自分は決してお金持ちではないし、金の亡者でもない。
むしろ、「清貧」を潔しとするような人間であったし、能力と感性さえ磨いていれば、いつか認められるだろうとも考えていた。
しかし、あるきっかけから、考え方が変わってきた。
幾ら能力が高くてもチャンスがなければ埋もれたまま終わる。日本の音楽家にはそういう人材が幾らでもその日暮らしをしているのがいい例だ。
また、ただ他人の元で他人の利益のために労働していただけでは自分(とその家族)を養うのが精一杯で、そうした人生を超える「成功」はかなり困難だと気づいた。自分が理想とすることを実現し、何かをなしえるには新たな道に足を踏み出さねばならない。
そういう考えをもつにいたるきっかけを与えたのは一人の女性。彼女は今どき珍しいぐらいの上昇志向が強い人間。そんな彼女を自分は理解も出来るが行動の一つ一つに同意できない部分が多くそれが故に今は縁遠い。
そんな彼女はともかくも、埋もれた人生で終わらせたくないと思った自分が新しい方向性に舵を切った時に出会った本が本書である。
内容はスイスの銀行家たちが成功してきた経験則をまとめたものだが、その一つ一つが実例をもとにしめされつつ、哲学的で示唆に富んでいて、いわゆるハウツー本ではない。
投資(あるいは投機)の方法はさまざまである。だがどんな方法であっても、成功していける人間はそう多くはない。失敗する人間は多い(一般に市場参加者の8割は損をしているという)。そもそも失敗は誰にでもある。その失敗で全てを失うことなく、失敗を少なくしていくためには、本書に示される「公理」はとても役に立つ。
ここに紹介がてら、小さな小さな目標を取りあえず達成した自分の戒めに、もう一度読み直してみようと思った。反省は多い。
「マネーの公理」 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール
マックス・ギュンター (著), 林 康史 (翻訳), 石川 由美子 (翻訳)
日経BP社
Posted at 2009/10/17 20:32:24 | |
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