私は千切りキャベツって好きなのだけど、忙しい中千切りするのがめんどくさいし、カット野菜は高いしで、最近家ではあまり千切りキャベツは食べていなかった。
最近カット千切りキャベツが安かったので買ってみたら、やっぱり美味しいやと思い、手軽に食べたいなと探してみつけたのが、プロも使うという大型のスライサー。
下村工業 フレッシュスライサーワイド FSW-01
と言う製品なのだけど、これまで使っていた汎用の幅の狭いスライサーと違って大きいので使いやすい。刃の切れ味もよく、さくさく千切りができてしまう。
更に、切れ味が悪くなったら、この刃を交換することもできるようだ(研ぐこともできるだろう)。
なかなかの優れもの。
お奨めである。
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ちなみに、子供の頃、千切りキャベツが苦手だった。
と言うのも、母親は生野菜というと当時千切りキャベツしか思いつかなかったらしく、たいがい千切りキャベツが提供されていた。
だが、母親は千切りの仕方を勘違いしているのか、いつも【みじん切り】になったキャベツが出されていた。さらに生野菜に一切ドレッシングの類が提供されないのである。
幼い私は、出されたまま生のままのみじん切りのキャベツを食べるか、せいぜいマヨネーズをかけて、マヨネーズにぱらぱらとまとわりついたみじん切りキャベツを食べるしかない。
しかし、箸でつかもうとしても、みじん切りでぱらぱらと崩れ落ちて口に運べない。その上、生では味がないので全然美味しくない。
唯一味をつけられるマヨネーズをかけても、マヨネーズにまとわりついたみじん切りキャベツは、マヨネーズが箸でつかめないのと同じくそもそも口に運べない。ほとんどマヨネーズのかたまりを食べているようなもので、結局皿にはマヨネーズにまとわりつくことができなかった大量のキャベツの残骸が残るのである。この味のない粉状のキャベツを何とか拾って食べるしかないのだ。
口に入れても味がないのにかさはあるので飲み込めず、いつまでも口に残り続ける。
このため、いつまでたってもみじん切りキャベツが食べ終わらないのである。これをみて父母が腹を立てる。
もともと家族が顔を揃え、つねに父親の怒鳴り声におびえる食事の時間は自分にとって苦痛だったが、さらにこんな物を出され、「好き嫌いするな」「野菜嫌いなヤツだ」「食べ終えるまで他のことをするのは許さない」と責められ続けたのである。これは充分に虐待である。
父母兄がこの、箸でつかむことができないみじん切りキャベツをどうやって食べていたか記憶にない。
その後、母親は自分専用に青じそドレッシングをかけて野菜を食べるようになったが、何故か子供には使わせなかった。相変わらず私はマヨネーズでぼろぼろのみじん切りキャベツを食べるしかなかった。みじん切りキャベツは苦痛でしかなかった。
あるとき、母親が何処かで聞いてきたドレッシングの作り方を試して作っていたことがあった。これをかけるときちんと味がつき、液体の凝集力でみじん切りキャベツもそれなりにまとまってか、それなりに食べることができた。
しかし、どうしたことか私が希望しても、面倒なのか母親は二度と手製ドレッシングを作ることはなかった。
市販のドレッシングも購入されることはほとんどなかった。ほとんど唯一が母親専用の青じそドレッシングだった。
その後は、千切りキャベツ自体がほとんど出てこなくなったような気がする。最近見るのはレタスを主体としたサラダである。
みじん切りキャベツしか知らなかった自分も、やがて外食をするようになり、外で食べる千切りキャベツが母親が提供するみじん切りキャベツとは全く別物であることに気付いた。これはドレッシングをかけて美味しくいただける物だと、私の食べ物感は大いに新展開したのである。
なお、今でも実家ではまれにみじん切りキャベツが出てくる。
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いまでもどうやって彼女がみじん切りキャベツを作っているのかはっきりしない。小さな汎用スライサーを使っているのは分かっているが、普通に使えばあんな無残な物になるはずがない。
おそらく彼女はキャベツを切ったブロックの角をスライサーに当てているのであろう。特に、固い、茎に近い部分を優先的に当てるので、小さな葉の一部だけがスライスされて、数ミリの長さしかないみじん切りが量産されるのであろう。
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彼女は長年料理で包丁を使ってきたくせに、包丁が斜めにスライドさせながら切るものだと言うことを分かっていない。このことに気付いたのは数年前だ。道理で果物を剥くとやたらに皮が厚くなるわけである。
包丁は刃先がぎざぎざしていて、のこぎりのように押し引きしながら切る道具である。柳刃包丁の長さは、魚の身を一引きで切るためのものである。押し切っては身がつぶれてしまう。
彼女はほとんど万能包丁しか使わない。菜切り包丁すらもっていなかったような気がする。柳刃包丁も見かけた記憶がない。まるで今どきの料理がほとんどできない新米ママのようだ。
母親は果物をむくときも刃を斜めに動かしてカットするのではなく、実と皮の間に刃を入れて剪断しようとする。このため力を入れてもなかなか切れない。それでも強引に力で「ザッ、ザッ」っと切り分けようとしているので、安全のために皮を厚く切っているのである。
おそらく、彼女に大根の桂剥きは不可能であろう。
Posted at 2016/06/25 16:52:42 | |
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