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イイね!
2021年03月25日

『ヤブ医者』の語源


今日もいつもの様にラジオを聞きながら仕事をしていたら、クロスFMでやぶ医者の語源について話していました。



やぶ医者はやぶの様に先が良く見えない状態の診断や治療しか出来ないから、それでやぶ医者というのかと思っていました。



しかし元々兵庫県の藪父という所に名医がいて、藪父の方から来た医者といえば名医の代名詞で、それを利用して藪父の医者ではないのに「自分が藪父の方から来た医者だ。」というまがい物の医者が増えて、それで最後にやぶ医者は出来の悪い医者の代名詞になったそうです。



この話を聞いた時に、「このやぶ医者の話はナカミチのショップの話に似ている!」と、昭和の終わりから平成の初め頃の業界の事を思い出したのでここに書き込みます。



昭和50年代の後半にホームオーディオで高級機を作っていた日本のナカミチという会社がカーオーディオを作りました。


そのカーオーディオを作った理由が、「ホームオーディオの世界は評論家が幅を利かせて来て、本当に良い物を作っても正しく評価してくれず、耳の錯覚を利用する様な商品でも利益を供与すれば褒めちぎり、いくら良い物作っても売れない。カーオーディオの世界は評論家が幅を利かせていないから、カーオーディオへシフトしよう!」という事で、チャカチャカ・ドカドカや、デッキの回転数をやや早くして音を上ずらして高音を伸びた様な鳴らし方をしていた業界に、本来の音楽に近い音を再生するデッキ・アンプ・スピーカーを発売しました。


ただ無色透明のナカミチの製品は取付の仕方や使う材料が悪いと本来の性能を発揮出来ず、ただ地味で物足りない音に聴こえていました。



そんなナカミチの商品を正しくセッティングして、販売実績の良い店を『ナカミチスペシャルショップ』というクラス分けをして、音の良いお店の称号をもらう事が出来ました。



自分は早いうちにスペシャルショップになって、年に一度のナカミチ本社の小さなコンサートホールに招待されて、生演奏を聴く事が出来て、その音を目標として目指して、また来年もこのホールで生演奏を聴く事が仕事の励みでした。


ところがそのうちナカミチの営業部はどんどんスペシャルショップを増やして、全国で20店ほどしかなかったスペシャルショップが山口県内だけで4店舗もあって、自分が一生懸命に作った市場をいい加減な店に荒らされて、とにかく販売量ばかりを増やして、アンプやチャンネルディバイダーの調整を行わずに工場出荷されたままでお客さんに納車するとか、値段の下をくぐるために余ったスピーカーケーブルを何本かつなぎ合わせて配線するとか、もうメチャクチャでした。



それでも真面目にやっていればナカミチの本社のコンサートホールで生演奏が聴けると我慢していたら、やはりコンサートは廃止されて、取付や音出しが悪くても売れた者が勝ちという本来の状態とは180度違うのがナカミチのスペシャルショップとなってしまいました。



これは元々兵庫県の藪地区の医者が名医だったのが、我も我もと藪の医者を名乗ったがために、最後は藪の医者はダメな医者の代名詞になったという話とナカミチのショップの話は似ています。



そのうちナカミチは値段が高くて音が悪いカーオーディオという評判が立ってしまい、売り上げが激減した時に、更に営業部は間違った選択をしました。


それは通常のモデルよりも値段が安い劣化版モデルを作って、オートバックス専用モデルとして販売して、更に無理して量産したがために不良率が高くて、もうブランドイメージは地に落ちてしまいました。



元々素晴らしかったナカミチのブランドが地に落ちてしまったのは、初代社長の中道悦郎さんが若くしてガンで亡くなったからで、どこでナカミチがおかしくなったかというと、本来は音楽を作る人を大切にすると小さなコンサートホールにミュージシャンを招き、社員や優秀なお店に生演奏を聴かせて、本来の音楽の音を目指すという方針が、途中売った者勝ちの成績さえ良ければセッティングは二の次という方針に変わったからで、2度の間違った方針転換で日本のブランドでありながら日本からナカミチのブランドは消えてしまいました。



それでも悪いのは営業部の実力者で、彼らがナカミチから消えて創業者の悦郎さんの息子さんがトップになった時は、既に日本では販売する店がほぼ無い状態でした。



2000年代のどこかで終わりにはナカミチブランドの商品は日本国内では流通しなくなると予測して、2001年にピュアディオブランドをスタートさせて、以前ナカミチのスペシャルショップ向けのチューンドモデルをピュアディオチューンの商品として販売する様になりました。



今日ラジオでやぶ医者の語源の話を聞いた時に、平成の初め頃のナカミチのスペシャルショップをきちんと審査もせずに大量に作った時の、営業部の愚策を思い出しました。



ただナカミチの創立者の『音楽を作った人の作品の形を変えてはいけない』という精神は、小さい会社ながらも日本で唯一自分が引き継いでいるつもりです。

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Posted at 2021/03/25 19:08:30

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サウンドピュアディオの井川です。 福岡県・山口県でカーオーディオ専門店を営んでいます。 アーティストとのコラボレーションにより、より生演奏や生の声に...

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