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2015年05月05日 イイね!

【ネット回線】大変な苦労をして回線導入をした話 その5


■Bフレッツ導入までの長すぎる道のりははじまったばかりだった……

 Bフレッツ導入可能という結論が出ない限り、イーサネット配線の譲渡契約も結べない。理事会がソフトバンクBB(ニューラルネット)との交渉に当たっているが、譲渡の件は待ってもらっている。速く返事をしなければならない。
もちろん、ソフトバンクBB-有志間の譲渡契約と有志-管理組合間の設置契約が結べないままにサービスインもできない。すべてはBフレッツ導入の可否にかかっているのだが。

 話しは2月に戻る。
 NTT担当者は2月中ごろから音信不通になり、返信をうながしても反応がなくなった。約束の調査も全くなされず。
 やむを得ず、NTTに直接乗り込み、上司と面会。謝罪と業務遂行を約束され、3月5日からようやく担当者から連絡が入り始めた。
 ちっとも連絡がなくじりじりしながら待ち続け、3月中ごろ、やむなくこちらから結論が出たのかどうかを尋ねると、「今朝結論がでた」という(ホントかよ)。

 これで一安心。サービスインは予定より遅れるが、幸いYahoo!BBサービスイン後もニューラルネットのイーサネットサービスはしばらく継続するという。間に合うかも知れない……。

 譲渡契約の件を進め、理事会に設置許可を求めるべく理事会の場で説明を行うなど、こちらでできる部分を進めていった。その後5月には配線譲渡を受け設置主体となる「配線管理組合」を立ち上げた。

 しかしである。驚くべきことに、ここに来てもBフレッツ導入は何も進まなかったのだ。

 **

 NTT担当者は、3月中に予定していた下請けの業務過密で予定の調査が遅れると伝えてきていた。調査の予定は未定のまま。調査後、管理組合へ設置申請を行うのだが、理事会は月1回で、タイミングを逃すと許可が更に1ヶ月遅れる。6月サービスインなら何とかなるかと思われた。

 そんな中で4月サービスイン予定のYahoo!BB VDSLの電話回線への取り付け工事が始まった。しかし、思わぬことが起こった。


■Yahoo!BB VDSLが原因のトラブル発生!

 当マンションにはNTTのHome PNAという電話線を利用したネット回線サービスが導入されていた。おそらく、ニューラルネット加入費の負担を避けるためか、NTT回線の信頼性を期待してのことだろう。このなかには通信が短時間でも切れることを避けたいだろうデイトレーダーもいたらしい。

 これがYahoo!BB VDSLの工事が始まったとたんにつながらなくなる事故が発生した。Yahoo!BB VDSLの信号と干渉したのである。

 事前のソフトバンクBBによる説明では、旧式のVDSLでない限り他の電話線流用通信ネットワークには干渉は起こらないとしていたのだが、全く説明と違った。ユーザーとNTTが被害を受け、ソフトバンクBBがペナルティを支払わされたはずではあるのだが。

 NTT側はこれを機会に、工事で短期間でも回線がつながるなくなることを避けたいという一部ユーザーがVDSL化を渋っていたのを説得し、100Mbps VDSLを導入してそれまでのHome PNA 10Mbpsから一気に高速化してしまった。

 これでYahoo! BBへのサービス変更を嫌った人たちにとっての有効な受け皿が出来、BフレッツLANタイプの開通を待たずにBフレッツVDSLに乗り換える人がでてしまうことになった。いったんVDSLにするとLANタイプに変更するには1万円を超える工事費を取られるのでよほどのことがない限り変更することはない。LANタイプの加入者を減らすことになってしまった。


 そうこうするうちにYahoo!BB VDSL 52Mbpsサービスイン。LANタイプが設計調査すら進まない状態のため、当家も当面これを利用することになった。

 では、Bフレッツはいつサービスインしたのか。
 驚くべきことに、ほぼ丸1年遅れ、翌年2005年2月である。その間、NTTは何をやっていたのかというと……

2015年05月05日 イイね!

