
正直なところ、食品が基準を守られているのかどうかはその場で測定でもしない限り分からない。
すでにヨウ素131は考える必要がないが、セシウム134、セシウム137が暫定規制値に引っかかっていることが話題になっている。
その一方、ガイガーカウンターが「バックグランド」より振れると即座に食材を捨てている人がいるとか。
そうすると、その人は全てのバナナを食べるのは今後難しくなる。カリウムを豊富に含む食物だからだ。
いや、もしかすると必須元素のカリウムを取れずに体をこわすかも知れない。
以前も取り上げたとおり、カリウムの同位体にはカリウム40という放射性同位体がある。半減期がなんと12.8億年と呆れるぐらい長い。このカリウム40は放射性ではなく安定なカリウム39やカリウム41とともに存在する。その比率は
カリウム39:カリウム40:カリウム41=93.26:0.012:6.83
だと言う。割合は少ないが、カリウムがあればほぼかならず放射性カリウムも含まれている。生物学的半減期は30日。
バナナもカリウム40を含み、ベータ線やガンマ線の放射線を放っている。つまり、食べれば被曝する。
バナナ1kgあたり130.24ベクレルであるという。
暮らしの中の放射線(高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター)では次のようなデータを載せている。
1kgあたりのカリウムによる放射線
白米 30ベクレル
ほうれん草 200ベクレル
干し椎茸 700ベクレル
食パン 30ベクレル
魚 100ベクレル
生わかめ 200ベクレル
ポテトチップス 400ベクレル
牛乳 50ベクレル
干し昆布 2000ベクレル
また、
CNICのHPでは
外洋海水 1L(リットル) 12.1ベクレル
というデータも載っている。
鶏卵は1kgあたり1.3gのカリウムを含むので、39ベクレルになる。
食物から取り入れるカリウム40という放射性物質は意外に多い。
カリウムは我々の体に必須の元素であるから沢山含んでおり、成人(60kg)の日本人で4000ベクレルになるとか。
ほうれん草の暫定規制値は1kgあたり セシウム137で500ベクレル。自然放射線以外に追加で摂取するし元素が違うこともあるが、このあたりの量ならそれほど神経質になる必要のない量だ。
放射線は程度問題であって測ればバックグランドより多くなる食品などざらにある。それをいちいち捨てていたら大変なことになる。
放射線ゼロなど不可能。細菌ゼロを目指す清潔症と同様の世界だ(などと書くと、問題をすり替え東電や政府の責任を訴えるものを精神病扱いしているなどと言われてしまうのかも知れないが)。
被曝=アウトだとしたら、とっくの昔に地球の生命は絶えている。もう少し冷静になろう。
追記
などと言ってみたところで、放射線に神経質になっている人の耳には届かない。そうした人には安全情報は否定され、デマであっても危険情報ばかりが採用される。とても不思議な心理だが、最も危険な情報を基準にしたいと言うことだろうか。しかしそうした情報は絶望的なことを言っていることがあり、もはや絶望するしかなくなる。
ICRPの基準が日本で採用されているが、欧州のEURRはICRPを批判し(2010 年勧告の冊子を見ても、かなりの部分がICRP批判にあてられているのはこの団体の特徴をよく表す)それよりかなり厳しい基準を考えている。しかしそれが適切な基準かどうかはよくわからない。
ICRPの基準とて厳しい。そのままあてはめれば千葉や東京すらも空間線量がその基準を超える。だが、想定されるリスクは低いため、退避は割に合わないと評価されるだろう。
放射線に神経質になって政府に対して誤読を根拠に批判している人たちは、一体何を得たいのだろうか。放射線を取り除くことは不可能だ。退避をさせたいのだろうか。補償を得たいのだろうか。そんなことを言っている間に被曝が進む。
健康が心配なら、今すぐ退避すべきだ。
被曝の恐れがほとんど無い地域で批判をして、現地の不安を煽っている人たちは、ちょっと信じがたい。デマではないとか安心デマだとかといいながら、明らかに間違っているデマを流す。最低だ。
追記終わり
追記その2
ガイガーカウンターでは正確に食物の測定をすることは困難。
また、ガイガーカウンターでカウントする放射線の放射は
ぽつっ…………ぽつっ………ぽつっ_ぽつっぽつっぽつっぽつっぽつっ………ぽつっ…………ぽつっ
と言った具合にランダムに頻度が変わる。
偶然頻度が高くなることも低くなることもある。
追記終わり
Posted at 2011/05/19 19:03:38 | |
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放射性物質・放射線 | 日記