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Yuh_Fazioliのブログ一覧

2011年05月15日 イイね!

震災メンタルヘルス

 身近にも、ホットスポット近辺に住んでいると言うことで強いストレスを感じている方がいる。実際の影響以上に心理的ストレスで体をこわす可能性というのはその方を見ていて非常に納得がいった。
 仕方がないが、被曝=アウトと考えている人が非常に多いと思う。

 一方で、祖父が被曝者だったという同僚がいて、そのお祖父様は爆心地に近かったにもかかわらず比較的長生きし、ガンではない病気で亡くなったそうだ。それゆえ「被曝=アウト」とは考えたことはないという。

 福島を中心に、放射線という見えないものへのストレスを感じ続けている方は多いだろう。一つ前のエントリで取り上げたものをツイッターで流していた方とやり取りしたが、やはりストレスは強いとのこと。ツイートからもストレスを感じた。
 そうした大人のストレス、不安は子供たちを余計に不安にさせ、大人自身を陰謀論へと走らせる。
 
 文科省の『放射能を正しく理解するために』は、そうした放射線による心理的ストレスが子供たちに降りかかっていることを踏まえて、そのストレスを減らす意図で書かれている。
 しかし、国が出す限り深読みされて変なとらえられ方をするようだ……。不安は目を曇らせる。

(ただし、保護者向けに、避難指示がないところは暮らせる場所だと言い切っているのは、過去を見る限り間違っていると思う。避難指示がないのに自主避難して避難先で余計に被曝した例もあるが。)


 そんな子供たちをのメンタルヘルスを扱っているのが下のページだ。
 医療者向けだが、医療者が配布することを意図したものがある。是非参考にして欲しい。
 もし、子供がいる場所が安全でないと確信するなら、すぐにもその場を離れるべきだ。国や東電を批判したところで放射線はなくならない。
 とどまり続ける限り被曝するだけでなく、メンタルにも多大な影響を与え、もしかしたら数年~数十年後にガンになるより先に明日にも体をこわしかねない。ストレスは免疫系に大きな影響を与えるとも言われている。ガン化した細胞を取り除く免疫系がダウンしてはガンの発生率にも影響があるかも知れない。


JSPP災害用共有ファイル
http://homepage2.nifty.com/jspp/jspp_website/JSPP_zai_hai_yong_gong_youfairu.html

 PDF一覧と携帯向けページを引用しておく。
 

災害の後に生じる子どものストレス症状についての一般向けのリーフレット(PDF)

被災した子どもさんの保護者の方へ99KB)

赤ちゃんがいらっしゃる方・赤ちゃんを預かる保育士の方へ91KB)

学校の先生方へ101KB)

被災した子どもさんのご近所の方へ102KB)

災害派遣医療チーム用 簡易マニュアル(PDF)

災害時の子どものメンタルヘルス106KB)

携帯電話用リーフレット(保護者の方へ・先生方へ)

「オンナの家庭の医学 無料特設ページ」

http://f-igaku.jp/?jb=column-view&gpid=48&pgid=27

(主婦の友インフォス社提供 携帯電話のみアクセス可能)

Posted at 2011/05/15 21:28:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | 震災関連 | 日記
2011年05月15日 イイね!

またも文科省不信ですか【追記あり】

 ツイッターで紹介されていたものを取り上げる。

 いろいろと不手際、情報隠し、情報収拾不足などはあるのかも知れない。
 ただ、いない敵を作ってあからさまに間違った主張をしているのを見ると、突っ込みを入れたくなる。
 不安になると陰謀論に傾きやすいのだからよけい冷静にこの種のものは見て欲しい。

 末尾に原文そのままを置いておく。引用しつつ突っ込みを入れる。
 そのまえに「放射能を正しく理解するために」を熟読のこと。
 子供たちが地震や津波でPTSDになっているかも知れないので、ストレスを取り除いて欲しいというのが後半の意図と思う。
 おとなが不安で潰れていてはこどももたまらない。
 そこまで不安ならやはり離れるしかないだろう。とどまり続ける限り被曝の事実は変わらないのだから。いくら文科省を非難しても放射線はなくならない。

