ツイッター他でばかばか流れてきたのがMrs. Green Appleのコカコーラタイアップ曲『コロンブス』のMVの大炎上。
早速レーベルとコカコーラは該当コンテンツを削除したわけだが、金出してつくらせていた以上、中身を知らなかったはずがない。
問題の核心は、コロンブス、ベートーベン、
エジソンナポレオンという歴史上の偉人(と彼らが信じる)が500万年以上前に刻を超え、類人猿たちと出会い、音楽を教えたり人力車を引かせたりしながら仲良くなり、ホームパーティーをすると言う内容が、コロンブスの現在の評価を全く踏まえず、しかも先住民を未開の猿として描き教え指導するという植民地主義を肯定しているとしか見えない点にある。
ただ、歌詞の内容からは特段そうした差別のようなものはなく、曖昧にコロンブスなどの単語が使われるだけで意味もはっきりしない。もしかすると、現代文明に対しての問題意識を込めているかもしれないが。そうこうする間に内容はラブソングになってしまう。曲の流れに合いやすい単語を並べて歌詞を合わせているだけかもしれない。
ただ、MVのほうは映像表現だけに明確で、多くの指摘の通り完全アウトである。ましてやイエロー・モンキーと差別されてきた日本人が名誉白人意識で植民地主義の白人を演じてしまうのだから処置なしである。
現代の日本でこういうものがノーチェックで出てきてしまうことに驚愕する。
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ネットを見ていると、MVについては猿の惑星のオマージュであったり、他の映画のワンシーンを引用していたりすると言う指摘もあり、そこから深読みをするものがあったりもする。思想的なものを読み取るものもいるようだ。
問題のMVに、崩れたがれきの上にVABELの文字があるシーンがある。
おそらくMVをつくった人間は、この世界が文明崩壊後の世界で、人間が猿に戻ってしまったぐらいの意味づけをしたのかもしれない。500万年以上前に一度文明が滅びたとか、実は何百万年後の世界だったとかという裏設定をした気配がある。3人が訪れた島に現代的な家や調度、楽器を持ちテレビすらある。高度に発展した文明の主に猿が成り代わっているのか、その主が猿になってしまったのかの設定は明らかであろう。
これはミセスの大森が「類人猿」、「ホームパーティ」という単語を提案していてその映像化である訳だが、つじつま合わせに映像をつくる側は裏設定をしておかしくない。
「猿の惑星」は人類文明崩壊後、猿が知能を持ち衰退した人類を支配をしている世界であるから、位置づけは全く違い、せいぜい道具立てを借用した程度でオマージュと言うにはかなり違いがある。
猿の惑星は原作の著者が日本軍の捕虜となった経験があり、それが背景になっている。日本人を猿に見立てて、アメリカ人が虐げられる構図を人類に当てはめている。物語では人間同様に振る舞う猿に人間の本質をみているのである。
一方、MVでは猿は未開人、コロンブスによって植民地化された先住民のような存在そのものにしか見えない。その猿にものを教え肉体労働をさせた上で仲良くパーティーというのは支配側の視点だけでできた傲慢な物語に見える。
劇中テレビに流れるものも映画のワンシーンの引用らしいのだが、これについては現在mvが公開中止でよく分からない。
映像を撮る人間であればいろいろなものを見ているだろうし、自分がつくるものに色んなものを入れ込みたくなるだろうことは、自分も創作をやって来人間なのでよく分かる。映画のワンシーンの借用がいくつもあっても不思議はない。
ただ、そこに何らかの思想的背景があり、ミセスは何も分からず利用されたみたいなことはちょっと考えられない。あの業界はノリだけで動き、何も考えてないと言っていいぐらい思想的には空虚だ。動いている企画に下手に意見などすれば負債発生の責任をとらされたり干されたりされかねないし。
根拠の無い必要以上の深読みは陰謀論でしかない。
Posted at 2024/06/15 16:25:40 | |
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