フロンが極端に減ったわけではなく、気象条件によってオゾンホールが90年以降最小になったそうだ。
過去最大などと言われたときについては,気象条件の検討はされていた(あるいは報道されていた)のだろうかと疑問をもった。
「南極大陸の約1.5倍まで拡大
したものの」などとつけるあたり、何となく印象操作感も。
ちなみに、
気象庁のプレスリリースでは
今年の南極上空のオゾンホールは、9月下旬に最盛期を迎えて南極大陸の約 1.5倍まで拡大しましたが、 1990年代以降で最も小さい規模となりました。
ニュアンスが微妙に違う。
オゾンホール:今年は最小 南極上空暖かく
毎日新聞 2012年10月25日 東京朝刊
気象庁は24日、今年の南極上空のオゾンホールが南極大陸の約1・5倍まで拡大したものの、大規模なオゾンホールが継続して出現している89年以降で最小になったと発表した。南極上空の低温域が平年より小さかったことが原因という。
オゾンホールは例年、南極の春に当たる9〜10月に最大となる。今年9月には2080万平方キロまで広がったが、これまで最大だった00年の2960万平方キロより大幅に縮小した。低温状態で出現してオゾン層破壊を促す「極域成層圏雲」が発生しにくかったためとみられる。
オゾン層破壊物質の「フロン」などの濃度は国際的な取り組みによって緩やかに減少しているが、今回の縮小は主に気象条件が影響している。気象庁オゾン層情報センターは「今年より大きなオゾンホールは今後も発生するだろう。80年以前の水準に回復するのは今世紀半ばごろ」とみている。【池田知広】
【追記】
日経は見出しで規制効果を謳い、日経らしく産業・経済界に擦り寄った印象で報道。
なお、NHK、朝日、読売は比較的中立的で、特にNHKと朝日デジタルでは過去のオゾンホールの大きさの変化を示すグラフ(気象庁の資料にあるものと同じ)を示し、より客観的。

(↑朝日新聞デジタルより)
オゾンホールの大きさとフロン全量のデータを見る限り、80年代以降の上昇傾向に歯止めがかかっているようにも見えるが、規制の効果が充分現れているかどうかは不透明(フロンの全量変化以上にオゾンホールの大きさが小さくなっている)。少なくとも今年が90年以来最小になったのは気象条件が優位。
南極オゾンホール、90年以降で最小規模 規制効果
2012/10/24 19:57 日本経済新聞
気象庁は24日、有害な紫外線から地球上の生物を守るオゾン層が破壊され南極上空にできる「オゾンホール」の規模が1990年以降で最も小さかったと発表した。フロンなどオゾン層破壊物質の規制効果が徐々に出始めているとみられる。
同庁は「このまま破壊物質の減少が続けば徐々に縮小する」としているが、オゾンホールの大きさは依然として南極大陸の面積の約1.5倍に達している。
同庁によると、今年は8月に南極上空にオゾンホールが出現し、9月22日に最大となる2080万平方キロメートルまで拡大。90年の最大面積2100万平方キロメートルを22年ぶりに下回った。
オゾン層破壊物質の濃度が緩やかに減っているのに加え、7月中旬から8月にかけて南極上空の成層圏の気温が例年より高かったためオゾン層の破壊を促進する雲の発生が抑えられたことが影響したという。
オゾンホールはフロンなどが原因で80年代以降に急速に拡大。2000年に南極大陸の面積の約2倍の2960万平方キロメートルまで拡大し、その後は徐々に縮小している。オゾン層の破壊が進むと地上に到達する紫外線が増加し、人体や生態系に悪影響を及ぼすことから、フロンなどは国際的な規制が進んでいる。
Posted at 2012/10/25 09:19:21 | |
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