追記
 小児科医さんと少しやり取りをしたが、放射線問題とPTSD問題を同時に扱ったのが誤読の原因だろうと思う。切り分けて別のものとして出せばこんな妙な誤読は起こらなかっただろうと合意。
 また、現地では放射線のことを話題にすることがタブーな雰囲気があるとも。子供などはそんな雰囲気の中では気にする自分を責めてしまいかねないとも。大人の対応は本当に大切だ。
 不安に駆られて大人たちが子供を追い詰めているのではどうしようもない。
 子供の気持ちが楽になるようにして欲しい。

 疑えば「国が放射線問題をごまかすために心理ストレスの問題にすり替えている」と読めてしまうのかも知れないが、誤魔化したところで放射線の影響が消えるわけではないのだから国に何の利益もない。子供がうける心理ストレスを無視すれば子供が苦しむだけ。大人が考えたくなくても考えてしまってストレスがたまるなら、引っ越すしかない。

 こんな勘違いに基づく論も『精神科医という権威』の見解としてフォロワーの多い人が伝えると鵜呑みにされてしまう。みな都合のいいものしか信じようとしない(敵を作って攻撃したがると言うこと)。困ったものだ。
追記終わり


大阪で精神科医をしています。



 これだけではどこの誰だか分からない。Facebookから転載と言うが、出典が分からない。この状態で転載するのは問題がある。
 Facebookなら書いた人物の実名も分かるだろう。しかし、つかっていないものにはブラックボックスであるのが閉じたFacebookだ。
 どこの誰とも分からない状態で転載するのは、たとえ中身が正しくてもデマを流すのと同じ行為だ。出典(Facebookでの投稿者)を明らかにすべし。

原発問題には以前から関心があり、今回の福島原発の事故も気が気ではなく、

事態の展開を見守っていました。

最近になり、精神科医としても黙っていられない状況となり、

以下のようなメールを友人の精神科医たちに送っています。

文科省が教育関係者に向けて「放射能を正しく理解するために」という文書を

4月20日に発表しています。

精神科領域に関係することが書いてあるとのことでしたので、

目を通してみたのですが、なんてことだと頭を抱えてしまいました。

「放射能を正しく理解するために」

前半は、あの「年間20mSVまでは安全」というとんでもない基準について

述べられていて、これだけでもかなり不愉快なのですが、我々精神科医に

 原文では
学校生活においては、1~20ミリシーベルト(=1,000~20,000マイクロシーベルト)
を暫定的な目安とし、今後できる限り、受ける線量を減らしていくことが適切です。
とあり、ICRPの勧告の考え方の通り。減らしていくことが前提。

 一時的にしろ20mSvを設定することが問題かどうかについてはここでは保留したい。
 しかしながら、学校だけが問題だと思い込み、学校外でも(家庭でも)被曝している事実を忘れているのではないかと不安になる。木造家屋で過ごしていたり、外で遊んでいたら被曝量は鉄筋コンクリート住宅で過ごすより増える。
 
 一方、減らしていくことを考えず年間20mSvあび続けても問題がないと断言していると読み手が読み間違ってなんの対応もしなければそれは問題がある。
 

直接関係してくるのは後半です。12ページの一番下に

「放射線の影響そのものよりも、『放射能を受けた』という不安を抱き続ける

心理的ストレスのほうが大きいと言われています」と書き、

13ページ以降にその説明として、心理的な強いストレスの受けたときの子供

の反応を解説し、「PTSD」について述べ、「放射能のことを必要以上に

心配しすぎてしまうとかえって心身の不調を起こします」と結論付けて、

「からだと心を守るために正しい知識で不安を解消!」と結んでいます。

PTSD心的外傷後ストレス障害)は過去の心的外傷が原因で発症しますから、

現在進行形の事態に対してPTSDを持ち出すことはそもそもおかしな話です。

また、あたかも「放射能を心配しすぎて」PTSDになるかのような説明は

間違っています。「心配しすぎて」PTSDになったりすることはありません。

 ここに読み間違い。

 原文は
いじめや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などは災害時の子ど
ものこころのケアの一部ですが、個別の対応が必要な場合に
は病院など専門の窓口に相談しましょう。

