先日も触れたが、加害者側の弁護士が、加害者の主張する走行速度60km/hを証明する資料を保険会社の調査チームに作らせ、それが期限から遅れてようやく出てきた。
どこもかしこもおかしげな「証明」ばかりなのだが、何より驚くのは、
都合の悪い加害者本人の供述を片端から否定ないしは無視することだ。
調査チームが主張する証拠が加害者の供述をうまく説明するものであっても、それが加害者側の過失を示す内容であれば
供述の方を否定し、加害者と180度違う、なんの根拠もない憶測を堂々と主張するのだ。
たとえば、加害者は「追突直前に車体が滑って左を向いて、斜めの向きで追突した」と供述している。
しかしこれでは加害者が被害者にぶつかりに行ったことになってしまう。
過失がなかったことにしたい調査チームは、被害者が加害者の前に飛び出てきたことにしたいので、被害者が飛び出てきた証拠として、へこみの形状に目をつけ、
強度が高いために凹まなかった部分を都合よく利用して追突角度をでっち上げている。
これを証拠として、加害者の証言と調査会社が作成した追突時の図を否定する、あらたな追突時の図を提示してきた。
調査会社の証拠に基づく角度は、加害者の供述する角度とほぼ一致するにもかかわらず、加害者の供述を無視し、
一切根拠のない「被害者の方が斜めに飛び出てきた」という憶測を主張をしているのだ。
ところが実際には、両車両のへこみ形状の一致から、加害者は真後ろかやや左から追突していることが証明できる。加害者の車両が滑った原因も、この追突時の向きから直前に白線を踏んでいたことによるものだと合理的に説明できるのだが、
調査チームは車体が滑った供述について無視を決め込んでいる。
(実際には、両車両の正確な図面を用いて証明しているのだが、あんまり証拠資料を公開するわけにも行かないので概略のみで失礼)
こんなものは即座に否定できるのだが、相手弁護士や調査チームとしては、事故について素人の調停委員さえ誤魔化せればいいので、体裁を整えてあたかも理路整然と正確な証明をしているかのように装い、平気でこんな恥知らずな主張をしてくる。
しかし、被害者車両の右には車両一台分の空間があるにもかかわらず、追突位置が何故か右車線の左寄りである事実については相変わらずまったく説明しない。
加害者の主張通り右側車線を走っていたなら、飛び出しを回避して右に出てきた車を避けて右に逃げるのが常識的な反応だ。しかもABSがあるから舵は効く。しかし、逃げるどころか左に寄って追突していることになる。
これについてはなんの説明もしない。
全てにおいて「加害者はわるくない……わるくない……」という結論ありき。取り上げる「証拠」や「主張」が相互に矛盾していてもまったく気にしないのだ。
たとえば、「事故時の供述の速度、位置関係、時間などはあてにならないからそれを根拠に検証してはいけない」と言いながら、検証の「結論」と称して、突然なんの根拠も示さず
・制動前速度 63.5km/h
・追突時の速度 35km/h
を決めつけ、コンピューターのプログラムに放り込んで数値を計算させ、制動時間1.95秒という値を得て、
・加害者、被害者ともに追突までの時間が2秒前後(1~2秒/2~3秒)と言っているのとだいたい合っているし、被害者は飛び出しを避けるために制度してかなり遅かったはずだから速度差も充分ある。これが結論だ。
という。
制動前速度はもちろん加害者主張の60km/hに沿ったもので、加害者は警察の見分では70km/h、保険会社への届け出時には60~70km/h、調査会社への聞き取り時には60km/hとどんどん低い方へ変更していて極めて信用ならないものであるにもかかわらずだ。制動後速度に至ってはまったく根拠が示されていないまま突然登場している。
ダブルスタンダードどころかトリプルスタンダードもいいところだ。
実は、この約2秒という時間では、私の車は横からの飛び出しを受けた地点から追突点までたどり着けない。たどり着くには、調査チームが設定した追突時の速度35km/hを上回る速度を維持しなければならないのだ。
要するに、調査チームが根拠なく設定した速度では、加害者の方が先に追突点にたどり着くので事故が起こらない。
あり得ない速度設定を堂々と「結論」と言ってのけているのだ。
何故そんな速度に決めつけたのかと言えば、
・加害者は、供述通り、あまり制限速度を超えていない速度でないと困る。
・だから、追突時の速度は、両者の破壊を説明できる、最小の速度でないと困る。そのため被害者側の速度がとても小さくないとならないので、なんとか動いている最低限の速度まで制動し続けたことにして、速度差25~30km/hもあればフレーム損傷を説明できるはずだ。
という、実に安易な想定をしたためらしい。
そうして結論ありきで数字あわせをやってプログラムで計算させ、たまたま出た約2秒という時間が供述にあっていて都合がいいと単純に考え、設定速度を採用したようだ。
ところが、被害者の速度を遅く設定するほど追突点にたどり着くまでに要する時間が長くなるので、その分加害者は長く制動し続けたことになる。つまりそれだけ速度が大きかったことになるのだ。
調査チームはそんなことを考えもせず、単純な式でPCに計算させて数字あわせだけをやるからこんな矛盾を露呈してしまうのだ。
「被害者は飛び出しをハンドル操作で避けるだけでなく制動をし続けたに違いない」という内容の記述を見て、「引っかかったな!」と思ったものだ。障害を避けてなおブレーキを踏み続ける人がいるかどうか考えてみればいかに不自然かすぐ分かる。しかもそのまま20mものろのろ進み続けていれば、後続車がいても追突しようがないし、避けるのも容易だ。もしそれでも追突したのなら、前方不注意以外の何物でもない。
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どうも、損保の世界というのは、こんなことが横行する世界らしい。
弁護士の世界もそうだが、交渉では脅しとハッタリ、法廷ではアピール力がものを言い、論理は二の次の世界らしい。
Posted at 2014/04/15 20:48:22 | |
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