当初、ハツリが可能な電動工具=ハンマードリルだと思い込んでジャンクを探したのだが、実はハツリが可能な電動工具≒ハンマードリルであって全てではない。と言うよりも多くの機種はハツリはできない。
ハンマードリルはドリルに打撃機能を装備した物で、ドリルとドリル+打撃の2モードが多い。中にはドリル+打撃しかできないものもある。
これに打撃のみのモードを加えたものが3モードで、ハツリができる機種はこれになる。
なお、3モードにもなると機構が複雑になるので高価になり、故障のリスクも高くなるらしい。
単純で信頼性が高くよりパワーがある電動ハンマーの方が解体仕事で使う人にはよいのだろう。
そんなこととは知らず、ジャンクを見つけて安価に落札してしまったのが2モードの日立工機 DH18DSLだ。コンクリート16mmの穴開け能力がある。ハンマードリルとしては小型で、中型の振動ドリルと似たようなものだ。単純な金工・木工ドリルとして使用するなら余り能力は高くはない。インパクト用の六角や丸軸のドリル刃を使うならドリルチャックを購入する必要もある。
充電式なので自由度が高いことがメリットで、使える状態になれば私のもっている充電式ドリルでは最強になる。SDSプラスというコンクリート関連でよく使われるドイツ由来の規格だが、チャックをつければ普通のドリル刃も咥えられる。
単純にコンクリートに穴開けをするなら、手持ちの100V振動ドリルの方が能力が高く、あとから落札したハツリのできる100VハンマードリルDH28PCY2が既に来ているので、半端な位置にある。メリットは能力の割に比較的小さく充電モデルであることなので、電源が取りづらいところに手軽に持ち出して使用する機会があるかどうかだ。
いろいろ見てみると、マキタのHR244Dという機種が、充電でハツリもでき、良かったらしい。やや高いが。
無事落札したものの出品者からは何の連絡もなく、キャンセルになる期限のギリギリに近いタイミングで発送連絡をして送ってきた。
この埼玉の何とか貿易という業者は大量に工具などを引き取り、ろくにチェックもせず【通電確認。詳細な動作確認をしていないのでジャンク扱い】として出品している。電源ランプ等が光れば通電確認としていて、そのままでは使い物にならないボディの重要な部分が割れている丸のこを注釈を一切つけずしれっと出品していたりして、リスクを全て落札者に押しつけている。当然トラブルにもなる。余り良い業者とは言えない。
私の落札した個体はどうか。
(↑出品時に掲載されていた写真)
今日届いたのでチェック。
バッテリーをつけるとライトはつくし、バッテリー残量も表示される。
しかし、トリガーを引いても全く回転しない。
見事なジャンクだった。これでも【通電確認済み】とのみ書き、全く回らないことには一切触れないのだから悪質だ。
さて原因究明。
分解しつつ清掃を行い、原因を突き止めていく。
カーボンブラシが片方はなく、もう片方もワイヤーやスプリングがなくなったカーボンのかたまりのみが入っていた。これでは回るわけがない。ブラシホルダーも黒く汚い。よく見るとホルダーの金属が変形している。
テスターで電圧を測ると、ブラシホルダーに電圧がかかっていない。
となると、
・トリガーの故障
・制御基板の故障
・パワーMOSFETの焼損等不良
が考えられる。
基盤とパワーMOSFETはトリガースイッチやバッテリー端子など他の部品も含めて一体部品としてパーツリストに載っている。交換となるとMonotaroの工具10%引きを活用しても8000円台で結構高い。最近はこういう一体部品のものが多いので修理費がかさみやすい。
このモデルはカーボンブラシモデルなので制御基板はないと思っていた(故に修理が容易だろうと)が、パワーMOSFETをつかっていて明らかにモーター制御を行っている。類似機種が制御無しだったので意外だった。
BLモーターを導入する直前のモデルで、照明ボタンやバッテリー容量ボタンがある、やや半端な時期のもののようだ。
なお、
パワーMOSFETはルネサスのN0602Nで、Digikeyでⅰ個316円だ。2個使われている。
***
取りあえず内部の清掃を進め、更によく観察する。
モーターのコミュテーターに変形があることに気付く。何かかたく鋭いもので突き、力を加えたらしい。
取りあえず凹凸を平滑にし、磨き上げておいた。
おそらく、動かなくなったときによくわかっていない人がカーボンブラシをいじくり、何かを突っ込んで傷口を広げたのだろう。
各部チェックをし、トリガーの動きの改善を図ってみた。
基盤にもMOSFETにも異常らしきものを目視できなかった。テスターを当ててどこまで電圧が来ているかを調べていくと、トリガーまで電圧がかかっていることが確認できた(最初はかかっていなかったようだったのだが)。
ならばと再度ブラシホルダーを調べてみると、トリガーを引くと電圧がかかり、正転逆転を引き換えると極性が反転することも確認できた。
おそらくはトリガーに不具合が生じていたが、メンテナンスで改善したものと思われる。今のところ基盤アセンブリの交換は必要なさそうで助かる。
モーターが回る状況になったが、カーボンブラシがないので回転を確認できない。コミュテーターの変形がどう影響するかも気になる。
明日、ホームセンターを回って探してみることにしよう。
きちんと回るだろうか。
清掃、内部メンテ(機構部は未メンテ)後、組み立てた状態。
塗装のハガレはなく、傷も少な目でまあまあだ。
HiKOKI カーボンブラシ100 999100
Posted at 2022/11/05 00:54:55 | |
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