【ネット回線】大変な苦労をして回線導入をした話 その4


■ NTTの若造に振り回される

 2004年1月に地元のNTTと連絡を取り、設置のための設計を行うことになった。
 担当は20代とおぼしき若い人。何処かへらへらとしていたが、こちらの想定以上に前向きな返答をし、ニューラルネット撤退、Yahoo! BB VDSL導入までにBフレッツLANタイプ導入可能だという。

 ところがこの担当者がとんでもない。導入に向けてのやり取りをはじめた当初から

・諸条件をみて導入できると断言しながら、次には意味不明な理由でできないとコロコロ言うことが変わる。
・訪問する、調査する等と日付を示すが、何の連絡もないままその日に現れない。
・訪問時も、当日直前に電話ではなくPCのメールで連絡を入れてくる。こちらはPCに張り付いているわけじゃないのに。
・他のマンション理事宛のメールを間違えて送ってくる。

等。
 当時NTTといえば就職が難しく、優秀な社員を集めていたはずなのだが何かおかしい。

 この後も唖然とするようなことを繰り返されることになる。

 **

 下請け業者に現場調査をさせ、調査結果を報告してくるのだが、何の資料もないまま下請け会社に現場に入らせているので、複雑怪奇なマンション内のイーサネットの構成をつかみきれる訳がない。
 その下請けのあやふやな調査結果を受けて「提供は難しい」と言ってくる。「難しい」ではなく、「調査ができていないので結論が出せない」だろうに。言葉の使い方をまるで分かっていない。

 ようやく配線の資料が欲しいと言い始めるが、ユーザーサイドがそんなものを持っているわけがない。請求先を間違っている。もちろん、管理室にはニューラルネットが設置申請をした時の設計書がある。もちろんその後拡張がなされているのでこれだけでは不足なのだが、そこは現場調査で補うところ。
 管理室に行かせ、資料のコピーを取らせたが、やれやれどうなるやら。

 **

 2月に入っても、約束の詳しい調査が行われない。ニューラルネットは3月末サービス終了予定だが、Bフレッツ導入が間に合わなければユーザーはYahoo!BBかUSENなどに乗り換えるので、ユーザー獲得に支障が出ることを何度も伝える。が、何の連絡もなく、一向に動きが改善しない。会社の利益など考えていないらしい。
 NTTの調査があてにならず、こちらでも配線状況の調査を行う。
 5棟あるマンションの地下ピットに何度も潜り、天井裏や盤室、MDF室など配線の全てをみて全配線状況を調べ、資料をまとめていった。

 3月に入り、ようやく検討結果のメールが入る。内容は次の通り。

・2パターンの検討をした。
・パターン1は既存LANをNTT提供ハブにおきかえてそのままつかうものだが、メンテナンス上問題がある。
・パターン2は各棟に光ファイバーを伸ばし既存配線に接続するもので機材の設置も可能で提供可能。しかし、新規加入者があるごとに、宅内までケーブルを設置する工事を行うことはできない。
・よってBフレッツLANタイプ導入不可。


とのこと。
 パターン1は最初からNTTのサービス基準に合わないものを、担当者ができると言って検討したものだから、不可は分かる。
 しかしパターン2は、新規加入者への対応ができないため導入不可とはどういうことか。意味が分からない。もともと既存配線のある住戸しか加入対象ではないことは伝えてある。自分で何も考えずに「下請けがダメだといっているからダメだ」といっているらしい。

 頭を抱えながらもその旨を問い合わせこれまでの協議内容と異なることを納得させ、パターン2で更に詳しい調査をすることになった。しかし、これまでの対応を見る限り、下請けは基本資料も渡されていないためか調査がいつも不十分。担当者は資料も用意しないまま下請けに投げっぱなし。さらに報告内容をまともに理解しないまま書き写すだけ。これでは時間ばかりをロスしてしまう。
 こちらは建物の構造も配線の実態も知り尽くしているので、調査に立ち会うと宣言した。
 NTTの提供条件に合わせた改修案も用意した。
 機材設置場所案や、機材搬入ルートなども調査の上提示した。

 これでサービス開始にこぎ着けられるか?

 それが全然甘かったのである。この若造に常識は通じなかった!
2015年05月05日 イイね!

【ネット回線】大変な苦労をして回線導入をした話 その3


■イーサネット配線の所有権はどうなる?

