介します。
長い事トレードインスピーカーを販売していなかったのでこのモデルからミッドのマグネットがこんなに大きくなっているとは驚きました!
価格が28000円でこの大きさで、最初に手に取った時は6万円クラスのスピーカーかと思ってもう一度型番を確認しました。
ただしミッド側にコストをかけた分ほどツイーター部のコストダウンは極端で、手に取った時には「こんなに軽くてどんな音が出るの?」と心配になりました。
実験した車両は量販店で既に1720Aを付けておられたお客様の車両にツイーターをJBLのP560に変更して純正ネットワークを取り外してピュアコンに交換しました。
純正ネットワークは巻き数の少ないコイルに鉄心を入れて強制的にインダクタンスを上げるタイプの物で、コンデンサは6・8マイクロととんでもないワイドレンジで、これで軽いツイーターに音を送ればとても綺麗な音が再生出来るとは思えません。
ピュアディオでは空芯という自然にインダクタンスを得るコイルしか使用しておらず、また巻き数は車のスピーカーの取り付け位置に合わせて音を鳴らしながら最適な巻き数の物を探します。
そして時間をかけて最も音の響きが生演奏や生の声に近い値を見つけたので測定してみました。
上がツイーター・ミッド共に1720Aで付属ネットワーク使用時で、下がミッドのみ1720AでツイータJBL560にピュアコンの状態です。(右端と左端のバーは総合レベルなどの表示なので無視してそれより内をご覧下さい)
かなりフラットに近くなっていますが中高域に関してはかなりレベルが上がっています。
これはツイーターとミッドで同じ周波数が重なった部分がピュアコンでは適切に処理してあって、逆にツイーターのレンジを広げすぎている付属ネットワークでは同じ周波数が違う方向から発せられて来るのでキャンセルされて聞えて薄くなっています。
これが平面ディスプレイだと同じ正面を向いているのでキャンセルされませんから、平面ディスプレイで音を聞いて判断するという事が無意味だという事が分かります。
もう一つ無意味というか無駄なのが豪華な鉄製のインナーバッフルですが、剛性を上げてある程度解像度を上げる事は可能ですが、逆に余韻や艶が無くなった固い音になります。
それに高い周波数が改善されてもその周波数帯はスピーカーグリルにひかかって減衰するのでほぼ意味がありません。
結局木製のインナーバッフルを製作してスピーカーはピュアディオブランドのISP-130に交換する事になりました。
最初に2006年からトレードインスピーカーの販売をやめたと書きましたが、実は2006年にPA無しの生演奏を何度も聴く機会があって、「何かカーオーディオの音と違う?」と思って販売をやめました。
同時期に電源キャパシタやヘッドキャパシタの販売もやめて、更にろジュームメッキのプラグも販売するのをやめました。
確かにエッジの効いたメリハリのあるサウンドになりますが、本当の演奏者の音や声と違ったノリのいい音で、それは他の多くのお店に任せて自分は演奏者の指導を受けて生の音に近いものを目指す事にしました。
自分がトレードインスピーカーを販売しなくなった理由はピアノの調律方法を知ったからで、自分が付き合いのあるアーティストさんだと441か442で調律されたピアノで演奏されます。
自分が会場の手配をしたコンサートでは会場の備え付けのピアノを調律師さんを呼んで音を合わせるのですが、アーティストさんによって441ヘルツを基準に調律か442ヘルツを基準に調律かをアーティストさん側に聞いて前もって合わせておきます。
この調律の基準になる周波数がクルマの中ではこもりやすい音域で、ここをわざと出難くすれば『音がスッキリしたスピーカー』になる訳です。
この大事な周波数をスポイルして音をスッキリしたスピーカーをきちんとした音楽を知っておられる方ならおかしいと思われるでしょう。
そこでこういったスポイルした音が受け入れられないというユーザーの受け皿としてサウンドピュアディオは国産のトレードインスピーカーを販売しないという方針にしました。
今回のトレードインスピーカーの改良だけでなく過去には某X店でピラーを作り込んで3WAYのスピーカーを取り付けられて来られた方のやり直しという作業もありました。
2WAYで十分につながる条件なのに3WAYを組まされて、お客様は頭が痛くなると言われていました。
そこでスコーカー部分は鳴らない様にしてツイーターはJBLのP560に交換してピュアコンを入れて、カロッツェリアのミッドはそのまま使用して何度もコイルを交換して音を追い込みました。
一度はカロッツェリアミッドで出庫したのですが、後日ミッドは13センチのバッフルに変更してISP-130に交換して頂きました。
カタログにいい事が書いてあっても、実はその通りにならない事が多いという例でした。
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Posted at
2014/12/25 11:17:15