米国FRBのインフレ抑制のための利上げは、日銀が国債指し値オペ0.25%維持粛々と実行する日本円を売る大きな理由となる。
以前の円安時は、世界に先駆けて実行されたゼロ金利政策で各国金利と大きな金利差がつき、コストがほとんどかからず調達できる円でお金を借りてリスク投資をするキャリートレードが大規模に行われ、円安が加速した。
海外で円建て住宅ローンなんてものがあったのだから恐ろしい。住宅ローンなど何十年もかけて支払うものだ。それぐらい円は金利を上げられないという目論見であったのだろう。
ところがリーマンショックでリスク投資の大規模な縮小が起こり、円建て投資が取り崩されて資金が日本に逆回転。一気に円高に振れた。
さらに海外中央銀行が緩和策を採り始め、低かった円の価値が相対的に上昇して円高が加速。アベノミクスでのマイナス金利+もろもろの緩和策で転換するまで続いた。
さて、現在の円安は130円前で心理的節目を迎えて足踏み中。
節目の125円(黒田シーリングの126円)手前でも大きく利食いが入ったが下値は堅く、130円手前まで買いが続いた。
主要な動きは投機筋によるもののようで、円先安感で円売りを仕掛け、適当なところで利食っているわけだ。今は130円手前で利食い、当局の出方を見ている状態と言える。
で、当の日銀は指し値オペを続けているし、金利上昇は莫大な国債の利払いを背負う政府と、株安と国債価格低下で
債務超過に陥りかねない日銀の首を絞める。アベノミクスマイナス金利バブルを崩壊させるわけにも行かない(とは言え投機が不動産などに起きているほかは日銀当座預金にブタ積みか国外に向かっているので、国民の多くにとっては低金利の恩恵が少なかったのと同様に直接悪影響はあまり無さそうだが)。と言うことで、日銀は金利を上げられない。
今は口先介入で市場の反応を見ている状態と言える。
130円という節目を前にしばらくはにらみ合いが続くかも知れない。
とはいえ現状で実弾投入(介入)をしても、金利環境が圧倒的に円売り有利である以上スピード調整にしかならない。そもそも、円売り介入ならいくらでも日銀は円を用意できるが円買い加入となればドル資金が必要だ。本来日本には莫大な外貨準備があるはずだが、ほとんどが世界第一の借金大国で宗主国のアメリカ様の言いつけ通り米国債を買わされている。これに手をつけることは市場における米国債の信用に関わるため、アメリカの同意なく売ることは困難。
日本だけで介入をしたところで効果は低い。だが日本がインフレが進む中でも利上げをできない故の円安なので、よほど円売りが過熱しない限りは大規模協調介入は難しい。
そんなことなので、これまでのあまりに急ピッチな円安の過熱感も高く、130円の節目を前に一時的に戻る場面もあるだろうが、130円を突破して勢いがつく可能性は充分ある。
指し値オペを続けながら円買い介入をすると言うことは考えにくいが、実弾を投入し、投機筋が買い上がったところをさらに踏み潰してストップロス注文をつけに行くことを繰り返せば意外性と恐怖感で当面の時間稼ぎはできる。
ただ、あと1年の任期の黒田日銀総裁は、これまで実効の上がらないリフレ政策にしがみつき、ずるずる市場に出回らない「異次元緩和」(お金が日本経済ではなく異次元へと流れていく緩和?)を続けてきた。今更これまでの金融政策の否定をするとは考えにくく、後任が非リフレ派に決まりそうだという状況にでもならない限り日本の足下を見た投機筋の円売りは続きそうだ。
節目の130円の突破がいつ起こるか。
なお、今は円安にかけるのが分が良さそうだが、円売りが積み上がれば何かの理由で逆回転が起こることにも注意が必要だ。
以前はドイツ銀行の問題や中国の問題が言われていたが、世界的ショックの芽はどこにあるか分からない。
Posted at 2022/04/24 07:30:52 | |
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