 話変わって構内イーサネットの所有権について。
 ニューラルネット導入時のイーサネット回線は、工事費を加入者が出しているとは言えあくまで名目は加入費であり、所有権はニューラルネットにあった。これは何らかの理由でサービスをやめる時に、構内の設置機器や配線をニューラルネットの負担によって取り外し原状回復をさせる必要があるため当然のこと。今回も管理組合理事会が判断すればきれいさっぱり撤去させることもできるのだ。

 それはイーサネットを生かしたサービスを再導入しようとしている有志にとっては非常に困る。早速自分は管理組合理事会の担当者とやり取りしたが、そこで意外なことを聞いた。

 ニューラルネット側は、構内イーサネットの管理組合への譲渡を申し出ているという。これは撤去費用支出を免れるためだ。

 一方、理事会側は受け取らないという。当時の理事会IT担当で超大手コンピューター企業社員氏はお荷物でしかない構内配線を押しつけられることをよしとしなかったのである。だが、将来活用の余地があるのではないかという異論もあり、また、撤去時に他の配線類を傷つける事故が起こるリスクも勘案し、撤去は求めないでおくという。

 しかし、ニューラルネット側としては永遠に撤去の義務を引き受けるわけにも行かない。
 そこで、撤去義務の年限を設定することを提案してきたというのだ。話し合いの結果10年間を撤去義務が有効な期間とすることになった。
 この配線はこのままおいておけば、所有権はないのに撤去させることもできない邪魔者になり果てることが確実である。管理組合としては誰かに押しつけた方が都合がいいに決まっている。そこに有志が手を挙げてきた形になった。

 管理組合としては撤去義務を課すため、有志が団体をつくってこの配線を所有し、撤去の義務を負うことを条件としたのだ。

 ここでも、ニューラルネット導入当時の理事会の日和見がガンになっている。
 管理組合によって導入していれば、確実に各戸内までCat5eケーブルを引き込む条件を出せたし、サービス撤退の憂き目に遭っても、VDSL化によってサービス低下することをただ受け入れるだけでなく、住民の要求を受け全戸に張り巡らされたイーサネット配線の譲渡を受け活用を検討したはずである。マンション内LANとして活用することもできた。
 それが1/3とは言え「一部のユーザー」が利用するものでは管理組合として全面的に対応すること自体難しい。一部ではマンション内LANを構築することもできない。
 結局イーサネットを活用したいとする有志に全責任を負わせる形にされてしまった。

 どうせコストがゼロだしよほどのことがない限り撤去させる理由もない(むしろ撤去時の事故リスクがある)ので、例え一部であっても住民の利便を考え管理組合が受け取り活用を目指すことでもよかったはずだが、ここでも管理組合理事会は住民のためより責任回避を選んだ。全戸の1/3を「一部の住民」と見なして一部の住民のみの利便ははからないことにしたわけである。

 全戸敷設でなかったことは、利用者にとってずっと不利益になり続けた。正確には利用者は何の苦労もしていないが、ボランティアで各方面との調整をし、交渉を続けた私は、訳の分からぬ誤解の元、さんざん嫌な思いをさせられ続けたのだ。それは今後語っていくことになる。


 **

 ライトユーザーであれば速度が遅く上下非対称で不安定さのあるVDSLでも構わなかったのだろう。ネットサーフィンとメールぐらいなら、全く問題ない。圧縮度の高い動画も問題はなかった。
 だがある程度のヘビーユーザーはスペック大幅ダウンには納得できない。将来の増速の対応のためにイーサネットという選択をしたのだから。同等の代替手段もないのだしなんとかイーサネットを死守したい。
 有志で所有し管理することになった。またもやユーザー自身が責任を負うことになってしまったのだ。撤去を求められればユーザーで費用負担をせねばならない。
 撤去費用を負担する場合、業者に見積もりを取るとなんと200万円という。また、配線のみとは言えなんらかの故障時に,対応するお金も必要になる。利用者から少額でも利用料を集め積み立てる必要が生じた。今の理事が撤去は求めないと言っても将来の理事が撤去だと言い始めるかも知れない。また、何らかの理由で配線が邪魔になることもあるかも知れない。
 この頃になると、撤退ショックで鼻息粗く集まっていた有志のほとんどは主体的な動きをやめ、私が配信するレポートにも反応がなくなってきた。自分のまわりのごく少数だけで対応していったのだが、事実上私一人で対応していくことになってしまった。

 次なる仕事は、ニューラルネット(ソフトバンクBB) と、イーサネット配線の譲渡契約を結び、この配線について有志と管理組合で設置の覚書を結ぶことである。

 これは呆れるほど長く、嫌な思いをする入り口だった。
2015年05月04日 イイね!