トラウマの中でも、地震や津波の被害のように生命が危険に
さらされるような強い恐怖を経験をしたり目撃した場合で、以
下の3つの症状が1か月以上続きます。

とあり、あくまで震災によるPTSDのことを言っている。兵庫県南部地震(阪神大震災)で地震によるPTSDはよく知られるようになったと記憶している。

 

「安全な場所に避難すること」と「事実を伝えること」が必要です。

ところが文科省のこの文書は「年間20mSVでも安全という間違った情報」を与え、

「避難の必要はない」と言っていますから、PTSDの予防としても間違っています。

そもそも放射線の被曝による生命の危機を認めていません。


 地震や津波の被害についてのPTSDなので、それらからは逃れた方がいいのは当然。また、事実であろうがなかろうが放射線が強いと聞かされれば心理的ストレスは高まるだろう。放射線は見えないのだから、子供が感じてストレスを受けることはない。

 なお、細かいが年間20mSvだが一時間あたりの線量を取り上げていて、それを減らしていくというのだから年間積算20mSvにはならないので念のため。
 間違った情報かどうかは保留。

 被曝による生命の危機については、資料にちゃんと書いてある。一時的でも20mSvが危険だというのなら根拠をあげその反証をすべき。あるいは対案を出すべき。

 感情的に根拠もなく高いと言っても仕方がない。せめてICRP勧告の1mSvより高いので学校閉鎖し疎開させるべきだとかと言って欲しい。

あまりのお粗末さにあきれてしまい、開いた口がふさがりません。福島原発の事故の責任は国にあります。この文章は加害者である国が、被害者の口を封じ、あたかも被害の責任が被害者側にあるかのような論述を組み立てています。これは、レイプでも幼児虐待でも加害者側がよくやるやり方です。これは、レイプでも幼児虐待でも加害者側がよくやるやり方です。このやり方を繰り返されているうちに、被害者は被害を受けたという事実が見えなくなり、自分を責め、PTSDであることすらわからなくなってしまいます。 

 PTSDの原因である地震や津波の被害は天災。
 放射線については加害者は東電だが、国にも責任は当然ある。

 しかし、被害者の口を封じ、被害の責任が被害者の側にあるような論述というのがよくわからない。
 放射線の被曝をうけた子供たちがどう口を封じられ、被害の責任が子供自身の側にあるとしているのだろうか。この精神科医氏の読み間違いのように文科省が子供たちを緩やかに偽PTSD患者に仕立てようとしているにしても、PTSDでないのなら、PTSDに対する対応をしろというのは矛盾している。
 だいたい、被曝ではPTSDにならないのにレイプや幼児虐待のPTSDでよくやられる口封じを文科省がしていると言われても。
 大人が不安を感じていれば子供も不安を感じる。子供の不安を和らげることにかこつけて大人の口を封じていると思い込んでいるのかもしれないが、それが誰の得になるというのか? 国の批判は子供のいないところでもやれるから批判をかわす効果など何もない。一方子供は大人のストレスを感じ続けるだろう。

