今日ご紹介する1台は先日から福岡店で作業を行っているレクサスRXの後編です。
全車専用の異形パネルのナビオーディオを装着していて、車両に多チャンネルアンプが付いている仕様です。
ドアに付いているスピーカーは低音のみが送られていて、ダッシュのスコーカーには中高音のみが送られているマルチアンプ方式です。
アンプの出力がどんな音で送られて来ているか、一度ホーム用のスピーカーにつないで鳴らしてみました。
ダッシュに送られている中高音をピュアコンで分割して、純正スコーカーとATX-25に分けてセパレートで鳴らして音質をアップさせます。
純正のスコーカーにはコイルとコンデンサが付いていて、コンデンサは今までのレクサスの中では最も大きくて高級な物でした。
ただしコイルは今まで付いておらず、マグネットのすぐ横に付いているために鉄心を使ってインダクタンスを強制的に上げて、影響の少ない物を使っていました。
ピュアディオが使っている空芯コイルだと大きくなって磁気の影響も受けるのでグローブボックス下に付けていて、スコーカーに付いているコイルをバイパスして、大きい空芯コイルで鳴らして、音を滑らかにする事にしました。
グローブボックス下ではコイルの巻数の他にメインユニットもいくつも交換して音を追い込みました。
またセンタースピーカーも付いていて、こちらは左右のスコーカーと材質が違っていて、スピーカーとスピーカーの間にモノラル成分を足していました。
スコーカーのレンジとツイーターのレンジとセンターのレベルも調整して、新型のレクサスRXのベーシックパッケージの開発を進めました。
車両の音調整機能の中にサラウンド機能のオン・オフの設定があって、オンにすれは音が派手になり、オフにすると物足りない音になり、何度もオン・オフを繰り返しましたが、ピュアコンのパーツの組み合わせをどんなに変えても今までのレクサス車のベーシックパッケージの様な音にならず、「どうしたものか?」と完全に迷路に入り込んでしまいました。
そこで気が付いたのがこのスコーカーの形状で、今までのレクサス車も似た様な物が付いていましたが、明らかに違うのが高音域まで全てこのユニットで鳴らしていて、それがフィルターで抑えると必要な部分まで削られてしまって、中音域を伸び伸びと再生させると真ん中の広域部分で必要の無い所まで鳴ってしまい、何度チャレンジしても理想の音にならないのです。
そこで8・7センチのコアキシャルのユニットのツイーター配線をカットした物を持って来て中音のみを再生させる様にしたら急に音が滑らかになって、「この手があったか!」と急遽仕様変更を行いました。
それでもトータルで低音がやや強かったので3トーンを調整して下げて、遂に新型レクサスRXのベーシックパッケージは完成しました。
ダッシュのスコーカーを交換した事で先代のRXよりコストが上がりましたが、その分センタースピーカーのレベル調整が不要になり、使用するスピーカーケーブルも先代よりも短くなったので価格設定は82000円プラス税と同じにする事が出来ました。
先ほど写っていたダッシュのATX-25はデーター取のための仮に付けた物で、最終的にはJU60をワイドスタンドを製作して取り付けて、豪華なベーシックパッケージとして完成させました。
高級車だとマルチアンプで帯域やインピーダンスが決められているのでスピーカー交換の自由がきかなくて、たまにJU60を使ったアップグレードのベーシックパッケージのご要望があります。
この車が完成するまで何度もコイルやユニットの交換を行っていますが、この手間をかけた交換を自分は『エジソン方式』と呼んでして、エジソンに記者が「電球のフィラメントの開発で何度も失敗して落胆しませんでしたか?」質問したのに対して、「私は失敗はしていませんよ。
私はフィラメントに適さない材質を何千も発見したのですから。」と答えたそうです。
その話を本で読んだ事で、「合うまでコイルなどの組み合わせを変える事は、この組み合わせが適切ではないという事を立証しているだけで失敗ではく、本当に良い音にたどり着くための道中だ!」という気持ちで仕事に取り組む様になりました。
だから合おうが合うまいが市販の固定式のコイルを使ったネットワークを使うという気になれませんし、この組み合わせが絶対であるという事を立証するために多くのボーカリストに合って生の声を聞いたり、目の前で生の演奏を聴いたりして、「この組み合わせが最も生の音に近い!」と根拠を示せるセッティングを行っています。
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Posted at
2016/04/03 11:10:30