私学教員ユニオンは2018年に発足したばかりの、私学教員の労働環境改善に取り組む団体だ。
私学は労働基準法がそのまま適用される中小企業の1種だが、給特法によって4%の一定手当だけしかつかない公立学校職員と同様に、いくら残業をしても残業手当を支払わなかったり、長時間・休日労働が慢性化していたり、部活動が事実上職務命令であったり、多くの問題がある。
特に、実態と全く合わない契約で労働につかされ使い捨てられる非常勤講師の問題は、多くの私学で当たり前の様に起こっている。
まだ活動歴の短い私学教員ユニオンでも立場の弱い非常勤講師の問題が持ちこまれやすく多くを占めている。
相談が持ちこまれ名前が上がっているのは
関西大学付属中学校
正則学園高校
文理開成高校
安田学園中学校・安田学園高等学校
京華商業高校(京華学園)
橘学苑
であるが、これらの学校が極めて特殊と言うことではない。中身を見てみれば他の私立高校でも当たり前の様に行われているようなことが表に出たに過ぎないものも多い。
学校では労務管理などされていないに等しい。タイムカードがある学校の方が珍しい。出勤簿に印を押すスタイルが未だ主流だ。
労働基準監督署から労務管理を求められて出退勤記録をつけるようになった学校もあるようだが、非常勤講師に管理が及んでいるものは希だろう。何しろ、非常勤講師は授業時間だけが契約時間という建前なので、その他の時間は勝手に職場にいるだけ、何かやっていてもそれは自主的にやっていることであって職務命令ではないと言うことになっている。
授業の準備、後処理、テスト作成、採点、授業・成績管理…これらはいくらやっても労働時間にカウントされることはない。実態として業務請負契約のようなものになっている。しかしながら指導監督指示命令をされるのであるからあくまで労働雇用なのである。
その労働契約書類が存在しなかったり、形だけで労働契約内容が不明であったりすることも多い。
労働基準監督署の指導で非常勤講師の労務管理を行うようになれば、待遇は改善する可能性がある。しかし、その分1コマの賃金が安く抑えられる可能性が高い。育児との両立や学業との両立を目指している場合、収入が大きく減ってしまう可能性がある。
仮に現在1コマ2800円として16コマでは週44, 800円の収入。実務時間週40時間とすると時給は1120円となる。コンビニや倉庫の軽作業バイト程度の時給だ。このまま週20時間しか職場にいられず持ち帰りで仕事をすると、時給管理では1120円のままなので週2万2400円と半減してしまう。
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新卒では1コマ1000円台という学校もある。1800円で16コマとして、実態の労働時間が週40時間であると、月11万5200円、時給換算で720円に過ぎない。最低賃金を大きく割っている。しかもそう言う学校は夏休み期間には賃金を支給しないことが多いので、年収はわずか126万7200円だ。家賃と光熱費、食費、税金・年金だけで赤字になりかねず、とても生活できない。
親元で生活し、これで専任採用までの我慢と思っていても、昨今では5年で雇い止めにされてしまう可能性が高い。
追記:
塾バイトは昨今低賃金ブラックバイトの代名詞と化している。
かつては高時給のバイトであったが、私学ブームを背景に業界参入が増え、個別指導が増加した上少子化で競争が激化している。その結果講師賃金が低くなり、授業以外の事務処理や生徒管理の仕事が増え、拘束時間が延びているのに授業時間以外には賃金を与えない状況が蔓延化した。最低賃金に及ばないことがざらだ。職務内容ではクラス担任を持ち、ほぼ正社員と同じと言うこともある。
この状況が問題化し、昨今では授業以外の時間にも給与を発生させるようになっている。しかし、これが実務時間とリンクしていない一律手当になっていて、ブラックぶりが続いている。
需要は高いが待遇が悪いため、塾講師は常に人手不足で募集中だ。
塾で教えるぐらいなら家庭教師の方が遙かに厚待遇で、人気が集まっている。
Posted at 2019/05/22 10:33:03 | |
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