昨日、照明メーカーの地元の方と照明の仕込みをしながらお話をしていた。
今回「青」や「赤」一色で照らして欲しいという要求があったものの、ホールの照明機材がそうした演出向けにできていない最低限のものなので、そうしてしまうとどの照明も暗くなってうまくいかない。
ホリゾント幕とフットの照明があるホールならできることも、地元のホールではできない。
壁を床に置いた2台の照明で照らし、必要に応じてフィルターを手で交換して色を変えることも試したが、青が暗すぎて分からないのでやめることになった。
そこで出てきた話が「青は伸びない色」「赤は伸びる色」という話。
通常のハロゲン照明に青のフィルターを入れても薄いと色が分からないし、濃いと暗くなってしまって色の効果を上げにくいが、赤はとても目立ちやすいということなのだが、そこでの疑問が、
・波長の短い青はエネルギーの高い光であるのに弱く感じるのは不思議。
・目の感度、人の感じかたの問題なのか。
・照明の波長分布、色温度の問題なのか。
と言うことだ。
LEDの青はまぶしくどぎつく光るので、おそらく目の方ではなく光源の問題なのだろうと想像がついた。
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Wikipediaを参照すると、比視感度の項目で、ヒトの目の感度のピークは555nm(緑色)で、正規分布のようなグラフになっていることが乗っている。これは主に錐体細胞による特性だ。

引用:森竜雄著 『有機ELの本』 日刊工業新聞社 2008年4月26日初版1刷(Wikipediaより孫引き)

引用:
http://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/color/part2/02.html
青も赤も感度は高くはないことになる。
同じエネルギーであれば赤の方が目立つのは色知覚の問題で、大脳の感じ方の問題であったりする。赤は血の色、危険を表す色で目立って感じやすい、みたいなことになる。
さて、光源の波長分布を見てみるとどうなるか。
非常に簡易なものだが、下の図を見てみる。

引用:
http://allabout.co.jp/gm/gc/43138/
白熱電球(照明のハロゲン電球も含む)は右上がりで赤の成分ほど強くなっている。もともと波長の短い青の成分は少ないのだ。ダイクロイックミラーで赤外線(熱)に近い波長の長い側を透過させ逃がし、青に近い波長の長い側を反射させて照明として使うようにしているとは言え、圧倒的に色温度は低く、赤の成分が多い。
この特性でフィルターを通しても、青フィルターで赤をカットすれば残る青の光は元々少ないので暗くなる。さらにヒトの目は感度でも大脳の処理でも青をそれほど感じやすいわけではないので、余計に暗く見えてしまう。
斯くして、青は「伸びにくい色」になってしまうようだ。
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なお、白色LEDに赤やオレンジのフィルターを被しても、青い波長が強い分期待ほどオレンジっぽくはならない。青緑が一番きつい。光源にあまり含まれていない波長であるからだ。
白色LEDは、青色LEDが開発されてから現れたもので、青色領域で発光させ、黄色の蛍光体を励起することで他の色を発光させるものが多い。そのしくみのために青色の成分が多く青みがかっているものが多かった。
Posted at 2014/12/21 05:54:38 | |
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照明 | 日記