きっこさんがいかにもトンデモ臭い放射線に関して書いたブログをおすすめしていたので見てみた。
「
渾身のエントリー」だそうだ。
1500mSvを安全だなんて文科省が言ってもいないことを書いている時点で、直感的になにかトンデモな文章だろうと思われた。
まず読んだ感想。
引用やグラフが多く、一瞬まともそうに見えたがよく読んでみるとトンデモのオンパレード。
科学リテラシーがない人は、データを読まずに都合のいい文章だけを切り出すのね。もってきた論文も勘違いして紹介してあがめているし。内部被曝に関する計算もめちゃくちゃ。
トンデモさんの典型である「結論ありき・思いこみで議論を展開」「都合のいい引用をする」「勝手にオリジナルの法則や式を作る」「科学考証を正しくできない」「相手を罵倒する語を並べる」「都合のいいものはあがめる」が並んでいる。
こう言うことばかりをやっているから、大切な主張であってもまともに取り合ってもらえなくなるのだ。
こんなものをよく読みもせずRTしたりブログで紹介する人も同罪。
そんなことよりどうすれば健康に少しでも影響が及ばなくなるか考えて欲しい。
事実ではない陰謀論を訴えたところで仕方がない。
元ネタのブログが大変長いので、検証はもっと長くなってしまった。よろしければお付き合いください。
目次
0.はじめに
1.100mSv以下は安全だと言っているとミスリード
2.勿論、しきい値はないとする分析や研究もあるが、まだまだ研究中
3.ひたすら陰謀論
4.原爆調査に関する論文を勘違い
5.内部被曝の影響を勝手に外部被曝線量の100倍にするな
* *
0.はじめに
そのブログは
反戦な家づくり
【被曝】100mSv以下は安全のトンデモ学説と、それをさらに15倍にした文科省基準を暴いてみる
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1017.html
(
魚拓)
原発事故の結果、被曝許容量を20mSvに上げている件について述べている。
私としては20mSvへの緩和が続けばリスクが高まるのは明らかであるし、早急に何らかの方法で従来の基準を満たすべきであると考えていることをまず断っておく。
1.100mSv以下は安全だと言っているとミスリード
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20mSvを正当化する理論は、ただ一つ。
「100mSv以下では、癌になった症例はない」という、御用学者(バカ)の一つ覚えの台詞だ。
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20mSvはICRP(国際放射線防護委員会)も緊急的には認めている。勿論、1mSvに戻すことが前提だ。
「100mSv以下は安全のトンデモ学説」だとブログ主は書いているが、
そんな学説を誰も知らない。
[追記]
いわゆる「しきい値あり仮説」に相当するが、「直線しきい値なし仮説」などと共に統計的に証明できず、はっきりとした結論が出ているものではない。オーソライズされた学説はないので安全側に考えるのが放射線防護のスタンダード。
[追記終わり]
データを分析すると、急性症状が出なくても(低く見積もっても)100mSv以上であればガン発生率に比例関係が見られるが100mSv以下では統計上他の原因のガン死と区別が難しく、明確な証拠はないというのが言われていることだ。ただし、100mSv程度以上になると突然明確に影響が現れる「しきい値」があるのかないのか不明であるし、研究対象によっても影響が異なる。
自然放射線と変わらない領域では、区別が付かない。自然放射線が強い場所での有意なガン死率の上昇も知られていない。一方で弱い放射線でもガン死率が上がるとするデータもある。
一部では放射線ホルミシス(放射線が当たることで何らかの活性化が起こる)例もあるが一般化できるかどうか分からない(とはいえ、経験的に体にいいとされるラドン温泉に入るのはその効果を期待していることになる)。
いろいろな研究結果があるが、よくわからないことについてはもっとも危険率を少なくするため、放射線に比例してガンの発生率が高くなるものと考え、自然放射線などを参考に、
大きめに安全をとって1mSvを一般の人の許容限度としようというのが今日の放射線防護の考え方だ。
(放射線を職業的に扱う人たちについては、上限を緩和し安全率を下げている)
こうしたことは、ブログ主が目の仇にしてとり上げている
放射線影響研究所、
放射線医療総合研究所含め一般的な放射線関係の文書、書籍に書かれている。