 安全でないのに安全だというのは間違い。子供はそんなことはすぐ分かる。その場が安全でないと確信するのなら、すぐその場を離れて安全なところに退避しないと解決はない。


この文書の作成に協力している小児心身医学会とメールのやり取りをしているのですが、なかなか動こうとしません。

 そりゃそうだろう。この精神科医さんの思いこみなのだから。

 この精神科医さんは、不安や猜疑心にとらわれて物事を偏った見方で見ていないかどうか、一度自己分析をしてみた方がいい。
 
#陰謀論を唱える人たちは、こういうとき国の組織はおそろしいほど横の連絡が取れているものだと信じ込む。縦割り行政と批判され続けているのにこんな時だけ連携ができるのか。実際、20mSv問題も、原子力安全委員会に判断を仰いだはずの文科省と原子力安全委員会とで違うことを言っている(安全委はこどもに20mSvなんて判断していない、規制値はまだ検討中だと……)。連携どころか混乱だらけだ。

 
 
 
(以下原文)

大阪で精神科医をしています。

原発問題には以前から関心があり、今回の福島原発の事故も気が気ではなく、

事態の展開を見守っていました。

最近になり、精神科医としても黙っていられない状況となり、

以下のようなメールを友人の精神科医たちに送っています。

文科省が教育関係者に向けて「放射能を正しく理解するために」という文書を

4月20日に発表しています。

精神科領域に関係することが書いてあるとのことでしたので、

目を通してみたのですが、なんてことだと頭を抱えてしまいました。

「放射能を正しく理解するために」

前半は、あの「年間20mSVまでは安全」というとんでもない基準について

述べられていて、これだけでもかなり不愉快なのですが、我々精神科医に

直接関係してくるのは後半です。12ページの一番下に

「放射線の影響そのものよりも、『放射能を受けた』という不安を抱き続ける

心理的ストレスのほうが大きいと言われています」と書き、

13ページ以降にその説明として、心理的な強いストレスの受けたときの子供

の反応を解説し、「PTSD」について述べ、「放射能のことを必要以上に

心配しすぎてしまうとかえって心身の不調を起こします」と結論付けて、

「からだと心を守るために正しい知識で不安を解消!」と結んでいます。

PTSD心的外傷後ストレス障害)は過去の心的外傷が原因で発症しますから、

現在進行形の事態に対してPTSDを持ち出すことはそもそもおかしな話です。

また、あたかも「放射能を心配しすぎて」PTSDになるかのような説明は

間違っています。「心配しすぎて」PTSDになったりすることはありません。

PTSDはレイプ、虐待、戦争体験、交通事故などなど、生命が危険にさらされる

現実の出来事の後に生じる疾患です。

今、原発被害に関してPTSDを論じるのであれば、PTSDの予防ですから、

「安全な場所に避難すること」と「事実を伝えること」が必要です。

ところが文科省のこの文書は「年間20mSVでも安全という間違った情報」を与え、

「避難の必要はない」と言っていますから、PTSDの予防としても間違っています。

そもそも放射線の被曝による生命の危機を認めていません。

あまりのお粗末さにあきれてしまい、開いた口がふさがりません。

福島原発の事故の責任は国にあります。

この文章は加害者である国が、被害者の口を封じ、あたかも被害の責任が

被害者側にあるかのような論述を組み立てています。

これは、レイプでも幼児虐待でも加害者側がよくやるやり方です。

このやり方を繰り返されているうちに、被害者は被害を受けたという事実が

見えなくなり、自分を責め、PTSDであることすらわからなくなってしまいます。

PTSDという疾患概念は、被害者が自分の症状と過去の出来事との関連に

気づくためのものです。

それを被害者の口封じのために利用していることに腹立ちを感じます。

こんな内容の文書を信じる人はいないだろうと思っていたのですが、

先週末に福島出身の作業療法士さんと話をしたら、

「そんなことありませんよ。信じてしまいます。肩書のある偉い先生や、

政府の人が言ったら、一般の人はそうかなって信じてしまいますよ。

福島は混乱しています」と言っていました。事態は切迫していて、

黙っていたら加害者側に立つのと同じになってしまいます。

時間も気力も限られていますので、まずは伝わりそうな人に伝えています。

この文書の作成に協力している小児心身医学会とメールのやり取りをしている

のですが、なかなか動こうとしません。

トラウマティックストレス学会には原発事故の際の心のケアについてちゃんとした文章が載っていました。

原発事故による避難者/被災者のメンタルヘルス支援について

Posted at 2011/05/15 20:21:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 震災関連 | 日記
2011年05月15日 イイね!

