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Yuh_Fazioliのブログ一覧

2015年02月22日 イイね!

森林は二酸化炭素吸収に貢献しない


 生徒に「二酸化炭素が増えていることが問題になっている。じゃあ減らすにはどうしたらいいか」と尋ねると、

・石油を使わない
・物を燃やさない
・森をつくる

といった答えが返ってくる。

 そのうち、森をつくることは短期的には貢献しても、長期的には貢献しないことを生態系の物質生産のところで話すことになるが、結構意外そうな顔をする。一般に森林を守る=二酸化炭素削減のようなイメージを持つ人は多い。

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 もし砂漠のような植物が生えていない土地があり、そこに植林をして生育させることができれば、植物は光合成をして二酸化炭素を吸収し、有機物として固定する。
 しかし、それは木々が生長し、上から見てその土地を葉が埋め尽くすまでの話。

 土地に降り注ぐ光を全て葉が吸収する状態になれば、それ以上光合成量を増やすことはできない。森林の総生産量(光合成による有機物生産量の総量)は限界を迎える。

 一方、植物は成長を続ける。幹は太くなり、枝は増え、根も増える。細胞が増えるほど細胞での呼吸量が増え、有機物を消費し、二酸化炭素を放出する。

 最終的には総生産量と総呼吸量はほぼ一致する。森林生態系で生産と分解が一致する。つまり、二酸化炭素は吸収されても、ほぼ同じ量だけ放出されて、プラスマイナスゼロになる。植林後20~30年の話だ。

(図のPgが総生産量。Rが呼吸量。この二つが近付いていくと二酸化炭素の吸収力がゼロになっていく)

 植林をして短期間にそうなるのだから、既存の森……成長しきった極相林では二酸化炭素削減には貢献しない。

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 プランターで植物を育てると、二酸化炭素削減に貢献している気になるが、これもその植物が育っているときだけの話で、枯れた物をゴミとして捨てたり土に埋めてしまえば分解されて二酸化炭素に戻ってしまう。全く貢献はないどころか、苗や資材の流通過程で石油資源が相当使われているはずだ。むしろマイナスにしかならない。

 我々はつい、都市の緑化による生物環境の多様化と二酸化炭素削減を同一視してしまうので、こういう勘違いが生じてしまう。緑化には緑化の意味があるが、物質の出入りとして考えた場合、二酸化炭素の削減には長期的には貢献しない。
 固定した二酸化炭素を有機物として分解させず固定させ続け、その緑化する面積を増やし続けなければ、植物を育てても二酸化炭素削減としての意味がないのだ。生物の体を構成する炭素は、死んで分解されればお空へと還っていく。
 以前流行ったケナフという植物の栽培も、枯死後の処理で結局ほとんどが分解されるので二酸化炭素削減には意味がない。紙として利用して保管やリサイクルし、森林伐採と運送コストを削減できてはじめて意味がある。

 森林で二酸化炭素削減に貢献するのは、次の場合だ。

新規の植林
再植林
森林経営(適切に伐採を行い、木材を利用する)

 現在植物のないところ……砂漠を森林に変えるか、人間が破壊した元森林を復帰させる以外二酸化炭素の固定としては有効ではない。しかし、それも成長中だけに限られる。

 森林経営を行う場合でも、伐採した木々を燃やしていたのではダメで、家具や建築等に利用し、有機物の状態を保たねばならない。

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 しかしながら、森林資源を無限に分解させることなく使い続けることは不可能で、森林経営が熱帯雨林の単純伐採を減らすことには貢献しうるしやらないより遙かにマシだが、増え続ける二酸化炭素を吸収することには困難性がある。
 だからと言って、難分解性のプラスチックとして固定したまま環境中に投棄するのも問題がある。
 一方で、サンゴや貝殻、藻類の殻などとして炭酸カルシウムとして環境中に固定する方法もある。ただし、二酸化炭素濃度が高くなると、海洋の酸性化で溶け出し、二酸化炭素の放出源ともなりうる。

