今日ご紹介する1台は先日の宇部店の作業からダイハツのタントです。
ダイハツ純正の異型パネルのオーディオ付きで入庫となって、ベーシックパッケージの取り付けを行いました。
タントはドアスピーカーの位置が高く、中音域が耳に入って来易い反面、低音はあまり出ていない様に聴こえる車種です。
ドアミラーのミラー後ろに純正ツイーターの位置がありますが、このグレードでは中身は入っていません。
しかし入っているグレードでもベーシックパッケージを装着する時は鳴らなくするので、何の問題もありません。
ツイーターはダッシュ上にスタンドで角度を付けたATX-25を取り付けて、見晴らしの良い場所から上質な高音を降り注ぎます。
左側はこんな感じで、純正のツイーター位置は横からそれて聴こえるのと、入るユニットが小型になるのと、マグネットが鉄の影響を受けるなどの悪条件があり、デザインがスッキリするという部分以外ではデメリットの方が目立ちます。
純正のドアスピーカーとツイーターの音域分けを行なうピュアコンはグローブボックス下の見えない部分に取り付けて、タントのデーターは既に取れているので、あらかじめ決められた値を取り付けたら最初からピークポイントで再生出来ます。
タントはドアスピーカーの位置が高いので中高音が耳に入ってきやすく、そのためピュアコンのコイルの巻き数を多くして、ドアスピーカーの上限周波数に制限をかけて音のバランスを取っています。
最近は今までは必要無かった巻きの多いコイルが必要になって来て、棚にあふれてきたので、上に増設して来ています。
その一方で同じダイハツ純正の16センチスピーカーでも、ドアの下の方に付いているスピーカーでは中高音が耳に入って来にくく、巻きの少ないコイルが必要で・・
適正のコイルの巻き数には何倍もの差が出ます。
棚のコイルが増殖しているのは、新しい車が発売されると今までに必要なかった大きい巻きや小さい巻きが必要になって、ユニットの特性と取り付け位置と、グリルの音ヌケの良い悪いで、全ての車種に合わせてピッタリの巻き数を探し出しています。
今から20数年前はコイルを巻き変えるなどという事は面倒なのでしておらず、随分前に廃業された当時は『コイル巻き名人』と言われていた方の音を聴いたお客様から、「井川さんもコイルを巻いてよ。」と頼まれても、「ノーマルネットワークで十分です。」とか、「音を良くするのならマルチアンプにしましょう。」と言い訳をして、一途にコイルの巻き変えは避けていました。
そのお客様があまりにしつこく言われるので、仕方なくメーカー製のネットワークのコイルを巻き変えたら・・
あれっ? これってマルチアンプでは再現出来ない音では! と驚きの発見がありました。
当時のコイル巻き名人の方が1台5日から1週間ぐらいセッティングに時間がかかっていて、しかもネットワークだけで10万円ぐらいと高額だったので、「これだけ効率が悪かったら商売にならない。」と思っていたのが、巻き数の違う物をあらかじめストックしたらスピードアップして、同じ組み合わせの車が2回目に入って来たら短時間でピークの値にたどり着けるなどが分かって、コイルを巻き変えたがらなかった自分にしつこく催促して頂いたお客様にはとても感謝しています。
そしてもう一つ運が良かったのが、中学・高校時代はアマチュア無線に明け暮れていて、少しでも遠くに電波を飛ばそうと自分でアンテナを作り、マッチングを取るコイルを自分で巻いて、アンテナと無線機のインピーダンスの整合性を上げていて、その時の知識があって人並み外れてインピーダンスにこだわったという部分もコイル巻きで成功した要因でしょう。
逆にコイルを巻くのを拒絶していたのも、「一度手を出すと底なし沼にはまるような・・」という事を知っていたからでしょう。
そんな歴史のあるピュアコンの結線が終わったらこちらが用意したCDを再生して音調整を行うのですが、タントの純正スピーカーの音がかったるかったのか、バスはマックスの5に上がっていて・・
トレブルもマックスの5に上がっていて、それで何ヶ月か聴かれていたので、純正の16センチスピーカーにはクセが付いていて、ベーシックパッケージを取り付けても、いつもよりはかったるく聴こえました。
そこでエージング用CDでバスとトレブルの中心の周波数以外の音域をいつもよりも長めに再生して、スピーカーのクセを取って音をスムーズにして納車致しました。
ベーシックパッケージはただ物を取り付けただけでなく、それぞれのオーディオを限界まで生の音に近い音が再生出来る様にするセッティングも含めて、一つのパッケージとして考えています。
Posted at 2016/09/28 12:25:38 |
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