(研究者や団体によっては,もっと厳しい基準をあげるものもいる)
だが、自説に
都合のいい部分だけを切り出して紹介する。
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100mSv以下については、このように書いてある
「原爆を受けた人たちの調査などからも、人間では200ミリシーベルト以下というような低い線量では、がんによる死亡者が余計に発生したという明確な結果は出ていません。」
http://www.rea.or.jp/wakaruhon/mokuji.html
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安全だなどと全く言っておらず、データが少なく放射線以外のガン死と放射線によるガン死が区別しにくいから「(自然発生ガンより)余計に発生したという明確な結果は出ていません」と言っているのである。
(低線量被曝の影響に答えが出ていない理由は
natureの記事参照)
ブログ主もしきい値問題を多少知っているらしいが、次のように
陰謀論を展開する。
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そして、放影協も放医研も放影研も、セリフの最後は「結果は出ていません」「根拠はありません」「確認されていません」だ。
「癌による死亡者は発生しません」「癌をひき起こしません」「癌は増加しません」とは言っていない。
つまり、「○(癌になる)の証拠がない」と言っているだけで、「×(癌にならない)の証拠がある」とは一言も言っていないのである。にもかかわらず、言葉のアヤで、まるで×(癌にならない)が明らかのように思わせているのだ。
なんというペテン師たちか。
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人に対する長期の弱い放射線の影響のデータが少ない中、今あるデータから統計的に処理して推定したとき、値が小さすぎると誤差と見分けが付かず科学的に立証できないことであるからそう述べているのに過ぎないのだが、ブログ主はこれらの研究機関は政府の手先であり、ガンにならないという印象を与えるために、組織的に印象操作をしていると主張しているらしい。
それにしても、
なんでこの手の人たちは『バカ』だの『ペテン師』だのと罵るのが好きなのだろう。お里が知れますわよ。
2.勿論、しきい値はないとする分析や研究もあるが、まだまだ研究中
低線量の放射線の影響があることを知っているのに誤魔化しているという根拠に、放影研自身のHPにあるデータ(
放影研の要覧より)と「
放射線および 環境化学物質による発がん ─本当に微量でも危険なのか?─(編著:佐渡敏彦,福島昭治,甲斐倫明)医療科学社」に引用されている放影研のデータ「低線量におけるガン罹患率の相対リスク」を出して、
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このグラフを発表している放影研が、なにをどうしたら「150mSv以下はがんの頻度における増加は確認されていません。」と言えるのか。常人には理解しがたい。
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と言っている。
この本は医学的に放射線を説明するもので、該当箇所は放射線の影響について「一度に強い放射線を浴びたが、トータルでは低線量である原爆被曝者のデータ」を示している部分だ。
線が引かれている部分ではなく「分散している点」の部分が得られているデータ。ちなみに、プロットだけにすると次のようになる。
低線量のプロットのみでは傾向が読み取りがたくなるのが分かるだろう。
これについては高線量と合わせて直線と解釈されて「しきい値はない」とも言われている。
しかし、この章にあるように、多くの原爆被曝者は一度に比較的強い放射線を浴びているが、トータルの被曝線量は少ない。これに対し、我々の生活では弱い放射線を長期にわたって浴び続けたときの影響を考える必要がある。生物の放射線に対する防御のしくみも知られていて、条件が異なる原爆被曝データだけでは言えることは限られてくる(この章では原爆のデータから外挿することについても触れられていて、
放影研が分析している。)
やはり弱い放射線が当たり続けた影響は実際に調べてみなければ分からないため、実験動物による放射線の影響が調べられている。しかし、当然人では行われていないし、放射線を扱う人々に起きた影響や事故事例もあるが数が少なく明確なデータにはなっていないので、弱い放射線の影響を確実に言うことは難しいのだ。