 そもそもが地球の長い歴史の中で、膨大な量の二酸化炭素が生物の光合成により有機物として固定され、地中に埋もれて石油・石炭になったのであるから、二酸化炭素を増やさず現在の環境を維持しようとするなら地下有機物(あるいは海中のメタンハイドレートなど)を利用しないようにするしかない。しかし、人類の活動に燃料等に有機物資源は必須である。

 そこで燃料等を生物に生産させる発想が出てくる。地上で光合成などからつくられた有機物を利用すれば、二酸化炭素は吸収された物を放出するだけだから、プラスマイナスゼロになると言うわけだ。これをカーボンニュートラルなどと言う。
 ただ、食糧生産と燃料生産が畑を奪い合うことになれば本末転倒で、穀物収穫や利用後の植物体を利用したり、別の方法での生産が必要になる。

 畑をつかわないものとしては、大量培養に目処が付いているユーグレナ(ミドリムシ)による燃料も期待されている。

 しかし、コストや供給安定、性質を考えると全てを置き換えることは容易ではなさそうで、より直接的な太陽エネルギーの利用拡大(風力、太陽光発電等)や地熱利用の他、エネルギーの利用そのものを減らす方向へ向かうべきなのだろう。目先のコストに囚われて原発依存というわけにもいかない。

 このところ水素がまた注目を浴びているけれど、水素から得られるエネルギーは体積比では液化水素でもガソリンの1/4に過ぎない。インフラ整備はかなり困難があるし、気体より液体を取り扱う方が遙かに容易である。水素の運搬一つ取っても得られるエネルギーに対してコストや危険性が大きく(ex:トルエンを媒体にした運搬、極めて小さい分子で透過性の高い水素のパイプライン輸送など)、水素で全てをまかなうのはハードルが極めて高く現実的ではない。

 理想のエネルギー源でも登場しない限り、環境問題を緩和する結論としては経済の縮小に行き着きそうだ。



参考

森林総合研究所北海道支所 研究レポート  No.80
森林におけるCO2出入りの仕組みは複雑だ 宇都木 玄
http://www.ffpri-hkd.affrc.go.jp/koho/rp/rp80/report80.htm

森林・林業学習館 CO2吸収源としてカウントできる森林とは
http://www.shinrin-ringyou.com/ondanka_boushi/ok_ng.php


KAYANNE LABORATORY サンゴ礁について
東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻茅根研究室
http://www-sys.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~coral/coral/coral03.html

海藻類による環境修復 能登谷正浩
http://www.sourui.org/publications/phycology21/materials/file_list_21_pdf/28Kankyo-shufuku.pdf


Togetterまとめ 15.01.27水素の輸送は困難 水素製造は低効率 水素社会日経記事批評
http://togetter.com/li/775947


Togetterまとめ 15.02.16水素社会 水素エネルギーハンドブック批評
http://togetter.com/li/783898


ビジネスメディア 誠
本当に? ミドリムシで飛行機が飛ぶ日
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1301/30/news009.html
ミドリムシがクルマを走らせる? “夢の燃料”ができる日
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1407/09/news018.html


Wikipedia バイオ燃料
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E7%87%83%E6%96%99


け・ke・ケ・KE・ケナフ?
http://www.ne.jp/asahi/doken/home/charoko/kenaf/index.htm
Posted at 2015/02/22 12:59:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記
2013年09月23日 イイね!

人の手で生物を育ててそのまま自然に放り出したらダメでしょ!

