日本の人口は2008年にピークを打って減少中。
生産年齢の15-64歳の人口は1995年にピークを打って減少中。
団塊ジュニアが子供を産める環境でなかったので、団塊世代、団塊ジュニア世代のボリュームを支えるはずだった団塊孫世代が存在しなくなっている。
生産しない65歳以上の人口が増え続け、減少に転じるのは2040年代。この間も生産年齢は急激に減り続ける。
日本の生産力は減り続け、経済規模も縮小し、高齢者福祉のための負担が増え続ける。
少子高齢化が確実と言われ続けていたのだから、あきらかに少子化対策を怠ったことが日本の衰退に直結している。
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人手不足は生産年齢の減少の影響。
市場が大きくなった高齢者介護と保育は、低賃金で当然労働者確保が困難になる。
低賃金若年アルバイトに依存していた飲食やコンビニなども、若年人口減の影響をもろにかぶる。
対策としては
・賃金を増やすこと。
・中高年を対象として広げること。
・海外からの労働者を低賃金で雇用すること。
だが、賃金は増やしたくない、中高年は使いにくいし低賃金では応じないのでそれ以外の選択肢を選ぶ。特に工場などでは外国人労働者が一番都合がいいことになる。
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新卒が売り手市場であるのも、新卒人口の激減と、労働人口減少分確保のためという両サイドのためだ。しかしいないものをとろうというのだから、充足することはない。しかし賃金は上がらないままだ。常に海外との比較で考えられるグローバル経済では単純な国内需給で賃金は考えられないと言うことだ。
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この状況で経済を豊かにするには、内需の活性化…賃金を増やし、経済を活性化すること…と、海外から物やサービスで稼ぐことだ。
しかし、現状の日本は、賃金を削って経済を衰退させ、発想を殺し従順であることを教育する一方、教育研究投資を減少させてアイディアで海外に売り込める物を創造することが困難になっている。
高度経済成長時の蓄積は政府がアメリカの要求に応じて海外投資に振り向けられて、米株高の肥やしとなったり、米国の借金を支えている。
一方でアメリカや中国などの海外製品やサービスが極めて多くなり、日本が蓄積してきた冨はどんどん海外に流れて行っている。
日本が豊かになってきた道筋を、今は逆にたどっているわけだ。
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高度成長は戦争特需というラッキーと、人口ボーナスに支えられていた。製品の品質向上に余念が無かったが、模倣と改良と低価格が製品競争力そのものだった。
さらにそのおしまいにはプラザ合意による円高不況対策で低金利政策をとったために、高度経済成長の勢いのままその低金利を謳歌し、バブル経済を迎えて華々しく大崩壊を迎えることとなった。
あとには焼け野原しかなかった。
低金利政策を打っても、ほとんど効かず、それでも低金利による円安によって多少回復してきたところに米国発のバブル崩壊、リーマンショックが起こり、壊滅的な打撃を受けた。低金利資金が海外に流れていたが、それが逆回転。猛烈な円高が進行した。
円高とデフレと不況が同時に来ているから円高が不況の原因と考えがちだ。しかし、その前の低金利政策がなければ猛烈な円高もなかった。それでも海外で不況になれば貿易を通じて益を得ている日本も不況になった。
もし、円高で輸入物価が下がっても経済が好調ならマージンとして価格に上乗せられ物価は下がりにくい。日本は内需規模が大きいので、この中間マージンを糧にする人が多かったとも言える。
経済が好調なら、円高だけではデフレにはなりにくい。デフレは経済不調の反映が大きいと考えられる。
日本経済の不調には円高かドル安による米国市場への輸出減が(得てして不況の時にドル安が誘導される)、リーマンショックのような世界不況が大きく効く。
もちろん、円高かドル安が続けば輸出量が確実に減る輸出企業が現地生産、海外移転を考えるのも当然だ。工場が移転しても本社が日本にある限り利益を円転して為替差益が出る円安が望ましいが、円高でも海外で回って利益が出ていれば構わない。一方、縮小し続ける日本での販売を気にする必要性はなくなりつつある。莫大な政府債務を抱え、日銀と年金資金が爆弾を抱える日本はいずれ破綻するので、海外に移っていることは極めて大きなリスク管理にもなっている。
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もともと緊縮で嵐をしのぎ、かつてと同じ方法で利益を得ようとばかり考える日本人の志向に立て続けの経済ショックが続いたことで、経費カットによる緊縮と利益確保と内部留保の積み上げ路線、海外進出による低賃金労働者の確保と為替変動の影響を抑える路線が決まってしまった。
その後政府が円安政策をとったことで、国内経済がガタガタのままそれなりに物価は上昇し、輸出益や安い海外製品を扱うことでのマージン利益は賃金に反映せず、法人減税と国民増税でさらに国民は苦しめられることとなった。スタグフレーションまっしぐらである。そこにこれから世界規模の景気後退が被さってくるので、日本はとんでもない状況に陥るのは目に見えている。そこにハイパーインフレがかぶれば、日本経済は一度崩壊する。政府の負債は国民資産の棄損と引き替えにチャラにされる。
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リーマンショック後の米国の緩和、不良債権買い取りは意欲が衰えていない米国経済には効き、同時に円高ドル安を引き寄せ、米国経済の再生に寄与した。
日本がバブル崩壊から立ち直れなかったことをよく研究した成果でもあったと言われる。
GDPの2.5倍というどう考えても大きすぎる借金を抱える日本が再生するには、一度崩壊が必要かも知れない。
自国通貨を発行できるから債務不履行にはならないと言っても、それはハイパーインフレを起こさないと言うことではない。名目でデフォルトしなくても事実上デフォルトしうる。
信認がされなくなればどうにもならなくなる。
世界にとって日本など、金さえはぎ取れればどうでもいい国に過ぎない。むしろ目障りなアジアの小国だ。ただし、莫大な海外債権保有国だけに日本初の世界的ショックを引き起こしかねないので、いまや生かさず殺さずになっている。アメリカと戦争するつもりでない限り、日本に積み上がった公的保有の米国債を処分するのは難しい。それらの米国債は事実上アメリカに寄付したも同然だ。
Posted at 2019/05/19 12:50:34 | |
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