メルトダウンと言う言葉

 世の中では1号機の『メルトダウン』という言葉にものすごく反応しているようだ。

 自分は炉心が溶けたという意味でしかとらえていなかったので、ちょっと戸惑っている。


 1号機は当初から炉心が空だきになり炉心溶融(=メルトダウン)していた。
 炉心が一部損傷なのか、溶けて形が変わってきているのか、ひとかたまりになってしまったのか、溶け落ちたのか。

 溶け落ちたとなれば『完全にメルトダウンした』という言い方になる。なにもそれが建物のコンクリートを突き破り地球の内部まで溶け進んでいると言っているわけではない。

 しかし、メルトダウン=再臨界=爆発とか、メルトダウン=チャイナシンドローム(地球の裏側まで影響が及ぶというブラックジョーク)というイメージがあるらしい。

 言葉一つでこうもイメージが違っては、情報共有に差し支える。
 困ったことだ。

 うかつにメルトダウンと言う言葉を使うのはやめることにする。
Posted at 2011/05/15 15:59:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 原発関係 | 日記
2011年05月15日 イイね!

油断するなここは戦場だ

 ツイッターで松浦晋也氏が

油断するなここは戦場だ

野尻美保子
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所

『化学 掲載の記事を転載しました。』


を紹介されていて、内容は非常に面白かった。

 記事は読んで頂くとして、タイトルが今の状況に合っている。

 野尻氏は昨年5月にブログを立ち上げているので今回の震災とは無関係なネーミングと思うが。


 *  *

 普段接する10代の学生たちを見ていると、震災があったとは思えないぐらいごく普通にしている。生徒会が被災地のことを取り上げる活動をしていたりするものの、緊迫感みたいなものは感じない。
 おそらく浦安市近辺で液状化によって不便した学生もいる(私が舞浜から新浦安を歩き撮ったパワーポイントのスライドを見て『自分の家だ』と叫んだものもいた)が、ほとんどの学生は以前とほとんど変わりない。

 彼らに対し私は『3/11以前とそれ以降の世界は違っている。君たちは別の世界にいる。もう以前のようには戻れない』と言っている。彼らはそれに対して「?」という顔をしている。同じようなことを教育系MLの重鎮も書いていた。みな同じ想いのようだ。



 時間をかけて東北地方は復興するかも知れない。多くのアナリストが書いているように、震災の影響で一時的に経済は低迷するかも知れないが復興需要でむしろGDPは上昇するのかも知れない。

 しかし、地震災害は今回だけにとどまる保証はない。むしろ周辺の連動地震の可能性は高まっている。東海・東南海・南海地震の可能性も高まっている。火山の噴火も相次ぐ恐れがある。過去にそのような時期があったように、今後10年20年のスケールで自然災害が相次ぐ可能性がある。原発事故も福島だけではすまない可能性がある。

 今回の原発事故の影響はかなり長引くだろうと考えられる。かなり広範囲にわたって放射性物質の規制値を超える農産物が出てきており、水産資源への影響も未知数だ。
 日本の農産物・水産物は安全だということで海外でも高値で取引されており、そちらに力を入れようとしていた矢先のことでもあり、日本の農業・水産業へのダメージは大きい。
 安全と見なせる地域からのものの流通量は急には増えず、当然価格が高くなる。
 原発が止まるほど発電に余計なコストがかかり、電力会社が事故補償をおこなっていることも考えるとどこかで電気代の値上げもせざるを得なくなるだろう。
 国際的な商品価格は高い水準。それも合わせて家計へのダメージが大きくなるかも知れない。


