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Yuh_Fazioliのブログ一覧

2011年05月16日 イイね!

読売さん、柏周辺ホットスポット否定ですか?[記事画像追加]

読売さん、柏周辺ホットスポット否定ですか?[記事画像追加] 今朝の読売の小さな記事で、柏周辺ホットスポットを否定する記事が出た。

 一時ツイッターに写真が流れていたが今は削除されているので再確認ができないが、一度確認している。


追記
 キャッシュから拾い出した。

追記終わり

 値の大きさはさほどではないが、東大柏キャンパスの本郷との比較やがんセンターの測定値より周囲より高いのは明らか。個人の測定でも周囲より高い。WSPEEDIのシミュレーションを見ても、全体が一様であるということを考えること自体が不自然と言える。

 記事ではさいたま市や市原市など周辺の文科省の非常に荒いモニタリングポストの値が平常値程度という文科省の公的見解を乗せてデマとし、日本データ通信協会迷惑メール相談センターがデマメールの転送を求めているというないようだったと思う。

 はっきりしないことについて、事実を確認することが先決。
 測っていないから「ない」というのは一体どういう発想だ?

 おそらくよくわかっていない支局の記者がデマの一環と思い込んで書いた記事だろう。あるいは柏市あたりの依頼記事か。
 原子力政策に荷担した読売新聞だと言うことは関係ないだろうが、典型的な『電話取材だけの記事』だと思う。
 事実に基づかない記事はデマ記事という。


(冒頭の図は3/21前後の国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)敷地内の空間線量率計測値。3/19まで0.10μSv以下であったが、20,21日は測定がないが、ここで跳ね上がり屋外Bは0.70μSvを超えている。5/15現在は屋内0.06μSv 屋外A0.10μSv 屋外B0.32μSvと2ヶ月で半分程度になっている。)

 
Posted at 2011/05/16 21:18:06 | コメント(0) | トラックバック(0) | 放射性物質・放射線 | 日記
2011年05月15日 イイね!

SPEEDIで出てくる[1歳の幼児がうける甲状腺等価線量]の意味[追記あり]

SPEEDIで出てくる[1歳の幼児がうける甲状腺等価線量]の意味[追記あり]3月に初めて公開されたSPEEDIによるシミュレーションで出てくる「幼児(1才未満)のヨウ素131による甲状腺等価線量」をみて驚いていた方もいらっしゃることだろう。
 かなり広い範囲で100mSvという放射線量が描かれていたからだ。
 法律で規定されている(ICRP勧告に従った)公衆の限界線量は1mSv。100倍もある。

 私も違和感を持ったが他のことにかまけて忘れていた()。今思うと、あのときちゃんと理解して説明できる準備をしておいた方がよかったと思う。というのは、このシミュレーションは他のシミュレーションが扱っている対象とは異なるし、食品や水の暫定規制値とも深い関係がある話であるからだ。

 *  *

 シミュレーションは吸入による甲状腺等価線量を示している。

 シミュレーションで対象にしているのはヨウ素131である。これは体内に吸収されるもののほとんどが甲状腺に特異的に吸収されることが知られている。

 このため、呼吸等で吸入し、排出されなかったヨウ素のほとんどは甲状腺に集められ、甲状腺ホルモン チロキシンの材料になる。

 シミュレーションはこの量を表しているのである。

 甲状腺という臓器は小さな臓器で、全身に放射線を浴びたとしてもその影響は全身の5%と見積もられている。この5%が組織過重係数と呼ばれる。また、甲状腺がうけた放射線量を等価線量と呼んでいる。
 一方、各臓器がうけた放射線量を全部足せば全身の放射線の影響と言え、これを実効線量と呼ぶ。これらは次の式の関係になっている。

 全身の実効線量[mSv]=各臓器の(等価線量×組織過重係数)の合計……全身の臓器の線量を足す※文末参照



 さて、ヨウ素はほぼ甲状腺だけに集まると考えるので、シミュレーションででてきた100mSvをあてはめると
 全身の実効線量[mSv]=(甲状腺の等価線量[mSv]×組織過重係数)

