
しばらく前にこんなツイートがツイッターを駆け巡った。
信号のない横断歩道で止まってくれたドライバーにお礼をする場面を上げている。
これは、どうも警察主導でやっている様子がある。
もちろん、横断歩道を渡ろうとする人がいる場合は停止線で止まることが道交法で規定されている。止まるのが当然だ。
しかし、流れが速い道路では見えていないこともあるのか止まらないドライバーも多い。
そんな状況の中で少しでも止まる意識を高めるために、お礼をすることを求めている様子がある。
また、止まってくれたのだから礼を言うべきと言う感覚で子供に教えている人もいるのだろう。
これに対して法律を根拠に
「お礼を言う必要はない」
「そうした指導は車上位の意識を根付かせて有害」
等、多くの批判のツイートが現れた。
ネトウヨが「美しい日本」としてあげたツイートが発端であるために、批判が集まった面もあろう。
その後、こんな動画が流れてきた。
・子供たちが横断歩道で待っていたところに車が来て止まり、子供たちがかけだして渡ったところ反対車線から来た車にはねられる。
という痛ましいものだ。
細かく見ると、停止した車から見て横断歩道の進行方向側に車がいて、対向車からは子供は完全に死角になっていた。
子供は道路を怖いと思っているから早く渡りたいし、譲られて待たしていることもそれを促す。横断歩道手前で停車すればよく確認せず渡ってしまうことは十分に予想できる。
歩行者がいない側の車線の車は歩行者に気付きにくいし、対向車線が速い流れであれば、止まらないことは現実には高頻度だ。
この場合、止まったことで事故を促してしまったとも言える。このドライバーは、対向車が来ているのに止まって渡らせたことを後悔したかもしれない。少なくとも「俺は悪くない」とは思えなかっただろう。
しばらく前に、横断歩道手前でタクシーが急停車したために、客を拾うために止めたと勘違いしたのか後続車がはみ出し不可の道路で追い越しをかけ、危うく歩行者をはねてしまうところだった場面に出くわしている。
タクシーが横断歩道を渡りたそうにしている人を見つけて急停車したことはルール通りだが、急停車してまで止まることが本当に適当かどうか。実際事故が起きかけている。
同様に、対向車線の流れが速いと、横断歩道で止まっても対向車が止まらず危険なことは何度か経験している。
暗い道で対向車線から歩行者が全く見えないケースもある。
夜間の4車線の流れの速い道路の信号のない横断歩道で、止まった車の陰に歩行者がいて全く見えず、そのまま歩行者が譲られたので歩き出してしまい、隣の車線で危うくひかれそうになったケースなど、横断歩道の停車に起因したヒヤリハットは結構見ている。
原則通りに止まることで歩行者が歩き出して他の車線で轢かれるケースを指して、止まらない奴が悪いと批判するのは簡単なことだが、現実にはそう単純ではない。
以前も書いたことだが、周りの交通状況を考えない停車や無理な急停車が事故原因になりかねないこともあり、現実はあえて停車しない選択が正解であることもある。
柔軟な対応が必要なのが現実世界であり、原則通りの対応で事故が起きても原則通りなのだから問題なしと平気で言うSNSユーザー達にはぞっとする。
***
以前自宅付近で遭遇した事故は、バスが交差点に侵入し、横断歩道手前に歩行者(正確には自転車を押して止まっている)がいたので原則通り停車したが、歩行者は後から来る子を待っていたので渡るつもりがなく、バスに進むよう促し、バスが発進したところに完全な死角からその子供が自転車で、歩行者用信号が点滅し始めた横断歩道に突進し轢かれてしまうものだった。
原則通りの対応が事故につながることがあるのは現実なのだ。その中で事故のリスクを下げる選択をすることが正しい。
刑法には緊急避難という規定がある。
【 刑法 】
緊急避難
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない
Posted at 2023/12/02 00:09:27 | |
トラックバック(0) |
ひとりごと | 日記