【ネット回線】大変な苦労をして回線導入をした話 その2


■イーサネットを生かすための模索

 ニューラル導入当時と違いマンション相手のサービスを行う業者は増えていて、中にはマンションのイーサネットを管理する業者もあった。
 マンション内のイーサネットは次のようなものであった。

(専用線)~ファイヤーウォール
         ~スイッチングハブ
          ~スイッチングハブ
           ~VLANハブ
            ~各戸


 配線と機器とを合わせて成り立っている。これを全部管理してもらわねばならない。機器は古くなっていて、リプレースも必要だが、有志がその出費をすることは難しい。
 いくつかあたったが、既存イーサネットをそのまま管理する業者はほとんどなかった。
 ニューラルネット撤退後イーサネット管理を引き受けた業者にもあたったが、サービス内容の違いから受けられないとのことだった。

マンションイーサネットを敷設・管理する業者もあったので打診したが、
・構内イーサネットを再整備すること必要があるが、
・配線がつながっているのがマンション全体ではなく一部であり、
・既に他社のサービスが導入されている中、加入戸数が未知数である
ことから断られてしまった。業者としては当然であろう。

 つまりは導入時の管理組合理事会の日和見のおかげで後継業者が見つけられなかったのである。
 ホコリがつまり、ファンがほとんど止まっているVLANハブを見ながら途方に暮れた。

 だが、自分は他の業者の話からNTTのサービスに目をつけていた。
 NTTには既存イーサネット回線に接続するBフレッツLANタイプサービスがあり、マンション側は各戸へつながるイーサネット配線を用意するだけでよかったのだ。
 これまで、既存構内LANを機器含め丸ごと管理してもらうことを考えていてうまく行かなかったが、LANタイプは機器を全てNTT側が用意し管理するので、マンション側にある既存機器の管理を考える必要がない。

 NTTに打診をしたところ、導入が可能であるとの返答があり、一気に前進することになったのだ!

 ニューラルネットのイーサネットサービス撤退宣言が2003年末で、ここから動き出し、Yahoo!BB VDSLサービス開始が2004年4月なので、これに間に合うタイミング!……のはずだった。

 ところがこれが長い道のりの始まりに過ぎなかったのである。
2015年05月03日 イイね!

【ネット回線】大変な苦労をして回線導入をした話 その1


 我が家はNTT フレッツ光 マンション LANタイプを引いている。100Mbps回線で、以前は最高でも80Mbps、平均的には60Mbps程度であったが、最近では上位の速度が上がって90Mbps台である。



 この回線はギガビット回線が引かれるようになってきた今となってはトップクラスとは言えないが、安定している。現実にはPCなどが300Mbps程度までしか転送能力がなく、送出側もギガビット回線を使いきるような速度を出せるものがほとんど存在しないので、100Mbps程度で充分なのである。

 この回線は、当マンションのいくつかある回線方式の中では圧倒的に速い最速のサービスである。他はVDSL100Mbpsのサービスだが、条件のよいところでも下り50Mbpsがやっとだろう。上りはもっと遅い。
 この頃はマンションに光ファイバーを引くサービスがあるが、当マンションでは構造上導入は厳しく、当面最速のサービスであり続けるだろう。もしNTTがLANタイプで1Gbps化をすれば光ファイバーを使ったサービスと同等の速度になる。

 この回線をマンションに引くにあたっては様々な紆余曲折があり、大変な苦労があったのだ。


■高速回線敷設前夜 ~先進ハイテク地区なのにこの速度???~

 元々当地区(幕張ベイタウン)はNTTが推し進めていたデジタル通信網ISDNが整備された地域であった。最初からハイテクが整備された街であるはずだった。しかし、逆にこれが足カセになっていたのだ。