               =100[mSv]×0.05
               =5[mSv]
である。
 5mSvはICRPが緊急時の上限として決めている量。

 全身の影響の5%が甲状腺がうける影響だから、全身ではもっと大きな値になりそうなものだが、他の臓器は放射線を浴びていないのでそういう計算にはならない。


 シーベルトという単位が1kgあたりの量なので、体重50kgの人が全身に1mSvを浴びたとすると50ぶんエネルギーをうける。甲状腺がこの5%だけ影響を受けるので2.5のエネルギーをうけたことになる。仮に甲状腺が2.5kgとすればやはり1mSv。
 一方、甲状腺のみに1mSvをうけたとすると2.5kg分なので2.5ぶんエネルギーをうける。全身で考えてもこの2.5しかエネルギーをうけていないので、2.5÷50[kg]で0.05[mSv]の放射線量をうけたことになる。

(エネルギーの量の単位は[J]だがここでは省略。本当は体重50kgに対する甲状腺が2.5kgではなく全身に対する放射線の影響度だが、話を分かりやすくするため質量で置き換えた)

 とまあ、甲状腺がうけた放射線量(等価線量)の0.05倍が全身の放射線量(実効線量)になる。言葉が分かりにくいし、単位の成り立ちも同じSvのまま扱っていて非常にわかりにくい。

 以前福島第一原発で作業員が皮膚の一部に2~3Svの放射線量を浴びたという事故があったが、あれも等価線量なので、全身の実効線量にするとずっと少なくなる。全身に2~3Svだったら大変なことだ。

■食品の暫定規制値の場合

 ここまで来れば、食品の暫定規制値についてもやたらに大きな数値が出ても悩む必要はなくなる。

 ちょっと考えにくい極端な設定でよく説明されるが、ここでもこれを踏襲すると、

・2000Bq/kgのヨウ素131で汚染されたほうれん草1kgを365日食べ続けた場合の内部被曝量

 ベクレルとシーベルトというまったくことなる考え方の単位の換算は無理もあるが、実用上換算計算が行われている。
 大人の場合、半減期も考慮し、50年間の影響を考えてもとめる。

(式)
預託実効線量 = 放射能濃度(Bq/kg) × 実効線量係数(Sv/Bq) × 摂取量(kg/日) × 摂取日数(日) × 市場希釈係数 × 調理等による減少補正

(預託実効線量は、取り込んだ放射性物質が与え続ける放射線量のこと)

実効線量係数(Sv/Bq): 大人が経口摂取(食事で食べた)の場合
ヨウ素131 は 2.2×10^-8
(以上,http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.phpに計算機。http://memorva.jp/school/safety/radiation_bq_sv.phpに内容がまとまっている。リンク先も参照すべし)

 これは1回の事故で汚染されたことを前提としているので、つぎの事故で新鮮な放射性ヨウ素(?)で汚染されるとまた計算を別にする必要がある。

 で、実効線量係数は放射性物質ごとに示されていて、市場希釈係数や調理等による減少補正も必要だが、個別に考えることは困難なので1で計算することにする。

預託実効線量 = 放射能濃度(Bq/kg) × 実効線量係数(Sv/Bq) × 摂取量(kg/日) × 摂取日数(日) × 市場希釈係数 × 調理等による減少補正
= 2000[Bq/kg]×2.2×10^-8[Sv/Bq]×1[kg]×365[日]×1×1
= 16.06[mSv]

となる。

 うおう、1mSvを大きく超えているぢゃないか! と焦る必要はない。

 吸収された放射性物質はほとんどが甲状腺に集まるので、これは甲状腺の等価線量に相当すると考えることにする。このため0.05をかけると全身の実効線量になる。
甲状腺の等価線量=預託実効線量として
実効線量=預託実効線量×組織過重係数
      =16.06[mSv]×0.05
      =0.803[mSv]

