ネットでアニメの感想などを見ていると、【作画】を問題にしているものがよくある。
作画崩壊とか言われる。
明らかにバランスが崩れている絵があるのは事実だけれど。
そんなに気になるのかなあ。止めなきゃ気がつかないけれど。
【画像】クオリディアコードの作画が酷すぎるwwwwwwwwww
http://tarosoku.com/?p=15960
クオリディアコードは作画が安定しないみたいだけれど、見ていても全然気にならないのだけれど。
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昔のアニメは作画が今ほど緻密ではなかったから、かなりいい加減な作画もあったし、それが当たり前だった。
作画のクオリティが極めて高くなった今では、すべてのシーンでクオリティを求めるようになってしまった。
しかし、中割の絵が多少崩れていたり、動きの中で意図的に崩しているものまであげつらっているような気もする。
そんなコトばかり気にしていて、楽しいのだろうか。
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まあ、全周皮がついた鮭とか、とんでもないものもたまにあるのだけれど。
(「ハロー!!金色モザイク」より)
昔、「ちびまる子ちゃん」の理科の実験シーンで、アルコールランプの炎が【青】だったのでのけぞったことがある。
確かに、エタノールやメタノールを完全燃焼させると青い炎なのだけど、アルコールランプでは炎の内側で酸素が不十分なため不完全燃焼している部分が目立ち(おそらく芯の燃焼もある)、オレンジの炎になる。炎の最も外側は青い炎になっている。
ガスバーナーやコンロの炎のイメージで書いてしまったのではないかと思う。同じ指摘を見た覚えはないけどね。
自分の知識レベルでは明らかにおかしいことも、全く突っ込まれていないこともよくある。見る側の知的水準が低ければ、おかしなものもスルーされてしまうし。
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最近話題の【君の名は】というアニメ映画は、冒頭の彗星が2つに分かれるシーン(予告で出てくる)が天文や物理系の人に物理的にあり得ないと不評(木星に激突したシューメーカー・レビイ第9彗星が、衝突前に多数に割れても数珠つなぎになったことを例に挙げる)だったりする。もちろん、入れ替わりとかは問題にしないけれど。
シューメーカー・レビィ第9彗星
しかし、これなど一般の人は全く気にしないようだし。
ロシア隕石
ロシア隕石は2つ以上に分かれているけれど、軌道はほぼ同じ。光っている熱圏を抜けたあとで割れているらしい。割れたのはwikipediaによると地上30kmぐらいらしい。
自分も落下する隕石が爆発したのを見たことがあるけれど、元がそう大きくないものが大音響とともにばらばらになっていた(正確には大音響の後で見上げたら煙状のものが浮かんでいた)。つくば隕石は、つくば周辺に破片が降り注いだ。あのときの高さはどれぐらいだったのだろう。比較的低く、wikipediaによると10kmだったらしい。
予告をよく見てみたら、流れ星が光る熱圏ではなく地表1km以内の雲がある対流圏で大きく2つに割れていて、割れた彗星に宇宙の広大な広がりの中で太陽風によって飛ばされて太陽と逆方向に分かれて観察できるダストテイルとイオンテイルが描かれている。こんなことはあり得ない。
対流圏まで達していたら、地上激突まで時間的にはごくわずか。とてもアニメのシーンのような様子が観察できるとは思えない。あれは地球からかなり離れていてはじめて見える様子だ。ならば、2つに割れても軌道があんなに違ってしまうことはまずない。
地球から離れた宇宙にある彗星のような絵が描かれ、実際に割れたのは地上1km以内という設定になっているようだ。
彗星が落下し、割れて、そのシーンを印象深く、引き延ばし、きれいに描こうとするとああなるのだろう。主人公たちに近いところで割れてくれないとドラマのきっかけにならないから対流圏で割れているのだろうけど。そうなら、割れてから地上までごくわずかな時間しかない。あれほど大な彗星が地上にぶつかれば被害は相当あるだろう。
絵を見る限り、熱圏あたりを通過し、どうもそのまま再び大気圏外へ飛び去ったかのように描かれているが、その前にはほぼ垂直に雲を突っ切っている。
科学的にはめちゃくちゃ。物理的感覚を内面化していたら、あれを見ただけで萎えてしまう。
何も考えなければ、印象的なシーンなのだろうが、見れば見るほど矛盾だらけでいらいらしてくる。
たぶん、制作した新海氏は、百武彗星を見たか、参考にしたのだろうけれど。あれは近年最も美しく大きく観察できた彗星で、自分も日光近くの山の上で観測したが、全天の1/3もの長さの尾が見えた、すばらしいものだった。あのときの地球と彗星の距離は1500万km、太陽と地球の距離の1/10だった。
百武彗星
http://sky.geocities.jp/usagitohoshi/pic/hyak_1s.jpgより引用
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なんかの少女まんがで、投げられた物体が放物線を描くでも直進するでもなく、重力に逆らって曲がった軌跡が描かれていることもあった。これがあり得ないことだと言うことに、描いた本人やアシスタント、編集者は全く気づいていないのだろう。
人によって見ている世界や内面化している法則性が違うから、こんなことも起きてくる。
そんな知的レベルに関係なく作画の崩れは誰にでも突っ込めるから、きわめてレベルの低い突っ込みではある。そして、ストーリーそのものにはまるで関係がない些末な部分。
Posted at 2016/09/11 11:11:49 | |
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