私は古いプロ用電動工具のジャンクが大好きだ。
何十年もの長きにわたって現役で使われ続け、職人さんの体の一部のようになって使われてきたのだろう。ハウジングが金属で作られており、非常に丈夫にできている。構造自体は比較的シンプルだ。脆弱な電子回路など持っていない。
だから、メンテをすれば長く使える。
そういうものが捨て値のような価格で売られている。古いから仕方がないかも知れないが。
そういう工具を分解・メンテすると、カーボンブラシが交換されているだけでなく、ベアリングが交換されていたり、刃物が研がれていたり、交換されていたりする痕がある。舐めてしまったネジが交換されていたりもする。
あちこちに長年使われてきた痕跡が残っている。
最近の充電工具が何のメンテナンスもされないままジャンクになっているのと大違いだ。
丈夫に作られ、メーカーが長く使えるように部品供給を続けてきたからこそだ。
モデルチェンジでも共通部品が使われ、とっくに部品供給が終わったはずのものでも新モデルの部品を使えたりする。
それに対して、現代のプロ用電動工具は、かなり使い捨てになっている。
特に充電工具が出てきてからはその傾向が強くなった。
新しいタイプのバッテリーになるたびに次々の互換性のない新製品がラインナップされ、古いものから置き換えられていく。
そもそも構造自体、樹脂部品が多く脆弱だ。長く使われることを前提としていない。マキタなどでは部品は比較的良く供給されているが、古いものと新しいものの部品互換性は少ない。
現代のプロ用電動工具は、10年も使われることがないかも知れない。バッテリーが供給されなくなれば、多くの場合使う事ができなくなる。
以前のACプロ用電動工具は、メンテを受けながら30年、40年、50年使われて当たり前だった。
電動ではあるものの、電動ではない工具と変わらない感覚だ。
大量消費大量廃棄時代に、高価な電動工具を投入してきた中で、メンテを前提としない電動工具がアジアメーカーから安価に供給され、消費されるようになった。これらはほとんどが部品供給をされておらず、メンテを受ける機会もないままうち捨てられることが決定している。
これらは決して電動工具だけの状況ではなく、多くの機械がそのようになってしまった。
それどころか日本では人間すら使い捨てというひどい有様だ。
人類は信用創造と言いながら物質的裏付けのない通貨を根拠に資源を浪費し続け、何れ限界が来て衰退するのだろう。それはいつの頃になるかは分からないが。
人類の目下の課題は新型コロナウイルス対応であり、不顕性を含めた大流行と潜伏で人類から少しづつ活動性をうばい、人口減少させる。案外衰退ははやいのかも知れない。
追記:
電子化は高機能化のために行われてきた。
日本の町工場でも、機械をPCで制御するものが多く導入されてきた。
ここで使い捨てとのミスマッチが起こっている。
とっくの昔にうち捨てられたPC−9801が町工場では現役で使われており、最新のPC−9801でもすでに20年が経過。そんな長期の使用は想定されておらず、壊れたら工場が止まってしまう。
そのため、民生用としては見向きもされなくなった古いPCを確保して販売する業者も存在する。
この状況に対応するために、NECはPC9801のエミュレーターを供給することにしたらしい。
PC/FC-9800シリーズ対策ソリューション」で拓くスマートファクトリー化への第一歩
~老朽化による“事業継続リスク”解消へ~【2022.07.13】
https://jpn.nec.com/manufacture/monozukuri/iot_mono/2022-07/02.html
しかし、Win10も2025年にサポートが止まる。
エミュレーターのインタフェース部もいつまで持つか。半導体が入手困難になって供給が止まる可能性もある。半導体もどんどん変化している。
こうした解決方法でも、結局エミュレートシステムをリプレイスさせ続ける未来が見える。それもいつまでやるか分からない。
Posted at 2023/12/30 07:05:58 | |
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