となる。
 かなり極端な設定で、ほうれん草は葉物野菜全部と読み替えるべき(それでも大人で一日400g程度)だが、(放射線施設管理上の規制値である)平時の公衆被爆の限度線量1mSvすら上回らない。
 これは暫定規制値の決め方からして当然のこと。
 
 暫定規制値は緊急時で放射性物質(放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種ごとに実効線量5mSv(放射性ヨウ素は甲状腺等価線量50mSv)を上限と設定し、食品群(「飲料水」(水)、「牛乳・乳製品」(牛乳等)、「野菜(根菜や芋類を除く)」(菜類)など3~5群:放射性ヨウ素と放射性セシウムでは半減期の違いから扱いも違う)ごとに割り振りをし、世代を5つに分けていずれの世代でも上回らないように設定している。実際の値を見るとより厳しめに決めているので、暫定規制値の値自体は信用していいようだ。
(詳しくはチーム中川のブログで解説しているので参照のこと。また、さらに詳細には次のリンク先も参考になる。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/rb-rri/QA/gakkai1.pdf
http://www.aist-riss.jp/main/modules/column/atsuo-kishimoto009.html
http://www.s.fpu.ac.jp/oka/radiation.htm
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110325sfc&fileId=160

以下は専門的だが非常に事細かく難解な原資料から解説している。
食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか
http://katukawa.com/?p=4467
)
 ただし、流通過程が信用できるかどうかは別問題


 なお、とてもわかりにくいが実効線量と等価線量が混同されているのは大きな問題。チーム中川も説明を試みているが、あの説明では厳しいのではないかと……。

 ある程度数字を見ている人たちの間でも認識が曖昧な様子。いまだに食品の暫定規制値で求めた預託実効線量が1mSvより大きいから問題だとか、統計上有意な影響を認めない100mSvより小さいから問題ないと言っているのを見るが、異なる意味の数値を比較しても仕方がない

 たとえば、例に出したほうれん草1kg365日の約16mSvを実効線量100mSvや1mSvと比較しても仕方がない。
 福島第1原発作業者が2-3Svを皮膚に被曝したというのを聞いて、東海村JCO臨界事故のようなものを連想してしまった人は早合点(恥ずかしながら自分もだ)。実際ベータ熱傷だけで退院している。
 
 

 残念ながら、一般の人はこの種の説明をしても「数字を並べられても意味が分からないから」と受け付けてくれない。その結果、陰謀論やら政府不信論とかの分かりやすい敵を設定したものに流れてしまう
 
 自然科学で安全確保が図られているのにもかかわらず,それが通じていない。自然科学教育の無力を感じる場面である。
 
 分かりやすくするほど真実から遠ざかる。実際放射線はとてもわかりにくい。



 全身の実効線量と組織過重係数による各組織の等価線量の関係(ICRP2007)

『実効線量』 =
『生殖腺における 等価線量』 x 0.08
+ 『骨髄における 等価線量』 x 0.12
+ 『胃における 等価線量』 x 0.12
+ 『肺における 等価線量』 x 0.12
+ 『結腸における 等価線量』 x 0.12
+ 『膀胱における 等価線量』 x 0.04
+ 『乳房における 等価線量』 x 0.12
+ 『肝臓における 等価線量』 x 0.04
+ 『食道における 等価線量』 x 0.04
+ 『甲状腺における 等価線量』 x 0.04
+ 『皮膚における 等価線量』 x 0.01
+ 『唾液腺における 等価線量』 x 0.01
+ 『骨表面における 等価線量』 x 0.01
+ 『脳における 等価線量』 x 0.01
+ 『残りの組織における 等価線量』 x 0.12
(組織過重係数の出典:ICRP2007勧告について 原子力安全委員会事務局)
なお、文中では甲状腺について1990勧告の値0.05を使っている。


追記
 放射線の実効線量について学ぼうとする人が参照しているようなので、一部の書き改めたりリンク追加をしている。これからも随時行う。
追記終わり
Posted at 2011/05/15 11:09:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | 放射性物質・放射線 | 日記
2011年05月14日 イイね!