 日本が世界中から注文を受け生産してきたものも、度重なる自然災害がおこれば他へシフトされてしまうだろう。あるいは、他で補完できないものは企業そのものが海外へ移転してしまうだろう。


 原発が動かせなくなり、火力発電による確保はするにしろ、CO2排出問題との絡みで火力にばかり頼ることもできない。資源価格高騰の問題もある。電力消費自体を抑えねばならない。

 日本がダメだとなれば、円安が進む可能性もある。産業がダメージを受け輸出が伸ばせず、輸入価格が高くなっていけば極めて厳しい。
 株安で株を保有している企業や個人も痛む。債券も安くなるとトリプル安。
 株安・債券安で円安が加速。


 そして少子高齢化。年金問題。雇用の喪失問題。

 要領のいい人間ばかりを育て真の人材を育ててこなかった教育と、人材を育てず買うことでコストをカットしてきた企業がもたらす人材不足の影響はどうなるのだろう。

 さまざまな問題が重なる。
 
 一方で、中国、韓国その他はますます存在感を大きくしていく。
 経済大国だった日本はどんな道で生き残っていけるのだろうか。


 日本はすでに安楽な地ではない。
 いかに生き残るか。
 そういう意味では油断できない戦場へと変わったと思っている。

Posted at 2011/05/15 15:27:41 | コメント(0) | トラックバック(0) | 震災関連 | 日記
2011年05月15日 イイね!

SPEEDIで出てくる[1歳の幼児がうける甲状腺等価線量]の意味[追記あり]

SPEEDIで出てくる[1歳の幼児がうける甲状腺等価線量]の意味[追記あり]3月に初めて公開されたSPEEDIによるシミュレーションで出てくる「幼児(1才未満)のヨウ素131による甲状腺等価線量」をみて驚いていた方もいらっしゃることだろう。
 かなり広い範囲で100mSvという放射線量が描かれていたからだ。
 法律で規定されている(ICRP勧告に従った)公衆の限界線量は1mSv。100倍もある。

 私も違和感を持ったが他のことにかまけて忘れていた()。今思うと、あのときちゃんと理解して説明できる準備をしておいた方がよかったと思う。というのは、このシミュレーションは他のシミュレーションが扱っている対象とは異なるし、食品や水の暫定規制値とも深い関係がある話であるからだ。

 *  *

 シミュレーションは吸入による甲状腺等価線量を示している。

 シミュレーションで対象にしているのはヨウ素131である。これは体内に吸収されるもののほとんどが甲状腺に特異的に吸収されることが知られている。

 このため、呼吸等で吸入し、排出されなかったヨウ素のほとんどは甲状腺に集められ、甲状腺ホルモン チロキシンの材料になる。

 シミュレーションはこの量を表しているのである。

 甲状腺という臓器は小さな臓器で、全身に放射線を浴びたとしてもその影響は全身の5%と見積もられている。この5%が組織過重係数と呼ばれる。また、甲状腺がうけた放射線量を等価線量と呼んでいる。
 一方、各臓器がうけた放射線量を全部足せば全身の放射線の影響と言え、これを実効線量と呼ぶ。これらは次の式の関係になっている。

 全身の実効線量[mSv]=各臓器の(等価線量×組織過重係数)の合計……全身の臓器の線量を足す※文末参照



 さて、ヨウ素はほぼ甲状腺だけに集まると考えるので、シミュレーションででてきた100mSvをあてはめると
 全身の実効線量[mSv]=(甲状腺の等価線量[mSv]×組織過重係数)

