ググると、オゾンで浄化?
血液クレンジングのレポートが出てきたが……
ところで私は、自分の血が採取される様子を見るのが大好きだ。毎年の定期検診で採血されるとき、刺した注射針の向こうで自分の血液がビュウビュウとほとばしって溜まっていくところを見ると「ああ、私は生きている!」と感じるのだ。
ま、あんまりこういう人、多くないみたいだけどね。
そうやって溜まった血にオゾンを注入するのである。どうやって?
医療用オゾンが入れられているが、気体なので見えない!
バッグに溜まった血液にオゾンを注入。
このように注射器のようなもので注入するのだが、気体なのでそこには何も見えない。「もし何も入っていなくてもわかりませんねー」などと言って笑っているうちに、オゾンはバッグにどんどん入れられていく。
そして、血液とオゾンをよく混ぜ合わせるのである。
上下左右にゆっくりと振る。
どす黒く疲れた様子だった私の血は、オゾンが混じりだんだん美しい赤に変化していく。「私の血はカベルネ」という言葉の意味が少し実感できる気もする。私の血はピノ・ノワールであってほしいなと思うけれど。
ちなみにこの間、針は抜かずそのままで待っている。
血液に十分にオゾンが混じったら、バッグをさらに高いところに上げ、体内に戻していく作業が始まる。
このようにバッグを高く上げて戻していく。
ちなみにオゾン化された血液になぜアンチエイジング効果があるかと聞くと、オゾンが赤血球と反応することで、酸素の供給量が高まり、抗酸化酵素をより多く含む“スーパー赤血球”がつくられ、細胞や臓器により多くの酸素を送ることができるから、だそう。
疲労しにくい体質への改善と活力回復が期待できるらしい。
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血液の色が変わるのは当たり前。
静脈から血液を採るので、血液は酸素の少ない静脈血。ヘモグロビンは酸素と結合していないので暗赤色。
オゾンと酸素の混合気体と混ぜ合わせればたちまち酸素ヘモグロビンとなって鮮血色になる。これを浄化などと勘違いしてはいけない。
スーパー赤血球云々も意味が分からない。抗酸化物質を持っていたら抗酸化物質と酸素が結びついた酸化物ができて酸素が運べない。酸素をうまく捕まえたり離したりできるのがヘモグロビンの優れた特性だ。抗酸化酵素を多く持つというのもよく分からない。
オゾンと酸素の混合ガスを混ぜることでヘモグロビンは酸素を捕まえるが、ヘモグロビンは非常に高性能で肺で十分な酸素量のを捕まえられる以上わざわざ体外で結合させる意味はないし、酸素供給はこの操作を行ったときだけの一時的なことに過ぎない。
オゾンや酸素を余計に入れれば体内の抗酸化物質がどんどん消費されてしまうし、ヒトなどは他の動物と違って自分でビタミンCなどの抗酸化物質を合成できないから減る一方だ。そのため抗酸化酵素を増やして対抗することになるのかも知れないのでその点では一時的に変化はあるのかも知れないが。
なお、変な印象を与えるこの文章の主は雑誌編集者。
それにしても、こんなことが流行っているとは。びっくり。
ドイツではやっているというところもソースが欲しいし、臨床データとか当然あるべきだ。ストレスを与えることでの活性化というのはありうる話ではあるのだが、中身がよく見えない。
下の動画を見ると、完全にキット化されていて、簡単な手順で一連の操作が完了するようになっているようだ。オゾン発生装置と消耗品のみで低コスト。効果はともかく少ない手間で利益は得やすいので美容系クリニックを中心に盛大に宣伝してやっているようだ。
追記
オゾンによる直接の効果実際のデータがないのでよく分からないが、ストレスを与えて酵素合成を促すという部分を期待しているのは間違いない。ただ、実際の効果はどうなのか。血液出し入れに伴うリスクは負いたくないが。
スーパー赤血球は、オゾンと接した赤血球が変化するのではなく、骨髄で新たに生み出される赤血球に変化が生じると言うことらしい。
