丸のこを使うようになり、非常に危険度の高い電動工具であると同時に極めて有用な電動工具であることを実感するようになった。板を切るのには非常に役立つ。
しかし、繰り返し決まった角度で切る、長くて細いものを切るなどの時、丸のこはあまり向かない。そう言う場面では圧倒的に便利なのがスライド丸のこなのだ。
で、夏休みの工作に向けて中古を落札した。
視点としては
・190mm以上のもの(フローリング材が一発で切れるサイズ)。
・スライド丸のこでは定評がある日立(Hikoki)製。
・レーザーマーカー付き。
で、これらを満たす日立のC7FSHかC8FSHあたりをヤフオク等で探していた。
レーザーが弱くなっている個体は除外し、外装のなるべくきれいな、使用頻度の低そうな個体でそこそこの値段ということでこの個体になった。ライバルはいなかった。
もう少し安く、外装プラスチックの割れがあるものがあったが、それ以外の痛みも気になったのでこれにした。内装やさんあたりで結構ハードに使われていることが多いので、塗装がぼろぼろになっているものが結構ある。
今回の個体は、切り粉、切り端があちこちに入り込み、掃除もせずに送られてきた。最低限の清掃はしておいて欲しいものだ。
やっぱり実物はでかい。何処置こう…と悩むぐらいでかい。バルコニーにカバーを掛けておくしかなさそうだ。塩害がある地域なので、密封しなくてはならない。
丸のこの刃も216mmとでかい。今までの丸のこは2つも147mmなので、約1.5倍! しかしスライド丸のこは安全性も高いので、刃が大きくても見た目の恐怖感はない。
さて、中古であるからにはメンテが必要。
その前に動作確認。
ライトとレーザーは問題なし。
きちんと周り、きちんと切れる。スライド機構等も問題なし。
若干欠品があるが、実際ほとんど使わないものなのでよし。
木工用ボンドと思われるものがあちこちについている。これはふやかして取ればいい。
自在に動かせるライトは、ボンドの付着があり、やや錆が出ているが、磨いて塗装すればいい。
一つ問題があるのは、丸のこにブレーキがかからないことだ。
丸のこのブレーキは、
・スイッチの接点劣化による抵抗増。
・カーボンブラシの不良。
・アーマチャアのコミテータ(整流子の不良)
で起こる事がほとんどらしい。
これまで多くのドリル、ドライバー類については、カーボンブラシの交換で大概解決した。
リョービのプロ向け丸のこは、ベアリング不良からコミテータが波打ち、不良になっていた。コミテータを磨いてみたが激しく火花が出るようになり、前オーナーが変なメンテをしたあとも見られたので少々高いがアーマチャアを交換した。
さて、今回は。
スイッチを確認すると、接点の片側にカーボンが付着し、表面が荒れていた。丸のこの場合大概こうなるようだ。清掃しある程度ならした上、シーソーの接点を入れ替え組んでおいた。荒れた接点同士だとどうしても接触が悪くなるからだ。これでブレーキ不良が改善したケースもあるようだ。
ケースからなかなかアーマチャアが抜けないという、今まで経験のない思わぬトラブルがあったが、結局裏側に小さな穴を開けてポンチでたたき出すという修理屋さんがよくやる方法で取り出した。
アーマチャアを観察すると、やはりコミテータがやや削れていて、それなりの使用頻度があったことが分かる。しかし、使用限界には遙かに遠い。
リョービの丸のこで痛い思いをしているので、アーマチュアを研磨するのはちょっと気乗りしない。通常はトラブルが起こりやすい為研磨禁止らしい。業者は旋盤などで削るようだ。
カーボンブラシは部分的に割れもある。これは交換だろう。
で、ブラシ交換で解決するかもしれないが、やっぱりなだらかなへこみは気になる。
そこで、ドリルで回転させ、鉄ヤスリや紙やすりで削ってみることにした。
ボール盤は、現状フレが出ていて、長いものをつかむとさすがにフレが目立つので、これはダメだろう。ボール盤は軸に曲がりが出ている可能性もあるが、消耗品と言われるチャック交換を予定している。
代わりに充電ドリルで回転させ、バイスで先端のベアリングを抑えて完全にフレを止めた状態で磨いてみた。ダイヤモンドヤスリから耐水ペーパーで番手を上げて磨いていく。
何度磨いてもダメだったという人もいるので、かなりドキドキだ。
で、ギヤ部の清掃・ベアリング交換・グリスアップを済ませ、本日カーボンブラシが届き、本体の組み直しも完了したので、いよいよ試運転をしてみた。
先ず古いカーボンブラシを入れる。回転させると派手に火花が散る。こりゃダメだ。コミテータの研磨がまだ甘かったのか?!
しかしよく観察すると、火花を出しているのは片側のブラシだけ。もう片側は最初だけで当たりがつくとおとなしくなった。
ならばブラシ交換でいけるだろう。
新品に入れ替え、スイッチオン!
今度は火花を飛ばさず静かに回転する。
更に、ブレーキもかかる!
今回はモーターのメインテナンスがうまく行ったようだ。
あとは各部の調整で使えるようになる。
追記:
上はヤフオク出品時の画像。
丸のこ部の保護カバーを比較してみて!
古い透明な樹脂は黄ばみが目立つものだけど、今回は結構きれいにできた。
追記:
丸のこの刃を取り付けて回転させてみたところ、刃が振れている。
分解前の試し切りの時にはフレはなかったので、刃が曲がったか軸が曲がったかなのだろうかと調べてみたが、問題なかった。
メンテ中におかしなことをしたおぼえはなく、軸が曲がるとは考えられない。
ググってみると、丸ノコの刃の振れが出たとき、刃を固定するフランジの交換で改善することがあるとある。
ああと思い、フランジをよく見てみると、内フランジと外フランジを逆につけていた。
図の198Aと208だ。見た目に似ているが、内フランジは高精度に製作されているが、外フランジは固定するだけなので高精度にはできていない。ボルトで当たり面は変形もするだろう。ひっくり返しても刃が取り付けられてしまうが、振れて当然だ。
取り付け時に刃が固定できないので気付きそうなものだが、外フランジを入れてしまうと固定できてしまうのでそのまま何となくつけてしまった。
内フランジなんて、普通外さないからなあ。
今回は問題なくなったが、また振れが出るようなら、まずこれを交換するべきだろう。軸・ギア一体部品だけでは部品が出ないので、駄目ならギアアセンブリの交換だ。