食べ物やハチ刺されなどのアレルギーで、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることがある。アナフィラキシー・ショックという。
最近ではアレルギーを持つ人が、緊急時の内服薬や注射を持ち歩くようになっている。以前授業でアナフィラキシー・ショックの話をしたときに、生徒で注射を持っている子がいた。本人は使い方を指導されている。
万一の対応としては、意識があり皮膚症状などの軽い症状であれば本人が内服薬を飲んで対応できることもある。しかし、緊急的な対応としてはアドレナリンの注射を行う。アナフィラキシーショックを起こしうるアレルギーのある人は
エピペンという注射を携行していることが多く、これを使う事になる。自己注射薬なので本人が対応できればするようになっているが、意識を失っている状態であればまわりの人が行わなければならない。学校では教員が対応して注射し、救急搬送することになる。
で、その注射部位なのだが、講習で教員たちがエピペンのパンフレットの写真を見て太ももの真横に打とうとしていたので、私は位置が違うと言ったのだが、受け入れられなかった。
打つべきは
「太ももの前外側」である。これは本人がエピペンを握ったときに自然に位置する場所でもある。
写真が正面から撮ったもので、あたかも太ももの真横から打ったように見えるのだが、言葉ではちゃんと「太ももの前外側」と書いてある。パンフレットの写真が悪い。
他のパンフレットを見ると、ちゃんと位置が示されているものがある。まあ、筋肉に注射できれば多少位置が違っても大丈夫ではあろうが。
追記:
打つのは外側広筋と言う太ももの筋肉。真横だと腸脛靱帯に刺してしまいそうだ。

(ネットから引っ張ってきたので出典は不明。「好発部位」は無視のこと)
エピペンの針は意外に長く太い。場所を間違うと骨に達したり神経を傷つけたりする。
追記ここまで
参考までにパンフレットを載せておく。このパンフレットではちゃんと位置が明確に示されている。
http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/allergy/to_public/kinkyu-manual/allergy-C.pdf
説明が悪いこともあって勘違いして、エピペンは他人が打つものだと主張して引かない者がいたが、エピペンは自己注射薬で、本人が対応できれば本人がする。
また、意識があれば内服薬を飲ませる(本人が飲む)との説明を聞いて、意識がないときに注射を行うと思っているようだったが、
嘔吐や呼吸関係の症状など強い症状があれば即注射であり、本人が対応できればまず本人が試みるはずだ。本人ができなければ他人が行ってもいい(注)のであって他人がするのが原則ではない。
何より、意識があるからと言って症状が強いときは、内服薬では間に合わない。そのための注射携行だ。
エピペン講習会を行っていながら、重要なことが伝わっていないように見えた。講師の医者の言い方もあまりよくないし、うける側もたまたまメンバーの問題なのか、自己流判断と思いこみが強すぎる。
こんなことで緊急対応ができるのだろうかとちょっと恐ろしく思った。
私はちょっと怒り気味である。
注
他人への注射は、医師法上医師以外は行ってはいけないことになっている。しかし、緊急を要する場合は罪を問われないことになっている。
救命の現場に居合わせた教職員が、「エピペン ®」を自ら注射できない状況にある児童生徒に代わって、「エピペン ®」を注射することは医師法違反にはならないと考えられます。また、医師法以外の刑事・民事の責任についても、人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定によりその責任が問われないものと考えられます。
「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」
財団法人日本学校保健会 監修 文部科学省スポーツ・青少年局長 学校健康教育課
http://www.gakkohoken.jp/uploads/books/photos/v00051v4d80367d6506f.pdf
Posted at 2014/04/26 05:24:58 | |
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