「精神科医に拳銃を持たせろ」や「残業規制に反対」の信じ難い日本精神科病院協会会長の暴言オピニオンを見て以来、日本精神科病院協会という組織の問題に目を向けるようになった。
多くの政治献金は政治的に利益を誘導するためのものであるし、政治団体は政治的に何らかの利益や理念の実現のために存在する。政治家個人の後援会はも同様だろう。
たとえば、医師に関しては日本医師会という職能団体があるが、直接政治活動が出来ないため、政治団体である日本医師連盟が関連団体としてある。
日本精神科病院協会は、日本の私立精神科病院の団体である。
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日本医師会の政治団体としての日本医師連盟は、莫大な政治献金を行っていることで知られている。たとえば、東京新聞のこの記事。
日本の医師の収入水準は、勤務医については諸外国に比べて高くはないし、勤務状況もかなりブラックであるので、それはそれで解決して行く必要があるとは言える。しかしながら、
日本医師会は開業医を中心としている。開業医の利益はかなり大きい。勤務医の待遇改善が進まない背景はそのような事情もあるらしい。
一方、業界としては医療費で巨額が動くので、その利益をめぐっていろいろな思惑が動いているのは間違いない。他学会では絶対にあり得ない莫大なお金を使った派手すぎる「学会」を見るたびに、我々の支払う税金や健康保険料、医療費から無駄な金が流れ込んでいるのを思わずにはいられない。
それはともかく、政治家に金が流れ込むことで何かが歪められているとすれば、許されざる事態だ。
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日本の精神病院は、他の医療施設とは異なる政治的色彩を持っている。
その歴史をまとめたものは時折見るが、ネットでこんなものがあった。
文字通り「芹沢一也(2005). 狂気と犯罪 なぜ日本は世界一の精神病国家になったのか 講談社」の書評である。
おおむね司法と精神病院との関係がまとめられている。要は、精神病院は社会的な隔離施設として存在し、大量の入院患者を抱えることで経営を成り立たせている私立精神病院が日本には今も多く存在していると言うことだ。
日本精神科病院協会会長の山崎學が右翼思想を持ち、日精協の政治団体と言える安倍晋三後援会晋精会を通じて極右政権と結びつき、厚労省の政策を歪めて私立精神病院に利益誘導をしていることは、単に政治献金による利益誘導以上のあやうさがある。
認知症対策をまとめた厚労省の新オレンジプランは、オレンジプランの病院から地域ケアという流れに精神科医の役割を割り込ませたものになっている。要は、少子高齢化の中で比較的若い年齢の患者が多かった精神科が新たに認知症患者をターゲットにして経営を安定化させようとしていると言うことだ。
日本の精神医療は海外に後れをとっているとよく指摘される。それを埋めるべく政策が決められていくのならわかるが、世界の流れに逆行し、政策を後退させて日本の現状追認するようなものはかなり問題があろう。
気持ちが悪いのは、極右であることだ。安倍政権が国会を完全に軽視してまともに質疑応答を行わないことがようやく一般マスコミでも取り上げられるようになってきたが、内閣人事局で三権分立を骨抜きにし、権力集中をさせて歯止めのない緊急事態条項を盛り込み基本的人権を削除する憲法草案を掲げる現在の自民党は、独裁制を目指しているように見える。というよりそのようにしか見えない。
独裁政権と精神科医と言えば、ナチスの虐殺である。
ヒトラーに近付いた精神科医が優生思想の元に精神病患者を大量虐殺した歴史を、精神科医に拳銃を持たせろと言う部下の言葉を協会誌に引用し、右翼思想丸出しのオピニオンを書き続けてきた山崎學の件は連想させる。
そうした歴史があるからこそ、うかつな行動は慎まなければならないのだが、まるでそうした意識が感じられない。
これまでは多くの問題発言は患者サイドからの反発、公開質問状が突きつけられる程度で日精協は適当にいなしてきた感があるが、さすがに拳銃の件はマスコミで取り上げられ広く非難を浴び、山崎學のオピニオンをHPから削除した。が、「HPリニューアルのため」と反省を見せない。
そもそもそうしたオピニオンを堂々と機関誌巻頭に載せ続けてきた日精協はかなり問題のある組織としか思われない。
我々は極めて危うい社会に住んでいる。
Posted at 2018/07/23 10:51:34 | |
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