WSPEEDIによる広域シミュレーション[追記あり]

WSPEEDIによる広域シミュレーション[追記あり]文科省がWSPEEDIによる広域シミュレーションを公開した。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等による計算結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305747.htm


 ここに掲示したのは3/25のシミュレーションで、ヨウ素131の表面沈着量 積算値である。

 図にあるように、あくまでシミュレーションであって実際の測定結果ではないので注意してみて欲しい。シミュレーションは誤差の塊である。

 私の関心は、WSPEEDIが地域による濃淡が存在する(=ホットスポットがある)ことをしめしているかどうかであった。

 他のさまざまなシミュレーション同様風により放射性物質の帯が動き、地面に付着したものが複数の帯になっている。その濃淡の色分けは10倍ごとに違う。つまり、隣り合う色同士で最少1倍~10倍~最大100倍程度の差が生じていることである。こうした濃淡が柏近辺のホットスポットとして見えかけている可能性があるし、他の地域にも存在する可能性を示していると思ってもいいのではないだろうか。

 なお、現状ではヨウ素131の影響はかなり低減しているはずで、セシウム134/137の影響が中心になっていると考えられている。

追記
 ホットスポットとして話題になった柏市や松戸市は、東大柏キャンパスやがんセンターの測定方法は他と違うこと、敷石の影響などが元々あることなどから高いと言っている。しかし、

東大での測定値(5/12,13)
・東大本郷 平常0.05~0.10に対して0.06~0.12
・東大柏1  平常0.10~0.20に対して0.36~0.38
・東大柏2  平常0.05~0.10に対して0.21~0.28
 
であり、平常のバックグラウンドを差し引いても充分に本郷より値が大きい。

 WSPEEDIの結果にもあるように濃淡があって当然であるのだから、広域な調査が必要である。

 なお、健康被害についてはこの程度の値では問題はない。ただし、未測定の地点については当然分からない。
 
 
(柏市公式ウエブサイトより)
Q1.新聞等で見られる千葉県(市原)の数字に比べて、東京大学柏の葉キャンパスや国立がんセンター東病院で独自に測っている数値が高いが問題ないのでしょうか?
東京大学柏の葉キャンパスや国立がんセンター東病院での数値が高いのは事実ですが、現状の水準では健康には、子どもも含めて全く問題ないと、東京大学、国立がんセンターからもコメントをもらっています。
また、市としましても、放射線に関する専門家のコメントなどを読む限り、健康に問題はないと認識してます。
上記2箇所の数値が高い要因として、そもそも、測定のやり方や場所によって数字は変わることがあげられます。
東京大学が測定しているものは、国や県が行っている測定方法と異なっているため、単純な比較はふさわしくないとのことです。同大学では、測定地にある天然石や地質などの影響で、平時でも放射線量率が高めとなっており、現在、公表している柏の葉のデータは、他と比べ高めであるが、これは測定方法、測定する高さ、測定場所にある石、土砂などの影響が原因であると考えているとのことです。東京大学や国立がん研究センターについては、県内で測定されている市原市内の測定場所より低い地上付近で測定されており、地面に近ければ近いほど、石、土砂の影響を受けるので、その影響があるとみられます。
このような理由により、文部科学省などが公表している近郊の放射線量率に比べて高めの放射線量率ではありますが、両機関の専門家の意見としましても、人体に影響を与えるレベルではなく、健康にはなんら問題はなく、特段の対策は必要ないと見解を示しており、柏市も同じ認識をしています。

追記終わり
Posted at 2011/05/14 07:49:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 放射性物質・放射線 | 日記
2011年05月14日 イイね!

