昔からSF小説でタイムトラベルが出てくるが、どうしてもタイムパラドックスの問題に直面してしまう。
現在の人間が過去に行けばなにがしかの影響を与えることになる。
現在の人間が未来へ行けば戻ってきた時に未来へ影響を与えることになる。
原因があり結果があるので、原因を変えてしまえば結果も変わってしまう。
過去に戻り自分を殺せば、自分はどうなるのか。殺した瞬間に大きな矛盾が生じる。
(そもそも地球は自転し、太陽の周りを公転し、太陽も銀河系のまわる腕の中にあり、銀河系自身も動いているので、地球から地球へタイムトラベルをするには相当な距離の移動も伴い、物理的なタイムトラベルは相当な困難があるのだが、それはおいておくとして。)
この問題を解決するために、並行宇宙、分岐する未来という考え方が出てくる。
量子力学では電子や光子のような素粒子の状態を確率でしか記述することができず、ニュートン力学やそれを含む一般相対性理論のような予想をすることができないのだ。観測する時にはじめて状態が確定する。
観測によって世界が分岐し、いくつもの異なる未来が生じる。同様に時間旅行者の介在によって並行世界が生じ、変化が起きた世界と起きなかった世界に分岐するというのだ。
いくつかのSF作品では分岐が起きても結果は同じになると言う不自然な仮定を置いているものがあるが、分岐が起きた時点で結果が異なっているのだから、どこかの未来に収束点があり同じに見える結果が生じるというのはあまりにも不自然だ。Aという人物が死ぬという結果は不可避であるとして、死因が様々に異なっているのだが、Aという人物の死というのは物理的事象の一部でしかなく、その人物が1mm手前にいただけで死には及ばないかも知れないかもしれないほどのことだ。人物の死だけが収束点になるのは人間の価値観が大いに介在していて、神か何かがコントロールしていない限りはそう言うことは考えがたい。
シュレーディンガーの猫の例えは、素粒子にあてはまっても実際の箱の中の猫にはあてはまらない。あくまで分かりやすい例えでしかないからだ。姿が見えない状態の猫は生と死の重ね合わせの状態にはない。一つ一つの量子レベルの挙動が物体全体の挙動を決めるとは考えにくく、もしあっても突飛な方の結果が起こる確率は極めて低く、ないに等しい。
おそらく原子1個の動きに影響を与えただけでも未来に影響する。もともとその影響込みで未来ができているとするか、分岐を考えるしかなくなるわけだが、時間を超越した何かが過去に影響を与えた事実を捉えることができていないので、タイムトラベル自体が困難であるのかも知れない。
SFでは過去に干渉をすることが許されない云々という『人間が決めた規則』でこの問題を解決しようとするのだが、原子1個、素粒子1個の存在に影響を与えてもいけなければそもそも過去に存在することができない。
映画「ターミネーター」は未来から過去を改編しようとする物語だが、過去を改変した結果が、タイムトラベラーを送り出した未来世界にどう影響を与えたのか、未来が分岐したのかはっきりしない。だが、影響を与えなかった(分岐しなかった未来がある)のであればタイムトラベラーを送り出すことをやめるだろう。過去の改変が影響したことを検出できている(分岐した未来がある)からこそ送り出してきているはずだ。しかし、なぜか我々の時間進行に従ってしか未来からやってこないのは不自然な設定で、もっと過去に行って始末をつけてしまえば済むことも多いだろう。しかし、何故か改変された影響を受けた未来から改変の改変を目指すことばかりやっているように見える。このあたりはSFなので不問と言うことか。あるいは過去の改変で影響を受けなかった方の世界にいるからそう見えるだけなのか。
SF作品について考えるのはよそう。現実でないことについて仮定に仮定を重ねても無意味だ。
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未来予知も同じことで、未来の改変になる。
未来が見えることがあったとしても、それが未来から検出できるレベルの影響は与えないらしいのは、過去に同様のことがなかったことからも予想できる。
未来を知ったからと言っても影響を与えることができないのであれば無意味である。ならば知らない方がいいことが多いだろう。けど知りたいが。
ただ、事実性が確認できないものの、夢等によって災厄を避けたという話は出てくるのだが、これはどうにも分からない。たとえばタイタニック号についてもそう言う話がある。それだけに興味はある。
http://www.kjsei.net/example/03.html
http://ww5.tiki.ne.jp/~qyoshida/kaiki/75tsuunin.htm
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理論物理学的には多次元宇宙は存在するものとして扱われることが多い。
我々の宇宙の外(観測できる宇宙の外側)に存在する宇宙、宇宙定数の異なる宇宙、分岐宇宙など。
我々の宇宙自体が真空の揺らぎによって生じたものと考えられていて、揺らぎ方によって状態の異なる宇宙がいくつも誕生していてもおかしくない。
物質の状態や物理法則の異なる宇宙が並行して存在していかもしれないというわけだ。
宇宙が無限であるのであれば、いくらでも並行宇宙を存在させることができる。
取りあえず、我々が今いる宇宙では過去の改変を受けた事実が証明できないので、タイムトラベルはできない(タイムトラベラーがやって来ていない)ルートにあるらしい。
……なんていうのはSF的な解釈か。
Posted at 2015/05/24 12:58:54 | |
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