               =100[mSv]×0.05
               =5[mSv]
である。
 5mSvはICRPが緊急時の上限として決めている量。

 全身の影響の5%が甲状腺がうける影響だから、全身ではもっと大きな値になりそうなものだが、他の臓器は放射線を浴びていないのでそういう計算にはならない。


 シーベルトという単位が1kgあたりの量なので、体重50kgの人が全身に1mSvを浴びたとすると50ぶんエネルギーをうける。甲状腺がこの5%だけ影響を受けるので2.5のエネルギーをうけたことになる。仮に甲状腺が2.5kgとすればやはり1mSv。
 一方、甲状腺のみに1mSvをうけたとすると2.5kg分なので2.5ぶんエネルギーをうける。全身で考えてもこの2.5しかエネルギーをうけていないので、2.5÷50[kg]で0.05[mSv]の放射線量をうけたことになる。

(エネルギーの量の単位は[J]だがここでは省略。本当は体重50kgに対する甲状腺が2.5kgではなく全身に対する放射線の影響度だが、話を分かりやすくするため質量で置き換えた)

 とまあ、甲状腺がうけた放射線量(等価線量)の0.05倍が全身の放射線量(実効線量)になる。言葉が分かりにくいし、単位の成り立ちも同じSvのまま扱っていて非常にわかりにくい。

 以前福島第一原発で作業員が皮膚の一部に2~3Svの放射線量を浴びたという事故があったが、あれも等価線量なので、全身の実効線量にするとずっと少なくなる。全身に2~3Svだったら大変なことだ。

■食品の暫定規制値の場合

 ここまで来れば、食品の暫定規制値についてもやたらに大きな数値が出ても悩む必要はなくなる。

 ちょっと考えにくい極端な設定でよく説明されるが、ここでもこれを踏襲すると、

・2000Bq/kgのヨウ素131で汚染されたほうれん草1kgを365日食べ続けた場合の内部被曝量

 ベクレルとシーベルトというまったくことなる考え方の単位の換算は無理もあるが、実用上換算計算が行われている。
 大人の場合、半減期も考慮し、50年間の影響を考えてもとめる。

(式)
預託実効線量 = 放射能濃度(Bq/kg) × 実効線量係数(Sv/Bq) × 摂取量(kg/日) × 摂取日数(日) × 市場希釈係数 × 調理等による減少補正

(預託実効線量は、取り込んだ放射性物質が与え続ける放射線量のこと)

実効線量係数(Sv/Bq): 大人が経口摂取(食事で食べた)の場合
ヨウ素131 は 2.2×10^-8
(以上,http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.phpに計算機。http://memorva.jp/school/safety/radiation_bq_sv.phpに内容がまとまっている。リンク先も参照すべし)

 これは1回の事故で汚染されたことを前提としているので、つぎの事故で新鮮な放射性ヨウ素(?)で汚染されるとまた計算を別にする必要がある。

 で、実効線量係数は放射性物質ごとに示されていて、市場希釈係数や調理等による減少補正も必要だが、個別に考えることは困難なので1で計算することにする。

預託実効線量 = 放射能濃度(Bq/kg) × 実効線量係数(Sv/Bq) × 摂取量(kg/日) × 摂取日数(日) × 市場希釈係数 × 調理等による減少補正
= 2000[Bq/kg]×2.2×10^-8[Sv/Bq]×1[kg]×365[日]×1×1
= 16.06[mSv]

となる。

 うおう、1mSvを大きく超えているぢゃないか! と焦る必要はない。

 吸収された放射性物質はほとんどが甲状腺に集まるので、これは甲状腺の等価線量に相当すると考えることにする。このため0.05をかけると全身の実効線量になる。
甲状腺の等価線量=預託実効線量として
実効線量=預託実効線量×組織過重係数
      =16.06[mSv]×0.05
      =0.803[mSv]

となる。
 かなり極端な設定で、ほうれん草は葉物野菜全部と読み替えるべき(それでも大人で一日400g程度)だが、(放射線施設管理上の規制値である)平時の公衆被爆の限度線量1mSvすら上回らない。
 これは暫定規制値の決め方からして当然のこと。
 