2,3-DPGは嫌気呼吸(酸素を使わないグルコース分解)過程で生じる物質で、ヘモグロビンの酸素乖離を促す。赤血球ができる際にヘモグロビンのこの物質への反応性が高まる効果が認められているというのだが。
もしそうなるとして、二酸化炭素、pH,温度に反応して酸素をより多く解離するが、その反応性を高めて酸素を多く供給することに利点があるのだろうか。血液循環に何らかの障害が生じてうまく酸素が運べない状態において初めて効果があるはずだ。血管系とヘモグロビンに異常がなく普通に運動ができ酸素供給量を増やせる状態のヒトには「?」
抗酸化酵素の増産についても、通常の
酸素呼吸が運動などで多くなれば活性酸素が生じるため増産される。運動負荷の方が無理がなさそうに見える。運動ができない状態のヒトにやむを得ず行う療法に思えるが。しかし、運動ができない状態(≒病気などで動けない)のヒトに強い酸化ストレスを与えて問題はないのだろうか。
私としては、どうも効果はあったとしても運動負荷と同じ方向のもので、その代替でしかないような印象だ。体を動かさないので呼吸系や筋肉系、制御する中枢系などに負荷が起きないアンバランスなものに思える。健康な人が受けるべきものには思えない。
血液クレンジング普及会なるところに挙がっている内容は以下の通り。当然中身について正しさが不明で私は責任を負わない。
作用機序(メカニズム)
血液クレンジング療法の体内での作用機序は、40年近い研究の結果として医学的にかなり解明されています。
現時点で、作用機序の要点を述べますと、「血液クレンジング療法は、オゾンと血液とが反応して出来た生成物と活性酸素が全身のあらゆる細胞を刺激し、細胞が活発に機能することが目的の療法で、ヒトの自然治癒力を高める方法」と言えます。
1:血液流動性の改善
オゾン効果で血液サラサラ(流動性の向上)となります。赤血球膜の陰性荷電が復活し、細胞膜の変形能が復活するためで、暗視野顕微鏡でその様子を観察することが出来ます。酸素運搬能も増して赤血球の形も真円のものが多くなります。
2:末梢血管の拡張による循環改善
血液クレンジングにより、血管内皮細胞の一酸化窒素合成酵素が増加します。その結果一酸化窒素が増加して血管が拡張するのです。
一酸化窒素を増やして血管を拡げる作用のある薬には、狭心症治療薬のニトログリセリンやED治療のバイアグラなどがありますが、これも同じ原理です。
3:体内酸素化
赤血球の酸素運搬能を一時的に向上させ、酸素が行き渡り難い末梢の場所にもせっせと酸素を供給するようになります。
更に骨髄の赤血球産生段階に作用して、2.3-DPG活性が高く酸素運搬能が高いスーパー赤血球を生み出すことも明らかにされています。
一度生まれたスーパー赤血球は約100日働き続けます。
4:免疫の改善
免疫を司る白血球に働きかけて、インターフェロンやインターロイキンなどのサイトカインを放出させることで免疫細胞の増加や活性化を起こし、やがて免疫が強化されます。
5:エネルギー産生増加
細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアに働きかけて、ATPというエネルギーを増産させます。
これには内臓脂肪などが消費され、エネルギーに転換されるのでダイエット効果も得られる。
6:抗酸化力の向上
細胞内の抗酸化酵素(SOD、カタラーゼ、グルタチオンなど)が増産されて、抗酸化力が強化されます。
これにより細胞内の活性酸素やフリーラジカルは直ちに消去されます。
7:幹細胞の稼動化
一酸化窒素の放出は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP-9)を活性化して、骨髄幹細胞や、間葉幹細胞を稼動化し、組織には究極の修復が行われます。
Posted at 2012/11/10 18:26:05 | |
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