STAP細胞の実在性の話は、科学的な議論としてはほぼ決着が付いている。
STAP細胞の作成し実在を主張するのは小保方氏(とバカンティ氏)のみであるし、その当人が証明できていない。単に証明のやり方が不十分なだけではなく、まともな証拠の提出がない。
STAP細胞が実在するなら、新たにSTAP細胞を作成してみせることができるはずだし、データがあるなら証拠はいくらでも出せるはずなのに、その後も満足なものはまったく出てこない。
当然、実在性があると認める余地はない。信じるのは勝手だが、あるならそれを証明できなければならない。
ただ、小保方氏の会見が科学のコミュニティーを相手にしたものではなく、対マスコミを考慮したもので、アピールする演技性に富み、陰謀すら匂わせて世間の同情を引こうとする戦略であるのが、研究者が起こした問題としては極めて異例なものになっている。
科学のコミュニティーならあえて無視する部分が、世間一般に対しては力を持つアピールになることをよく分かってのことだろう。
真っ当に考えれば、ねつ造をしただけですでに研究者としては生き残る余地がないし、理研相手に法廷で勝利をしたとしても得るものは少ない。
しかし、小保方氏はどういうわけか、対人でアピールする能力に優れているらしい。その喋っている内容は根拠の伴わないもので、虚言とも思われるようなものに過ぎないのだが、何を言いどのような表情をみせれば支持を集められるのかは承知しているように思われる。この能力が、理研のユニットリーダーという破格の待遇を得ることに関係した可能性が充分にあるとも思われる。
しかし、いくらこう言うところでうまくやったとて、今後どんな道が開かれることを期待しているのかが自分にはどうも見えない。ここまでの話はあくまで科学的な土俵の話で、その中で本質だけを見れば嘘を重ねて一切の信用を失ってただけにしか見えない。
科学リテラシーで物事を見ようとすると、「余計な情報や装飾を取り除くフィルター」によって、「金になる要素」「人の支持を集められる要素」を見逃してしまう部分が多分にあるからだろう。物事の本質を見極めようとする能力は、その対極にある表面的な事象を最大限に利用するためには障害にしかならないのだ。
こんなことを言っている人もいる。
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小保方さんは一連の過程で得た評価を武器に「世紀の大発見を成し遂げたものの不運と無理解によって潰された悲劇の天才科学者」というロールを演じて行くはずです。博士論文の剽窃というアカデミアにおける大罪は、メディアヒロインになる上でなんの障害にもなりません。
そしてヒロインとなった彼女はメディア文化人兼個人研究者となり「肌が蘇るSTAP美容液」や「STAP細胞効果でみるみる痩せる奇跡のSTAPサプリ」などのビジネスに手を出し、富と人気と毀誉褒貶を手に入れるわけです。
STAP界隈でこれから何が起こるのか
http://blog.livedoor.jp/omaenoteki/archives/38173182.html
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上記予想は本気とも思われないが、彼女のアピール力に注目した議論を展開している。
もしかすると、彼女は熱しやすく冷めやすいメディアや世間の目をうまく利用して何らかの地位を築くことが可能なのかも知れない。それを長期間にわたって維持する何らかの方法があるのなら、是非見てみたい。
自分はそんなものを支持はできないのだけれど。
今回、意図的に主流と逆の議論で注目を集め、嘘でもなんでも並べて金に換えてしまう恐るべき能力を持った武田邦彦氏が、小保方擁護をやっている。なにかしらの利益につながるとかぎ取ったのではないかと思う。
今回の小保方擁護では、「引用」について、著作物としての議論と科学としての研究の流れを明示する義務を意図的に混同させて「金や権利」の問題にすり替え、科学コミュニティーを貶めているのは腹立たしい。
しかし、彼は手を変え品を換え主張を変え、常に注目を浴びる努力(?)を重ね、マスコミを利用し、右往左往されやすい大衆を相手に、それなりの確率で利益を得ることに成功してきている。
そんな「世間をうまくコントロール」することが、今の彼女に見えている生きる道なのかも知れない。
それは、一般大衆相手に巨万の富を築く王道とも共通するものなのかも知れない。
Posted at 2014/04/12 19:53:35 | |
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