(実験動物によっても影響は違う可能性がある。たとえば、ダイオキシンの影響はモルモットとハムスターでは8000倍もちがう)
なお、原爆被曝による発がんリスク分析で、比較対象が近距離のごく低線量被曝者(5mSv以上と見なせる集団)であることについては勿論議論の余地があるし、実際なされている。放影研のデータはあくまで被曝者集団内比較によるデータ分析である。
しかし、直接被曝の被曝量が少なくても、爆心地近くにいた方はいわゆる残留放射能や内部被曝の影響(間接被曝)で発がんリスクが上がっていて当然であるから、人によってはもはや低線量被曝とは言えないだろう。非常にさまざまな要因が重なるため、分析も難しそうだ(この点については、あとでブログ主が正義の使者?として紹介する宮尾教授らの研究でも述べられている)。
ブログ主は組織的陰謀論を展開したがるが
、少ないデータからものを言ってはいけない科学の世界のことだから仕方がない。
だいたい、本当に誤魔化す気なら、データをとらないし、とっても出さないだろう。日本ばかりに目が向いているが、研究者は世界中にいる。その世界中の研究者を買収しなくてはならなくなるが、そんなことは可能か?
<文献>
寿命調査の推定癌リスクの低線量被ばくへの外挿
原爆被爆者の癌発生についての線量反応曲線の形は、高線量被ばく調査から得た推定リスクの低線量被ばくへの外挿に関して重要な情報を提供する。
http://www.rerf.or.jp/library/update/rerfupda/factfig/vaeth.html
3.ひたすら陰謀論
原爆被曝について、疫学調査が行われていて、その影響については比較対象群を設定してサンプル調査がなされているが、これについて言及している。
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さらに、研究開始当時はアメリカの機関だった放影研(当時はABCC)は、非常に不可解なことをやっている。
放影研の寿命調査 第1報(1958年)によると
「サンプルは爆心地からの近距離被爆者、受けた線量が無視できる遠距離被爆者および両市へ転入してきた非被爆者からなり、総数は 100,000名である。」
「非被爆者の死亡率は被爆者あるいは日本全国の平均と比較して異常に低いことが注目された。」
「今回の報告では放射線の影響を検討するにあたって、非被爆者は考慮せず異なった距離の被爆者間の比較をすることとした。」
と、ゲンバクの後に広島長崎へ転入してきた人を比較対照集団から除外した。
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放影研の報告を読んでいくと明らかだが、調査者らはなるべく条件を同じにするため広島・長崎にあとから入ってきたものと比較しようとしたのだが、特に早期入市者が、(当時の)厚生省のデータと比較して有意に死亡率が低く、人数が少ないための偶然か、健康なものが選ばれた可能性があると見て、当初は比較をしなかったと言うことが書かれている。将来はその影響が減るだろうとみていたのだが……。
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見る資料によって書いてあることがマチマチ。
どうやら、放影研は、この比較対照集団のことを隠そうとしているように見える。
さらに、寿命調査第8報(1977)以降は、残っていた対照集団との比較自体をやめてしまった。
比較対照せずに、統計処理だけで被曝ゼロの場合を想定して、数字を作ってしまったのだ。
こうして、都合が悪い結果が出ると、比較対照のほうを除外するということをやりつづけて作り上げたのが、世界最高の放射線影響の疫学調査である寿命調査なのである。
そもそも、核兵器の威力を調べるために始めた調査なのだから、さもありなんと言えばそれまでだが。
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やがて日本人一般と同じに扱えるようになると期待していた対照群はなんと20年間一貫して死亡率が低かった。日本人の平均と比べて不自然な集団であったために、ついに比較をあきらめたようだ。
調査者らは最初から被曝者集団の中で比較している。ブログ主は都合が悪い結果が出たからデータを都合よく変えているかのように書いてあるが、原報告を読む限り、そうは読めない。
(だいたい、核兵器の威力を調べるために始めた調査なら、死亡率が高い方が威力があったことになる。矛盾している。)
