2012年09月13日
弁護士に委任するには、通常は報酬が必要である。
報酬は
・着手金(仕事を請け負ってもらうために払うもの)
・報酬金(相手から勝ち得た賠償金のうち、弁護士による上乗せ額の一定割合)
の2つである。
その他に、相談料、顧問料などもある。
有能な弁護士ほど賠償金が少額な訴訟は引き受けない。高額案件が次々と依頼されるからだ。
依頼する側も、少額案件では弁護士報酬の方が高額になる「費用倒れ」になるおそれがあるので依頼を躊躇する。そのような案件は当然弁護士は受けたがらない。
どんな訴訟な100%勝てるとは限らないので、通常マージンを見越して充分勝てる仕事しか引き受けない。
ただし、報酬体系が一般的ではない場合がある。
・完全成功報酬
・賠償金全額の一定額を報酬とするもの
前者は費用倒れにならないように、十分な賠償金が得られなかった場合は報酬を割り引くというもの。だが、依頼の選択は相当にシビアになることをが予想される。
後者は上乗せ額が少ない案件でも報酬が大きいのでよろこんで引き受ける。だが、依頼側の費用倒れリスクが高い上に、弁護士がどの程度本気で仕事をするのか不明確だ。と言うのも、訴訟結果による報酬ダメージが少ないからだ。
2000万円の損害額がある案件で、既に1000万円が提示されているケースなら、上乗せ額は1000万円である。
たとえば、上乗せ額による報酬なら最大1000万円の2割で200万円が報酬の最大。損害額全額の1割タイプならやはり200万円である。
裁判の結果、1700万円までしか認められなかったとすると、前者の報酬は140万円。後者の報酬は170万円。結果の影響は前者には大きいが後者には少ない。
後者の弁護士なら適当にカタを付けて数をこなすことを選ぶだろう。
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弁護士全般に言えるようだが、裁判の本質が全てをお金に換算するものであることもあって、損害額の全額補填がされるのなら、過失割合にはこだわらない傾向がある。
損害がお金で補填される以上、人身傷害特約によって大部分が補償されているケースなら相手から勝ち取ればよい額は少ないので、裁判で過失割合の判断が厳しい結果になったとしても損害を全額近く回収できるからだ。
人身傷害特約がなく、過失割合が弁護士の報酬に直結するケースでないと、適当に済まされてしまうリスクがある。
こうした弁護士は物損は自分で適当に示談しろと平気で言ったりする。物損の損害額は通常人身にくらべて少ないので、弁護士には取るに足らない金額にしか見えないらしい。人身と違い保険会社の示談交渉サービスである程度終わっていることもあり、わずかな金額(=わずかな報酬)のために個別多様な物損の処理を行うこと余計な手間としか思っていないようだ。
逆に言えば、人身傷害特約で補償される案件は、弁護士にはあまり手間がかからずに損害回復しやすくやりやすい案件だとも言えるのだろう。
Posted at 2012/09/13 00:28:51 | |
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