 しばらく前に知って驚愕したのが、フクロウの里親の話。

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フクロウ「里親」はおばあちゃん ヒナ育て放鳥20年
http://www.asahi.com/special/080804/OSK201005140153.html


 毎年屋根裏で生まれるフクロウのヒナを大きくなるまで育て、山に返し続けている広島県神石高原町の見永(みなが)豊子さん(79)の“子育て”が、今年で20年目を迎える。今年も、育てていた1羽のヒナが無事、山に帰っていった。

 野生のフクロウが見永さん宅の屋根裏で初めて産卵したのが1991年。毎年4月中旬から下旬ごろ、1~4羽の、よちよち歩きのヒナが誤って巣から住居部分に下りてくるようになった。すると親鳥は近づかなくなるため、見永さんが親代わりになって鶏肉などで育てる。2週間ほどして室内を飛ぶようになると、毎年、近くの山に放してきた。

 親のフクロウの産卵は毎年続き、これまでに見永さんが育てたヒナは51羽。広島市の安佐動物公園によると「20年続いていることから親は代替わりしているはず。フクロウにとってよほど居心地がいい最適な場所なのだろう」。見永さんは「フクロウのおかげで今でも元気でいられてます。ありがたいありがたい」と話していた。(高橋正徳)

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 ヒナは巣立ち前に親から餌の捕り方を学び、やがて自立する。ヒトがえさを与え続け、そのまま自然に放り出していればその鳥はほぼ確実に飢え死ぬ。

 日本野鳥の会ではヒナを拾わないよう啓蒙している。

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http://www.birdfan.net/about/faq/find_hina.html
Q.人(ひと)がヒナを育(そだ)てることはできないのですか?
A.たくさんの虫(むし)を与(あた)え続(つづ)けるなどすれば、育(そだ)てられることもあります。ただ、自然界(しぜんかい)では巣立(すだ)ち後(ご)に親鳥(おやどり)と過(す)ごすわずかな期間(きかん)(1週間(しゅうかん)から1ヶ月(かげつ))に「何(なに)が食物(たべもの)で、何(なに)が危険(きけん)か」などを学習(がくしゅう)してひとり立(だ)ちするので、人(ひと)に育(そだ)てられたヒナは自然(しぜん)の中(なか)で生(い)きていけるとは限(かぎ)りません。 なお、怪我(けが)をしている、希少種(きしょうしゅ)など、放(ほう)っておけないと判断(はんだん)される場合(ばあい)は、裏面(うらめん)を参照(さんしょう)して自治体(じちたい)などに相談(そうだん)してください(野鳥(やちょう)は許可(きょか)なく捕(とら)えたり、飼(か)うことはできません)。
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 日本野鳥の会では毎年「ヒナを拾わないで」キャンペーンをしているのだが、上のような話を美談としてマスコミが伝えていてはどうしようもない。

 朝日新聞にも抗議が行っているようだが、上記のように記事はそのまま放置されている。
 彼らには反省がないのだろうか。それとも例によって「取材方法に問題はない」と開き直っているのだろうか。



Posted at 2013/09/23 07:37:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記
2013年03月19日 イイね!

ブリと言えば……

 先日、天然物のブリが安かったので買ってみた。

 で、塩焼きにしようとパックを開けてみたら……

・ブリ糸状虫

とご対面。

 と言うか、見てすぐ寄生虫と分かるものの、名前は知らなかった。

 よくみかける、太さ1mm程度の細長い寄生虫。よくブリの血合いの中にいるそうな。

google検索 ブリ糸状虫

 内臓とかそのあたりにいる寄生虫は多いけれど、身の中にいるものはあんまり嬉しくない。調理の際気付かず食卓に上っているケースも多いのかも知れない。とはいえ、人にはとりつかないので、たとえ生きている状態で食べたからと言ってどうと言うこともないのだが。

 秋・冬の寒い時期のにはいないことになっているが、しっかりいたけど。

 自然界の生き物には多かれ少なかれ寄生虫がいると考えた方がいい。
 加熱や冷凍で多くの寄生虫は死ぬ。
 なので、生で食べるには知識が必要。本来の宿主ではない生物に入り込んでしまった寄生虫が、成虫になれず困って動き続けて悪さをしたりもする(顎口虫とか)。

 

 

Posted at 2013/03/19 05:33:58 | コメント(0) | トラックバック(0) | 生物 | 日記

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