 暫定規制値は緊急時で放射性物質(放射性ヨウ素、放射性セシウム、ウラン、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種ごとに実効線量5mSv(放射性ヨウ素は甲状腺等価線量50mSv)を上限と設定し、食品群(「飲料水」(水)、「牛乳・乳製品」(牛乳等)、「野菜(根菜や芋類を除く)」(菜類)など3~5群:放射性ヨウ素と放射性セシウムでは半減期の違いから扱いも違う)ごとに割り振りをし、世代を5つに分けていずれの世代でも上回らないように設定している。実際の値を見るとより厳しめに決めているので、暫定規制値の値自体は信用していいようだ。
(詳しくはチーム中川のブログで解説しているので参照のこと。また、さらに詳細には次のリンク先も参考になる。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/rb-rri/QA/gakkai1.pdf
http://www.aist-riss.jp/main/modules/column/atsuo-kishimoto009.html
http://www.s.fpu.ac.jp/oka/radiation.htm
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110325sfc&fileId=160

以下は専門的だが非常に事細かく難解な原資料から解説している。
食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか
http://katukawa.com/?p=4467
)
 ただし、流通過程が信用できるかどうかは別問題


 なお、とてもわかりにくいが実効線量と等価線量が混同されているのは大きな問題。チーム中川も説明を試みているが、あの説明では厳しいのではないかと……。

 ある程度数字を見ている人たちの間でも認識が曖昧な様子。いまだに食品の暫定規制値で求めた預託実効線量が1mSvより大きいから問題だとか、統計上有意な影響を認めない100mSvより小さいから問題ないと言っているのを見るが、異なる意味の数値を比較しても仕方がない

 たとえば、例に出したほうれん草1kg365日の約16mSvを実効線量100mSvや1mSvと比較しても仕方がない。
 福島第1原発作業者が2-3Svを皮膚に被曝したというのを聞いて、東海村JCO臨界事故のようなものを連想してしまった人は早合点(恥ずかしながら自分もだ)。実際ベータ熱傷だけで退院している。
 
 

 残念ながら、一般の人はこの種の説明をしても「数字を並べられても意味が分からないから」と受け付けてくれない。その結果、陰謀論やら政府不信論とかの分かりやすい敵を設定したものに流れてしまう
 
 自然科学で安全確保が図られているのにもかかわらず,それが通じていない。自然科学教育の無力を感じる場面である。
 
 分かりやすくするほど真実から遠ざかる。実際放射線はとてもわかりにくい。



 全身の実効線量と組織過重係数による各組織の等価線量の関係(ICRP2007)

『実効線量』 =
『生殖腺における 等価線量』 x 0.08
+ 『骨髄における 等価線量』 x 0.12
+ 『胃における 等価線量』 x 0.12
+ 『肺における 等価線量』 x 0.12
+ 『結腸における 等価線量』 x 0.12
+ 『膀胱における 等価線量』 x 0.04
+ 『乳房における 等価線量』 x 0.12
+ 『肝臓における 等価線量』 x 0.04
+ 『食道における 等価線量』 x 0.04
+ 『甲状腺における 等価線量』 x 0.04
+ 『皮膚における 等価線量』 x 0.01
+ 『唾液腺における 等価線量』 x 0.01
+ 『骨表面における 等価線量』 x 0.01
+ 『脳における 等価線量』 x 0.01
+ 『残りの組織における 等価線量』 x 0.12
(組織過重係数の出典:ICRP2007勧告について 原子力安全委員会事務局)
なお、文中では甲状腺について1990勧告の値0.05を使っている。


追記
 放射線の実効線量について学ぼうとする人が参照しているようなので、一部の書き改めたりリンク追加をしている。これからも随時行う。
追記終わり
Posted at 2011/05/15 11:09:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | 放射性物質・放射線 | 日記

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