煽られて思考停止する人々[リンク追加・変更あり]

煽られて思考停止する人々[リンク追加・変更あり]今日、何人かの人と話をしている中で、かなり驚いたし全体的にはかなり問題と感じた。
 それは放射線に対する知識のなさ・恐怖・思考停止である。


■驚愕!子供たちに100mSv未満なら安全と覚えさせる人発見
 何より驚愕したのが、放射線当量100mSvより被曝量が少なければ安全だと子供たちに覚えさせている人がいたことだ。

 話をしてみたが、放射線量についてしきい値問題直線しきい値なしモデル仮説も知らない。根拠は新聞に載っていた図(国がいつもモニタリング資料に添付しているものを元にした図)の「100mSv=これより弱いと健康被害が観察されない。」の記述だと言う。同じ図にある「1mSv=一般公衆の年間被曝限度」を指摘しても「100mSv以下なら安全だと書いてある」と言うばかりで意味が分からないらしい。
そこで
・福島県の校庭での被曝問題で上限20mSv/年が問題になったのは1mSvが日本での放射線防護の基準であるためであること。
直線しきい値なし仮説の概要。
国際的な放射線防護基準が安全を見込み1mSvになっていること
日本もそれに準拠して法律で管理していること。

を説明したが、「100mSv以下も危険と言っている奴らもいるが、100mSvが国の基準だ」と。
その本人が信頼するのは新聞と週刊誌の記事であるという。
 1mSvは反原発派の主張と言わんばかり。


■一般の人は放射線量の数値を知らないと答えた
 上の件で非常に危機感を感じ、東京に通勤し東京周辺に住む科学系ではない幾人かの人に聞いてみた。内容は
・福島県の校庭の放射線量について国が年間20mSvの基準値を設定した件について、その数値が印象にあるかどうか。
と言うもの。
 すると多くが
・全く記憶にない。
とのことだった。しきい値問題ででてくる100mSvも、ICRPの公衆被曝限界1mSvも全く知らないとのこと。
 一人100mSvという数値が良く出てくることを知っているものもいたが、その放射線の強さとその影響については分からないとのこと。

 この問いかけをした際に感情的に怒りだしたものもいた。曰く
・放射線の害なんて誰にもわかんないじゃないの。
・そんな話を私に聞かないで。一体何が目的なのよ。

 
 この方は、日頃から「きっこ」のツイートないしは何らかのネット情報を見ているらしく、放射線に対する恐怖心や行政・研究機関・その他への不信感をかなり煽られているようだ。
 また、ホットスポットとして知られるようになってきた近辺にお住まいで、自宅付近がホットスポットであるという知識は持っていた。しかし実際にどれぐらいの線量であるのかと言うことは分かっていないらしい。
 この方は、ネットに流れる煽り情報で不安感を強く持ち、にも関わらず現実に逃げ出すことは(費用的に/仕事の上で等)できないと考えている。
「私ぐらいはもう先がないから別にかまわないが、若い人や子供は逃げるべき。」といいつつも自身の身に降りかかることにはかなり恐怖心を持っている
ように感じる。
 ゆえに「思考停止」してしまっているようだ。
「分からないしどうすることもできないから、考えたくないし聞かれたくもない」と言うことなのかも知れない。

 不思議なことに、専門家がどのように放射線の影響をとらえているのかを調べておらず、『すべて信用できず、将来どうなるかなんてなってみないと分からない』と考えていた。
 

 この方の様子を見ていて、群馬大・早川由起夫教授の「行政がしてくれなくても子供のために自主判断で逃げ出すべきだ」という旨のツイートに「簡単に引っ越せるわけがない」と怒りをぶつける福島の方々の反応がかぶった。
 危険の可能性を感じながらも現実に引っ越すことの困難さから、危険の可能性を考えることを押し殺したり、いずれ改善すると考えたり、「(放射線は自然にもあるのだから/大げさに騒いでいる奴らがいるだけだから)大したことはない。気にする必要はない」と過小評価したりしているように見える。
あるいは、「『前向きに考えこれまで通りに生活する』という思考停止」で難局を乗り切ろうとしているようにも見える。それはじっと我慢して嵐が過ぎるのを待つのに似ている。それ故に、押し殺している部分に触れられることがとても大きなダメージになるのだろう。
 一方で恐怖を煽られ、確かなことは不明なままあらゆることに不信感を持ち、一方で何もできない。その気持ちはとても辛いものだろうと思う。