ブログ主はあくまで陰謀論にしがみついているが、根拠が薄弱すぎる。
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ちなみに、「統計学的」「頻度」という言葉に逃げ道は用意されていて、一見増えているように見えても、複雑な計算と定義をした結果、統計学的に発生頻度は増えてませんと言って煙に巻くのだろう。
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自分が分からないことになるとそれを「嘘・ごまかし・逃げ」と決めつけるのはトンデモ発想の典型。
統計の勉強をしてください。
統計でウソをつく法
ダレル・ハフ (著), 高木 秀玄 (翻訳) 講談社ブルーバックス
あたり読んでみるといい。
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100mSv以下は安全 という神話は、こうやって作られたのである。
1.原爆の被爆者を調査する際に、残留放射能で被曝した人を比較対照にする
2.それでも都合の悪い結果が出たら、比較対照のほうを無効データにする
3.ややこしい統計処理をして、実際にはある癌の増加を無いものにする
4.そうやって、学者は「100mSv以下は危険という証拠はない」と言う
5.さらに、マスコミはそれを「100mSv以下は安全」と姑息に言い換える
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(機種依存文字は変更し、改行は適宜削除しました。番号の重複は修正)
1~4は、これまで否定してきたとおり。なによりだれも100mSv以下は安全だなんて言っていない。
ただし、マスコミやデータの意味が分からない人々は、よくわかっていないまま数字を書いたり喋ったりするので、そういう情報には疑ってかかった方がいい。
マスコミを鵜呑みにすることが間違っている。
ブログ主は「100mSv以下は安全」と言っているとして研究所を攻撃していたはずだが、
いつの間にか主犯がマスコミに入れ替わっているなあ。
トンデモ言説はこうやって作られたのである。
4.原爆調査に関する論文を勘違い
いきなり引用から。
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寿命調査の間違いを、ハッキリと明示したのが、名大の宮尾克教授である。
宮尾教授らの研究は
1.放影研の広島原爆被爆者約12万人について、残留放射線は考慮されておらず、原爆の初期被爆しか考慮されていない。
被ばく線量ゼロの点は、調査対象者についてのポアソン回帰分析(統計処理)によって求めており、対照集団(生活条件などが同じで、被曝が0の集団)を決めて比較していない。
2.(宮尾教授の)調査では対照集団として、広島県・岡山県の1945年当時0~34歳の集団110万人を取り、この人々の平均死亡率により寿命調査の対象者が死亡したとした場合の死亡数と、実際の死亡数の比(SMR)を求めた。
というもの。
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ブログ主が宮尾教授らの研究としているものは、基本的に放影研のデータの比較対象がごく低線量を被曝したとした集団を比較対象にしたものだから、誤差が多いとするものである。
たとえば、
宮尾教授らの論文に対するGrantらのコメントへの反論がHPに上がっているので見てみると、次のようなものである。
「Grantらが男女でガン死亡率が違い、線量にかかわらず女性の方がガン死しやすいと分析しているけど、データの比較の仕方が悪いよ、アンタ。
そのデータ(放影研)の分析の仕方だと、どれだけ増えたかを比較する対象である「ごく低線量被曝」集団は、実は男女で被曝量に違いがあるんだぜ。知らなかっただろう。実は我々の調査だと、原爆による直接被曝線量は男女同じでも、野外作業が多かった男性の方が間接被曝の影響が強かったので、男性の方がガン死しやすかったことが分かってるんだ。だからそれを踏まえないと分析が狂うんだ。比較するなら被曝してない他の集団でなきゃ」というのである。
わかりやすくすると、
<Grantらの分析> (カッコの数字はガン死率:説明上の便宜的なもの)
高線量 ごく低線量 男女の影響差(高線量/ごく低線量)
男性 多い(5) まあまあ多い(2) 2.5
女性 多い(4) 少ない(1) 4
→すっげえ、女性の方が影響が大きいじゃん!
