教員はとても疲れている……というのは最近では周知されてきている。
朝は一般企業よりもはやくはじまり、昼休みも生徒への対応や様々な雑務で昼食を取る暇もなく、夜は居残って仕事をするが残業手当もない。持ち帰って仕事をし、夜中までかかる。問題を起こす生徒やモンスターペアレントへの対応、同僚や上司などとの人間関係……様々な精神的ストレスを抱え、土日は部活動で休めない……そんな教員はありふれている。
業務にこれといって達成感もなく、昇進するポストもほとんどない。自己実現は極めて限られている。昇進を希望するものも少ない。
鬱病になる教員は増え続けている……。
(出典 http://www.worldtimes.co.jp/wtop/education/data/dt110131.html)
その教員の疲労度を計測して調査したという記事があった。
関西福祉科学大学と宮城大学による研究チームによるもので、問診票だけでなく自律神経機能の測定(注1)や、
手首型の加速度データロガーを使った活動度など、客観的なデータによる調査をしている点が目を引く。
調査に依れば、教職員の疲労度は一般の2倍、被災地の東北と大阪でほぼ同値であったという。
鬱病や脳卒中、心筋梗塞などのリスクが極めて高い状態であるらしい。
給与条件は専任職員の場合でも、自治体や私立学校のそれぞれで違うが、一流大学卒にしては一般に低く、勤務状況はブラック企業のそれと似たようなもの。社会的地位も低くなる一方だ。
もともと教員志望者には意識が低いまま学校という枠にとどまり社会参加を忌避しているもの、既習事項のみで対応できると考え初等・中等教育に飛び込むものが見られるのに、このような条件下で優秀な人材が業界に集まりとどまるとは考えにくい。その一方で、
大阪市のように教育政策の立案に異常をきたしているような自治体すらある(注2)。優秀な人材を拒んでいるようにしか見えない。
教職員の疲労度、一般の2倍 計測技術使い立証
中村通子 朝日新聞 2014年5月30日05時53分

学校の先生はやっぱりひどく疲れていた――。関西と東北の大学による研究チームが最新の疲労計測技術を使い立証した。研究チームは「教職員はあと一押しでうつ病や脳卒中、心筋梗塞(こうそく)などに陥りかねない『がけっぷち』の状況にある。支援が必要」と訴える。
客観的なデータで教職員の疲労度を確かめたのは初めて。国内の疲労研究拠点の一つである関西福祉科学大(大阪府柏原市)と宮城大(宮城県大和町)などが共同で、柏原市の教職員252人と、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県沿岸部の市の教職員142人を2013年に調べた。
調査項目は①問診票②自律神経機能③手首型自動測定器を使った3日間の活動解析の三つ。
その結果、両市とも「総合的疲労スコア」の平均値は一般成人の2倍で、「要注意」判定に相当する高値だった。自律神経のバランスも大きく乱れ、活動量は一般人より1割少なく、居眠り回数は1・5~2・2倍だった。研究チームによると、これらの数値は体がストレスに必死で対応している状態を示す。この状態が続くと、うつ病や過労死などに陥るリスクが高い。
関西福祉科学大の大川尚子教授は「大震災という極めて大きなストレスを受けた教職員と、そうでない大阪の教職員が同程度の強い疲労に襲われているのに驚いた。教職員への疲労対策が急務だ」と話す。現在、うつ病などで休職している教職員の割合が全国で最も低い兵庫県で同様の調査をし、どのような状況が疲労の要因になっているのか探る研究を進めているという。
30日から大阪市で始まる日本疲労学会で発表する。(中村通子)
注1
心電図のR-R間隔の心拍変動解析を行ってLF(低周波成分:0.04-.15Hz)/HF(高周波成分0.15-0.40Hz)の比を算出すると、交感神経系の
活動/副交感神経系の活動の比率を把握することができ、自律神経機能解の1つの指標として汎用されている。
(出典
「精神作業負荷に伴う疲労の評価法の検証」代表研究者 倉恒 弘彦 (関西福祉科学大学健康福祉学部教授))
更に詳しくは
「心拍変動による精神負荷ストレスの解析」
山口勝機 志學館大学人間関係学部研究紀要 2010 Vol.31
など参照。
注2
「
大阪教育基本条例はアメリカで破たんした落ちこぼれゼロ法とそっくりと指摘した報道番組『VOICE』に逆上する橋下氏 ガジェット通信 2012年03月05日」
も興味深い。
Posted at 2014/05/31 08:38:52 | |
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