 しかし、放射線量が実際にどうであるのかについて、抜け落ちている様にも感じる。
 そしてその値が高いなら、じっと我慢するほど被曝量は大きくなる。

 

■結局は感情に響くことが駆け回りやすいのか

 別の時に、比較的若い幼児・小学生ぐらいの子持ちの女性から
・いろいろな情報が流れてくるし、人によって言うことが違う。
・一体何を信じていいのか分からない。
・若いお母さんたちはパソコンを使わず携帯メールがやり取りの中心。デマがすごい勢いで流れてくるが、流れてくるものがデマなのかどうかもよくわからない。

という話を聞いた。

 また、他の方から
・よくわからないから、危険とか安全とかと誰かから言われればそれを信じるしかない。
とも。

 冒頭の人含め、これほどまでに
・放射線に関する正しい知識、考え方が浸透しておらず、国際的な基準が存在することすら知られていないこと。
・数値の意味するところは不明なまま、あるいは数値や理屈抜きで、あやふやな『危険』『安全』といった情報に左右されてしまっていること。

に愕然とした。

 自然科学教育や情報教育は充分な効果を発揮できていないと言うことか。

 雑誌や新聞の情報を絶対というのは、年齢の高い層やネットを使わない一部の人に特有な傾向だ。
 一方、ネットを使う人でも陰謀論・不信や恐怖を煽る情報に左右されやすい。
 ツイッターではデマの洗礼を受けやすいし(その反論がまた駆け巡ったりするようだが)、携帯電話を通じたお友達ネットワークが唯一の情報入手手段になるとかなり偏った情報が流れやすいようだ。

 しかしながら本質は情報の流通方法ではないようだ。感情レベルで恐怖と感じればあらゆる手段で情報が広がる。さらに間違った情報でそれが補強されていくことも良くある。その恐怖にとって都合の悪い(?)情報は集められにくく、それに合致するものばかりが参照されやすいようにも見える。


 一方で中・高生に聞いてみると意外にも「出所不明な情報は他人に回してはいけない」ということをよく知っている。情報教育は効果がないわけではない。実践できているかどうかは不明であるが少なくとも知識ベースでは。

 では自然科学教育はどうかと言えば、ほとんど役立っていない様だ。情報の出典を調べたり資料を見て数値の検討・評価をしたりするようなことはあまりされていない。
 科学的に取り扱うには、知識や経験、なにより科学的方法論を身につけていないと難しい。

 古くから受験に偏った指導が行われ続けていることや、教員自身が自然科学のデータの取扱や考え方を充分身につけていないこともあるだろう。
 ただ、放射線について学校教育では扱うことが理系で物理を学ぶ以外そもそもほぼ皆無であり、教員自身ほとんど知識がない。放射線防護についての知識など原子力系や放射性物質をトレーサーとして使ったなどでない限り、多くが無縁だっただろう。
 少なくとも理科教員であれば、このような大きな問題が起きたときにこそ正しい知識を伝えて欲しいと考えるが、基礎が不十分すぎると、理解しないまま間違ったことを吹き込む害悪になりかねない。
 
 冒頭の教員はよほどの特殊事例と信じたいが、現状の放射線の問題を説明するには、日本で採用されている基準があることと最低限「しきい値問題」と「ICRPの勧告」について概要を説明できる必要があり、できればそうした基準のもととなっている広島・長崎の疫学調査の成果と問題点(国が原爆症認定訴訟で敗訴した理由など)を知っていることが望ましいが、それが出来る理科教員はあまりいないのではないか(※注)。

