2014年12月27日
小学生の頃から学級新聞のようなものを作り、情報の送り手でありたいと思っていた。
だからと言って、新聞記者みたいな仕事は生活がむちゃくちゃであるし、理想と現実のギャップも大きい。取材をしたいわけでもない。自分としては編集者が合っていると思っていた。
大学にたまたま教育系大手出版社に行ったかなり上の先輩がリクルーターとしてきていて(うちの大学では企業就職自体が少なく、リクルーターなんか少なくとも生物学教室には来たためしがない)、話を聴きに行ってみたことがある。
その時「同族会社である」という理由で父親が強く反対した。
出版社はほとんどが小さな資本の同族会社で、大手も同様である。父親の論理では出版社はどこも就職できなくなってしまう。
結局その出版社はあきらめた。回りからは勿体ないと言われたがその通りだと思う。
その出版社は少子化のあおりで一時倒産の危機に陥ったものの、保有していたテレビ局等の株を売ることで立て直し、現在も大手として知られている。
実は映像を駆使した自分の卒業研究と発表の手法を大学の教育工学研究会というサークルが非常に注目してくれていて、人材として惜しがられた。実はここにはOBのからみかNHK(教育)も咬んでいたらしい。
自分としても興味のあったサークルで、このサークルに属して活動していれば、そちら方面への就職の可能性もあったのかも知れない。
もっとも、理系、生物研究をやっていて、教育系で8週間も実習に行く身ではサークルに属して活動しているヒマはなかったのだが。
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で、さすがに実務経験のない人間を中途採用するような出版社や編集プロダクションはないと思っていたが、ひとつあった。
問題集などを扱っている編集プロダクションで、数学・理科が人不足らしい。未経験でもOKという。
一瞬編集者としての道が開くかと思ったが、調べてみると、ここは待遇が悪く、夜中まで仕事があるのに残業代がつかない。仕事量が多すぎて休日出勤もざら。給与そのものも安い。鬱病になってやめる人が多く、常に求人が出ている、そんな編プロだった。転職口コミ情報サイトの内部や退職者のクチコミはボロボロ。
未経験可とする理由がよく分かった。
転職サイトの求人情報だけ見るととてもいい会社のように見えてしまうが、「裁量労働制」の文字に気付かないとえらいことになる。
実務経験のない人間を中途で雇うなんて、普通はあり得ないだろう、それをするからには何かあると言うのが結論だ。
なお、裁量労働制とは、労使間の合意で、実務時間とは関係なく一定時間働いたものと見なして給与を支払うしくみである。本来、労働時間と成果が一致しにくい職種で導入される。クリエイティブ系で勤務時間に縛られずに時間配分を自由にして働いた方が効率がよいとか、短時間の労働でも成果が上がるとか、通常とは異なる時間帯で成果を上げる(たとえば深夜番組の担当とか)ような場合にとり入れられるべきもの。
しかし、どれだけ働いても一定労働時間分の賃金しか払われない制度でもあり、ブラックな企業で残業代を支払わなくするための手段として採用されている。裁量労働制の文字を見たら要注意な訳である。
ちなみに、教員は4%増し分に全ての残業代を含むという特異な制度で、いくら残業しても残業代が出ないという、極めてブラックな制度が採用されている。非常勤など、いくら時間外の仕事があってもコマ単位でしか給与は出ないうえに極めて給与が安いのでどうしようもない。アルバイトだって残業代はつくというのに。
まあ似たようなものだから、教員からそう言うブラックな会社に転職してもあまり違和感は感じないのかも知れない。
Posted at 2014/12/27 20:19:22 | |
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