<宮尾教授らのつっこみ>
比較対象が悪いから分析が間違ってるじゃん。ごく低線量のグループも男性は実は結構間接被曝してるんだ。だから比較するなら放射線を浴びてない別の地域(男女とも1)とやらなくちゃ。
と言うこと。
ブログ主は、こうした主張を読み間違って、放影研がごく低線量で影響がないと言い張っていて、宮尾教授はそれを暴いていると勘違いしているのである。
おまけに次のように告白しているのだが……。
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この結果は、論文は難しくて理解できないので、共同通信の記事を引用する
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おいおい。今度は
自分に分からないことでも都合がいいと思えば崇めるのか。しかも『姑息なマスコミ』と言ったばかりなのに疑いもせず堂々と引用する。
決定的な読み間違いは、宮尾教授らは
・
従来、放射線リスクを考える上で比較対象とされていた5mSv未満とされていたものも、爆心地に近いために間接被曝していて、より多く放射線をうけていたことがわかった。
と言っているのであって、
間接被曝も含めて年間5mSv未満であってもガン死率が高いと言っているわけではないことだ。そもそも間接被曝まで含めたひとりひとりの被曝量ははっきりしていないだろう。
共同通信の記事では、(従来の直接被曝による)ごく低線量、低線量の区分でも非被曝者と比較したらガン死率が高かったとだけ書かれている。年間線量0.1Sv(100mSv)以下でガン死率が高かったと書いてあるわけではない。
思いこみで読んではいけない。
5.内部被曝の影響を勝手に外部被曝線量の100倍にするな
また引用から。
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何度も言うけれども、レントゲン検査や飛行機の中のように、放射「線」だけが飛んでくる場所ならば、ガイガーカウンターに示される数字x時間=外部被曝だけを考えればいい。
しかし、「元」が飛んできて吸い込んでしまう場所では、ガイガーカウンターの数字x時間x100位の被曝量を覚悟しなくてはならない。
文科省によれば、福島の学校では、屋外3.8μSv/時、屋内1.52μSv/時を許容限度にしたという。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
(3.8+1.52)/2x8時間x100x300日≒640mSv
ざっと見積もっても、学校にいる1年間だけで、原発推進派のトンデモ学者が言う「安全で無く無い」という限度をすらはるかに超える。さらに、家も遠くない場所にあるのだから、帰宅後も被曝し続ける。
もし、許容限度近くが続く環境ならば、トンデモ学者ですら白血病や甲状腺癌の多発は避けられないと言うだろう。
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(ん、学校にいる間の被曝ね。行き帰りや家にいるときは放射線ゼロ?1日8時間学校にいると計算している訳ねって……校庭に4時間もいるのか? それに300日も学校ってあったっけ? 夏休みと冬休み、春休みで60日ぐらい?土日祝日は??? ちなみに文科省の計算では野外に8時間、屋内に16時間すごすものとして計算してトータルの外部被曝が最高20mSvになるように計算している。)
内部被曝は重要な問題であるが、それを勝手に影響を100倍にする式をでっち上げてその数字の大きさを示したところで仕方がなかろうに。
ベクレルから内部被曝を計算する式はあちこちで紹介されている。
しかし、空間線量から内部被曝なんて、何をどれだけ、どうやって(飲んだのか、吸ったのか)取り込んだのか分からなければ計算しようがない。
東電女性の被曝も当て推量でおそろしいことを書いている。それを根拠に上の計算をしているらしい。
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内部被曝については、原発構内で働いていた女性が被曝限度超えたというニュースがあった。
防護服でガチガチに固めていても、外部被曝が3.95mSv:内部被曝が13.6mSv=1:3.5
つまり、実際の被曝量は外部被曝量の4.5倍だったと言うこと。