 そもそも社会的に影響力のない教員に期待しても仕方がない。生徒の情報源は学校外に豊富にある。そしてなにより多くの「大人」が知る機会を持たなければならない。
 メディアに期待する部分もあるが、なんらかの発信力を持つ人間が伝えていく必要性があるだろう。






※注 高校の英語教材として原爆症認定訴訟について取り上げているものがあるらしいので英語教員の方が詳しいケースもあるようだ。
 


#放射線問題と比較して、驚くほど浸透している印象があるのが『またどこかで大きな地震が起こる可能性があること』『房総沖や首都圏直下の可能性があること』である。
 確かに分かりやすい話である。
 しかしながら、それに対する備えはあまり充分ではないようだ。

追記
 リンク先追加、変更した
追記終わり
Posted at 2011/05/14 00:57:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | 放射性物質・放射線 | 日記
2011年05月07日 イイね!

より精度の高い放射性物質移流拡散シミュレーション

追記

WSPEEDIによる広域シミュレーション[追記あり] 2011年05月14日

も参照のこと

追記終わり

 群馬大 早川由起夫教授のツイッターで紹介されていたが、これまでより高精度で広範囲な放射性物質移流拡散シミュレーションが公開されている。
 これまでの、各国気象庁のおおざっぱすぎるシミュレーションや、SPEEDIの局地的すぎるシミュレーションでは分からなかった東京周辺を詳細にシミュレートしている点で画期的である。
 勿論、シミュレーションには誤差がつきものであることは承知する必要がある。


株式会社 K&F Computing Research の移流拡散シミュレータ Gradiによる。
(添付の説明文より)
すでにSPEEDIや各国気象庁によるシミュレーション結果が公表されています。しかし前者の計算は線­源に近い地域に限られており、また後者の計算は広範囲ではあるものの空間的に粗いものでした。これに対し、東京近郊でのより詳細な放射性物質の分布や、加えて降雨による放­射性物質の落下の影響を知りたい、と考えシミュレーションコードを開発しました。

左パネルは移流物質の濃度、右パネルは雨で落下した物質の(積算)濃度を表しています。両パネルとも対数間隔です。

http://www.kfcr.jp/gradi.html#about


 * *

 精度の高いシミュレーションであるだけでなく、降雨も考慮しているのがミソだ。
 これを見ると、3/15,21に起きた雨での放射性物質降下の様子がよくわかる。

 福島市、郡山市などの中通りの線量が高くなっていることについて、15日に一時上空に滞留したのち雨で降下した様子がよく見える。注目しているデータやシミュレーション条件が違うこともあるが、東大早野教授による、地表付近のアメダスデータと空気移流シミュレーションから関東回りで中通りを北上後降下したとする見解とは若干印象が異なる(早野教授の「原発北西部の放射線レベルが高いのは、原発から出た放射性物質が直接北西に飛散したのではなく、関東上空を経由して福島中通りを北上し、3月15日夕刻の雨で地上に落下したのだと推測されます。」という見解には個人的には若干違和感があった。なお、放射性物質の放出時間、継続時間の条件設定が違うため、今回のシミュレーションの方が正しいとは言えない)。

 また、柏付近へは私も以前書いたように、洋上に出た放射性物質を含む空気が21日の北東風で吹き寄せられながら雨で降下した様子も見える。このシミュレーションによると、柏付近から北側……野田市、栃木県から中通りへが高めになっているように見える。

 これまでの、各国気象庁のおおざっぱすぎるシミュレーションや、SPEEDIの局地的すぎるシミュレーションでは分からなかった東京周辺を詳細にシミュレートしている点で画期的である。
Posted at 2011/05/07 08:01:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | 放射性物質・放射線 | 日記

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「梅雨、日本周辺にしかない独特の気候なのだ。おかげで日本人は紫外線の影響を受けにくくなっているし。悪いことばかりではない。」
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