 ISDNは光ファイバーを使ったデジタル通信網であるが64kbpsの仕様で、アナログ回線では音声域を使ったアナログモデムで56kbpsしかでないのに比べれば速いが、メガ単位の速度を要求するインターネット時代にはまったく対応できない「過去の遺産」だったのだ。
 

 そのころアナログメタル回線を使ったより高速なADSLが導入されはじめたが、不幸にして同地区には光ファイバーが敷設されているのみでアナログメタル回線がなく、ADSLを使用できなかったのである。中途半端なハイテクを整備したために、ローテク設備の余裕域を使って高速通信する手法が使えず、インターネット回線の高速化に取り残された、離れ小島状態になってしまったのだ。

 駅前でYahoo! BBのADSLモデムをもらってきても、当地区では使いようがなかったのだ。

 1999年頃の話である。

(とはいうものの、実際には予備回線としてアナログメタル回線も引かれており、後にはそうしたものが徐々に開放されるようになったのだが。そうした予備回線が不足するとアナログメタル回線を引き直したようだ。しかしそれはあくまで後の話。)

 一方、IBM、CANON、富士通、シャープまで地元に存在するハイテク地区なのに64kbpsまでしか使えないというばかげた仕様に業を煮やし、各マンションに高速回線を引こうという動きが出てきた。住民有志で勉強会を始め、回線方式と業者の選定をはじめたのである。

 当マンションでは自治会の私が先頭に立つ形で管理組合の担当者を含め有志で検討会を開始した。外観上の問題や将来性を考え無線方式と電話線流用方式は全て却下。イーサネット方式を理想とした。
 マンションにインターネット回線を引く業者はいくつかではじめたが、イーサネット配線をあとから敷設しようという業者はほとんどなく、そんな中ニューラルネットという業者が紹介された。

 
■ニューラルネットの導入へ

 ニューラルネットはベンチャー企業であるが、既にいくつかのマンションでイーサネット配線を敷設しサービスを行っていた実績があった。マンションにイーサネット敷設をうたう業者は当時他になく、管理組合の金銭負担がなく導入できることをうたい文句にしていたのも、導入のハードルを下げていた。
 事実上唯一の選択肢であったため、これにまとまっていった。
 自治会主導で住民アンケートを実施し、多くの希望があることも確認された。管理組合も導入調査にOKを出し、具体的な敷設の検討が始まった。

 しかし、イーサネットの敷設はかなり難しいものであった。

 マンションの住戸内部を作る際、宅内の配線類は配管の中を通して配線することが多いが、当マンションは配線を裸のまま躯体からぶら下げて配線するいわゆる「コロガシ」配線だった。配管があれば配管の中に通線用のワイヤーを入れることであとからも通線出来るが、コロガシではあとから新たに通線することが難しい。

 苦肉の策として、複数の電話回線導入を可能にするため8芯の電話線が複数配線されたいたことを利用し、これをイーサネットに流用しようとしたのである。

 100BASE-TXだの1000BASE-TXだのは、エラーなく配線を100m伸ばすことを保証した規格で、マンション住戸内は10~40mがいいところである。Cat5/Cat5eのケーブルを使わなくても距離が短ければ、よほどのノイズ源がないかぎり通常問題ない。

 実際1000BASE-TXとして8芯電話用メタル線を使ってみたが、全く問題がなかった。

 やむを得ない方法ではあるが、電話線流用で住戸内に引き込み、短い間隔でハブをおいて信号整形することでしのぐことになった。

 手間をかければケーブルテレビ引き込み配管などを使ってCAT5eを住戸内に引き込むことも可能だったが、その先をを引き回すことができなかった。新築なので見えるところに配線をぶら下げるたり壁に穴を空けて通す訳にもいかず、モールでつつむのもみっともない。壁の中に収めるには他に選択肢がなかったのだ。

 もっとも、自分の住戸についてはケーブル配管からCat5eを引き込み、住戸内もダウンライトなどの穴を使って天井にケーブルを通線し、壁のすき間に落として壁のコンセント部分にLANコネクタを増設することで家庭内LANを構築したのだが。同じ事を業者にやらせたら各戸ごとの対応になり、10万円を超えるような請求をされるだろう。