外部被曝が強く、内部被曝には万全を期した環境で4.5倍だから、外部被曝が原発構内よりはかなり弱く、内部被曝には対しては簡単なマスク程度で、飲み食いもする学校などの環境では、こんなもので済むわけがない。
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と煽っているのだが、マスクをしていればそうそう内部被曝をするはずがない。
報道によると次のようになっている。
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免震重要棟で放射性物質吸い込む 福島原発で内部被曝の東電女性社員 マスクも不足
2011.4.27 23:44(産経ニュース)
福島第1原発事故で東京電力の50代の女性社員が国が定める限度を超える被曝(ひばく)をした問題で、東電は27日、被曝線量の大半を占める内部被曝は、事故対策拠点の免震重要棟内にいた時に、放射性物質を吸い込んだことが原因の一つとの見方を示した。
1号機の水素爆発などの後、免震重要棟内の放射線量が高くなったというデータがあり、何らかの形で放射性物質が屋内に入り込んだとみられる。同棟には毎日多くの作業員が出入りしており、ほかにも高い線量の内部被曝をした人がいる恐れが出てきた。
3月半ばの事故発生当初は被曝を防ぐ活性炭フィルター付きのマスクも不足。女性社員が主に活動していた同棟2階では、マスクを着けずに業務が続けられていた。女性社員は、女性の3カ月で5ミリシーベルトという国の限度の3倍以上となる17.55ミリシーベルトを被曝。うち13.6ミリシーベルトが内部被曝だった。
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追記
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10000歩譲って、100mSv以下は安全だとしても、ガイガーカウンターに表示される外部被曝は、年間100m÷100=1mSv以下にしなければならない。
ということは、1m÷(364x24)≒0.0001m=0.1μ。自然放射線がマックス0.15μとしても、ガイガーカウンターの数字は、0.25μSv/時 が許容限度ということになる。
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なぜ100mSvを100で割る? さっきの内部被曝100倍のこと?
ICRPが規定している公衆(一般の人)の許容線量は1mSvだが、これは自然放射線以外の人工放射線を言っている。内部/外部合わせてだ。
内部被曝は大人で50年、子供で70年間、放射性物質ごとに半減期や生物学的半減期を考慮して計算する。外部被曝の100倍なんてでたらめな計算はしない。
ベクレル-シーベルト計算機
追記終わり
と言うわけで、みごとなまでのトンデモな論理で全てが構築されている。
ところどころ論文や書籍、グラフや数式、難しい言葉を並べてもっともらしく見せているが、理解した上で使っているとは思えない(ネットで取れるものだけというのも……)。まさに『煙に巻く』である。
こんなブログがあちこちで紹介されているんじゃないだろうなあ。
(追記
googleによると、4/30 0:34現在590件ヒット。やめて欲しい。当記事は現在8位に)
ひとつだけブログ主の偉いところを上げると、引用した記述の引用元を明らかにしているものが多かったことである。おかげですぐに検証できた。検証性を確保するために引用を明らかにするのは絶対に必要なことで、これだけは比較的よくできていた。
武田邦彦氏(中部大学)など、引用元を明らかにしないどころか、自分で勝手にデータや発言を作ってしまうから、言っていることが正しかったとしてもその態度は科学者hとして論外。
ああ疲れた。
(間違いがあったら教えてくださいね。 twitter @yuh_yuh)
追記
4,5月はいわゆる〔春の嵐〕が起こりやすく、突風が吹いたり荒れ模様になりやすい。
今、空中には放射性物質は以前ほどはないと考えているものの、土や砂が風に舞う状態なると放射性物質もともに舞い上がり、吸い込むと危険である。
防護を万全にしなくてはならないし、梅雨になるまでは学校は休止した方がいいのではないかと思う。
追記終わり
更新
2章にプロットのみのグラフ追加(4/30)