うちには30Vに対応できる電源があるし、KIKUSUI PMCシリーズ2台を直列にすれば36Vまでいける。
ただ、その上がカバーできないことが物足りないと思っていた。
え? そんな直流電圧を使う機会があるのかって?
今のところはない。ただ、使いたいときに使えることが大切なので、ジャンクでも持っておきたかったのだ。
(充電工具が高電圧化でバッテリー公称36Vに達しており、満充電40Vなので、このレベルの電源をテストに使う可能性がある)
で、まともな現役機種がヤフオク中古でもものすごく高い(しかも保証無し)ので、あきらめて試しに入札したらそのまま落札できてしまったのが、これだ。
下の方が今回の購入ジャンク。既に自分である程度洗浄済み。
HP 6002A DC SUPPLY
因みに上はKIKUSUI PMC18-3Aの後期型。コンパクトで非常にポピュラーな電源。中古も豊富で安い。大きさがかなり違い、6002Aの横幅はPMCの2倍、奥行きは1.4倍ぐらいある。
6002Aは0−50V 0−10Aという強力な電源だ。といっても最大200Wなので、50Vでは4Aになってしまうが。
この機械は1976年から少なくとも90年代まで作られていて、この個体は割と初期のものだ。
途中でフェイスリフトを受けている。内部の部品変更は数知れず。
左が初期型、右がフェイスリフト後(つまみが一つ非純正・斜めの画像を変形させて正面にしている)。
アメリカの動画を見るとフェイスリフト後のものが出てくるが、日本の中古市場ではほとんど見かけない。
この電源、実はデジタルコントロール機能を持っていて、HP-IB(GPIB) I/Fでコンピューターから制御できるらしい。
今どきの機械ならUSBでつながるので、高価なGPIB I/Fをわざわざ用意しなくてもよくなっているが。
古くてでかいからと言って、バカにしたものではないようだ。
***
面食らうほど大きく重いが、205mm径の卓上グラインダーEBK2を受け取ったときよりはマシだった。
早速開けてテスト。
おや、Voltageつまみをいくらあげてもメーターが動かない。Currentつまみも同様。
いろいろ触ってみたが、よく分からず、分解して見た。
ケースが日本製のものと違って、独特な開け方になっており、最初は戸惑った。
リペア動画を参考にするとすぐ開けられた。
内部はどでかいトランスとコンデンサーの他、いくつもの基盤があり、結構複雑な構造になっている。
特段変なにおいもせず、部品が焼損するようなトラブルは無さそうだった。
背面を見ると、2つのオルタネイトスイッチがCC/CVの切り換えになっているようだが、どちらにしても変化はない。
両方のスイッチがオフの状態を「NORMAL」と書いてある。
ただし、このスイッチは片方を押し込むと片方が持ち上がる、どちらかだけがオンになるタイプのスイッチだ。常識的には微妙に動かして両方をオフにする状態など考えるはずがない構造をしている。
なんとか両方オフの状態にしてみると、なんと出力が出た。
この状態でCC/CVも機能している。
このスイッチは何なのか、あとでメンテナンスマニュアル(英語)で調べてみよう。
おそらく、外部コントロールに関係するのだろう。
よく分からないが、NORMALにしておけばよいのだろう。
モーターを駆動しても問題ないし、オシロで見てみても気になるノイズやリップルはない。
古い個体では問題を起こしがちなファンも正常であるし、ジャンクといいながら状態は悪くなさそうだ。
***
しかし、すぐ使う事もないのに、よくこんなものを買ったものだ。明らかに大きく重すぎで置き場所に困る。
もはや狂いかけとしか思われない。
追記:
メインテナンスマニュアルは保守に関することが主なので、操作に関することが載っていても今ひとつ分かりにくい。
HP-BP I/Fはオプションで、そのボード上にCC/CVモードスイッチがあるので、HP-BP使用時にどちらのモードで動作させるかを選択するためのもであるらしい。外部コントロールを使わないときにNORMAL operation、つまり本体で操作できるようにするスイッチだと分かった。
https://btbm.ch/hp-6002a-gpib-control-with-python/
追記:
このジャンクは、測定器類を専門に扱う業者ではなく、古道具屋の類の出品。持ちこまれた機材を評価できず、適当に価格をつけて通電確認済みジャンクとして出品したのだろう(その割には過去の落札価格から見てやや高い。売れなければ値下げしていくつもりだったのだろう)。
だから、パイロットランプが光る通電確認のみで、出力の確認はできていなかったかもしれない。できていればその状態の写真を出しているだろう。
Posted at 2024/03/23 21:54:50 | |
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