
4/17のエントリー「放射性物質の生物濃縮(ハンフォード原子力施設による被害)について」が4/18に2605(全体で5073),4/19に2072(全体で4033)のPVを記録した。
Twitterで多くのフォロワーがいる科学系の方数名につぶやいて頂いているのが分かっていたものの、PVのグラフが5000台に伸びていたのはちょっと驚き。Twitterの情報伝播力を思い知った。
そのアクセスもあり、現在googleで「生物濃縮」「放射性元素」をキーワードにするとトップに表示されることを確認している。
このブログは極めて個人的なものであり、日頃のPVは200~300程度。地震の後は地震や原発関連のことが多かったため1000~2000に増えていたものの、こんな堅いテーマで5000を超えるとは思いもしなかった。
一方で、関連エントリーにはあまりアクセスがないのには少し落胆するものがあった。というのも、一つのエントリだけでは語り切れていないことや同時に見ておいて欲しいデータがあっても、そちらは参照されないと言うことだからだ。
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一連の「放射性物質の生物濃縮」関連エントリーの目的とするところは次の通りである。
週刊誌という媒体で出典不明な情報が出されたことで根拠が不明なまま
・放射性物質に対するする恐怖感が煽られ、風評被害をより深刻にしていること。
・生物濃縮や放射性物質に対する誤解が強まっていること。
を問題視した。しかし、それだけなら「週刊誌ネタ」として受け流していた可能性が高い。
決定打となったのが
・ごく一部のことと思うが、これほど自然科学の信頼性が求められているときに、理科教育の場でこのような不確かな図を用いる教員がいることを知り、自然科学教育の信頼に対する重大な危機感を覚えた。
ことであり、
・自然科学に関わるものとして、出典を明らかにしない情報をどう扱うべきかを示す必要があると感じたこと。
・作家に過ぎない広瀬隆氏が提示するような、極めて高い濃縮を示す放射性物質が本当に存在するのか、可能な限り調べて検証する必要があると考えたこと。
から書くに至ったのである。
結局のところ、出典が示されない限り現状では完全な検証が不能であるわけであるが、そのような情報の扱い方については「参照する価値がない」ものとして無視すべきであることは伝えることに成功したと考えている。
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広瀬隆という人物については、確かに反原発を訴えてきたことについては評価できる部分があるとは思う一方で、その提示するデータ、論理、状況分析や提案について全く見るべきものがないことが多い様に感じている。
今回の地震と津波によるBWRの冷却材喪失事故に対しての彼のコメントと、Ustereamでみた元原発技術者の本質的な解説とのあまりの隔たりの大きさにあきれたこともある。
また、気象庁のマグニチュード改訂に当たって非常に幼稚な論理で陰謀論を展開したことをみていて、全く信頼に値しない人物と感じていた。
早稲田大学理工学部応用化学科卒であり、化学系の出身で原子力関係の専門ではない。元原発技術者だと誤解している方もいるが「メーカーの技術者を経て」とのみあり、原発関係に関心を持ったのは医療関係の翻訳の仕事をしている中で内部被曝に関心を持ったからだと語っていたので、技術的側面から原発に危機を覚えた訳でもないようだ。
この点で、同じ早稲田大学応用化学科卒ながらその後東京工業大学とMITで原子力を学び、日立の元原発技術者の経歴がある大前研一と全く異なる。大前氏は経済学が専門だとばかり思っていたので技術的な側面できっちりと語っているのを見ておどろいた。
私自身は、原発自体が危険な存在であること、東海地震の震源域上にある浜岡原発をはじめとして、自然災害に対するリスク評価が不十分な状態にあること、廃炉後の管理問題や使用済み燃料の最終処分問題やさまざまな付帯コストを無視した「低発電コストの喧伝」、補助金ばらまきによる原子力施設設置など、極めて多くの問題があることを認識しており、その一部でも機会があれば教育の場で伝えることもしていた。
しかし、私は「広瀬隆」という人物とは無縁であった。名前も知らなかった。
私は自然科学というフィルターを通して原発問題に触れていたため、そのような活動家と無縁でいられたと言える。逆に言えばそのような活動家は必要ないし、そのような活動家のために反原発を口にすることが難しくなっていたのではないかとも考えている。
すくなくとも、何かと陰謀論をふりかざしたり、不十分・信頼性のないデータや憶測で恐怖感を煽ることは逆効果になることは少なくないと感じている。
追記について
広瀬隆と大前研一の経歴についての記述追加
追記終わり
Posted at 2011/04/19 21:37:16 | |
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