■サービスインにこぎ着ける

 管理組合が正式にGOサインを出し、導入工事が始まったのである。しかし……。

 通常なら導入は管理組合が行い、全戸一斉導入となる。ところが当時の管理組合理事会が日和見をし、次のような条件をつけたのである。

・回線導入はあくまで個人毎の契約とし自己責任とする。管理組合は工事の許諾は行うが斡旋等は行わない。
・複数業者が入ることで競争がうながされ、費用が安くなることが見込まれるため、単一業者のみの導入は行わない。


 ニューラルネットはあくまで配線管理組合毎に導入することを想定しており、一方で導入諸費用を加入費としていた。加入者負担とすることで導入を希望しない住戸があったとしても総会決議を得られるよう配慮した提案になっていた。これを逆手にとって希望者のみ加入する形にし、管理組合が導入する形を避けたのだ。

 この判断は後々まで禍根を残した。

 他の多くのマンションの事例では、管理組合理事会が先頭に立ち、マンションの資産価値の向上のために奮戦してインタ-ネット回線が導入されたのである。それを全て住民個人に責任を負わせるとは、何という違いか。

 だいたい、多くの業者は全国規模で事業を行っているので、一つのマンション内で競合が起きたところで直接価格競争をするわけがない。まったくとんちんかんな判断である。

 この判断のためにイーサネット回線は全住戸の1/3程度のみ敷設されることとなった。2000年当時のインターネットの普及率を考えればそんなものだろう。シニア世帯まで普通にインターネットを使うようになるとは思っていなかった時代である。

 この事業の窓口は自治会有志のみで担当せざるを得なくなった。当時の管理組合理事会は、自分たちが責任をかぶらないために、なんの権限も持たない住民有志に責任をかぶせたのである。
 これがのちのちまで足かせとなり、たまたま導入時に担がれた自分がたった一人で長く辛い戦いを強いられる結果となったのだ。

 
 なんとか各住戸内の工事も終わり、NTTの128kbps専用線回線を使ってサービスインしたのが2001年である。

■ニューラルネットがソフトバンク傘下に。そして、まさかのサービス終了へ……


 128kbps専用線回線2本を100戸程度で共有する形であったが、マンションの全棟の入居が終了して加入戸数が増えたこと、専用線回線がNTT以外の業者により安く提供されるようになったことなどから2002年には100Mbps化が実現した。
 上位回線や接続サーバーが遅く共有戸数が多いため実効速度は期待ほどは上がらなかったが、サービスは向上していった。

 そうこうするうちに、何と、ニューラルネットがソフトバンクに買収されたのである。
 不安定なベンチャーよりは大きな会社が運営する方が安定感が増すしサービスの向上があるのではないかと期待する声が強かったのであるが、私はその意見に組みはできなかった。なにしろソフトバンクである。信用できなかった。

 悪い予感は的中し、当マンションのイーサネット配線の品質がサービスの質を保証できないものであるとして、イーサネットサービスの撤退を宣言したのである。

 代替として、VDSL52Mbpsのサービスを導入するというのだが、大きな工事費を出し、速度が安定して速いイーサネットを導入した住民としては一方的な判断に収まりがつかない。

 VDSLになれば邪魔なモデムを居間に置かなくてはならなくなるし、これまでにつくった家庭内LANも作り変えねばならない。おまけに速度は遅くなる。何もいいことがない。

 交渉を繰り返し、サービスの無料期間をつくることで一応の収束を得たのであるが。

 ソフトバンクからきた当時の社長は「光ファイバーの結合には高度な技術を持つ技術者を導入し、今後より高速な技術を導入し、最大限のサービスを行う」となどと言っていたが、そもそも将来のデモンストレーションに使っていた資料は海外での4芯電話メタルケーブルを使ったVDSLで日本では導入できないものでハッタリに過ぎない。その後新技術を導入することもなく、200を超える加入者がたった一本の100Mbps回線を共有するため回線速度は低下し続け、NTTが16戸に1本の100Mbps回線を引く 100MbpsVDSLを導入し、USENも100Mbps化する中、規格上も実効速度でも最低速のサービスとなったのである。

 一方、イーサネットサービス廃止が宣言された時から一部有志が集まり、イーサネットのサービスを再開する方法を模索をはじめたのである。

 これが実に難儀なことであった。

 続きはまた後ほど。



 
 
 


 

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