体全体の放射線を測るホールボディーカウンター(WBC)。福島で測定に用いられているが、これを
東京でもやろうという話を市民団体が持ち上げているのだが。
しかし、このページの説明を読む限り、放射線について理解しているとは思えない。
理論的には1ベクレルからでも測ることができます。でも、300ベクレル以下の少ない放射能に関しては測定誤差が大きく、その値は信用出来ないということです。信頼出来るの300ベクレル以上です。1000ベクレル以上なら、わずかな測定時間で相当正確な測定ができます。
と、聞くと「1000ベクレルって相当高い値だから、東京でそんなに内部被ばくしてる人いないよ。だから、意味ないね」と思うかもしれません。でも、そんなことないです。もし、0ベクレルと結果が出たら、その人の体から一本も放射線が出ていないと考えてかまいません。300ベクレル以下の数字が出たら、その値は正確ではないけど何か放射線が出ていると考えることができます。
福島県に納入されているホールボディーカウンターには検出限界値があって、それ以下だと一律「ND」になります。だから、0かも知れないし百数十ベクレルかもしれません。あるかないか分かるってことは重要だと思います。
0ベクレルならたしかに放射線ゼロだが、何度も繰り返しているように、人体の中にはカリウム40などの自然にとり込んでいる放射性物質があり、かならず放射線を発している。ゼロはあり得ない。成人男子で、カリウム40で4000ベクレルほどだ。
そもそもND(検出限界)の意味が全く分かっていない。放射線が検出できても特定放射性物質の放射線かノイズか区別できないのがND。測定をして【ない】状態はそもそもあり得ない。ましてや遮蔽もしていないのでは。
WBCで測ったらゼロじゃなかったと不安を煽るのが目的なのだろうか?
もうすこし考えてやって欲しい。
なお、写真を見る限り、これはWBCではない。放射線源の付着や持ち出しを検知するためのゲートだ。外部の放射線の遮蔽なしでくぐるだけで内部被曝を正確に測定できるWBCなどあり得ない。
とある病院に、この手の機械が2倍以上の値段で納入されていたようだ。こういう機械を、無知をいいことに高値で売りつけている悪徳業者がいるのかも知れない。
ツイッターを見たら気になるネタだったので、ひさびさに放射線の話題をとりあげた。
まだこんなレベルで放射線のことを考えている人たちがいるのだなあ。
Posted at 2012/10/16 06:15:15 | |
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放射性物質・放射線 | 日記