
マイクロソフトやアプリ開発者にすっかり見捨てられた感のあるWindows Mobileを載せたWillcom(SHARP) Hybrid W-ZERO3(以下ハイブリ)に限界を感じ、あわよくばWindows7を走らせているウルトラモバイルPC Willcome(SHARP) D4(以下D4)の置き換えも念頭に置きつつ、東芝レグザ アンドロイドタブレット AT3S0(以下レグザ)を購入した。
勿論、この機種はWifi端末なので、何らかのWifiルーターが必要である。
1.初期印象
レグザは薄く7インチで手頃なサイズの端末。よくある10インチのタブレット端末はほとんど
まな板で携帯性に疑問があるが、7インチはメモ帳サイズで持ち運びの本命だろう。400gを切る軽さも携帯性を高くしている。
ただ、7インチでは上着の胸内ポケットには入らない。D4は大容量バッテリーに入れ替えていることもあって厚いが上着の胸ポケットには入る。
画面はさすがレグザを名乗るだけあって美しい。動画も美しくスムーズに表示する。スクリーンサイズは1280×800なので、情報量が多く、PC用サイトを表示させても必要十分と感じる。
アンドロイド自体が初めてであり、多少慣れが必要だったが、使っているうちに使い方が分かっては来た。同じWindow UIのOSでありながら、Windowsとは操作の考え方が違う部分もある。携帯端末OSであるWindows Mobileの方に似ているかもしれない。
ハイブリと比較すると、すべてが大きくスムーズで扱いやすい。
ハイブリのOSであるWindows Mobile6.5が、iPhoneの影響を中途半端に受けた状態のOSで、タッチパネル操作ができるがOSとして統一されたインターフェースではない。このため、アプリケーションソフトによってタッチが使えたり使えなかったりとばらばらで、使いやすいとは言いがたい。一部には非常にスムーズなタッチ動作が出来るアプリがある一方で、多くはタッチパネルをマウスの置き換えにしているだけなので、操作しづらいことが多い。
Windows7も同様だ。
それに対してアンドロイドではすべてのアプリがタッチパネルが有効に使えるインターフェースになっていて、マルチタッチも使えるため非常に直感的な動作をする。また、アプリやOSが非常に軽快でストレスがない。
電源オンからのスタートやスリープからの復帰も早い。アプリを使っていて何かの作業で待たされる場面がほとんどない。
バッテリーも6時間程度は保つようで、スリープを併用すれば1日持って歩いても使えないことはなさそう。
仕事の往き帰りにネット端末として使ったり音楽や動画を楽しむには十分だろう。
2.気になる点
■ストラップホールがない
ストラップホールがないのでストラップがつけられない。
持ち歩き時に落下させたり、電車で眠って落としそうだ。
端末にカバーをつけて、そちらにストラップをつけるとかするしかないだろう。
D4にはあり、このマシンの使い勝手をよくしているのだが。
■電源コード
・本体USB端子での給電できない。
ドックコネクタからのみなので、別売りのドックをつかうか、付属のドックコネクタ接続の長く太いUSBコードを使う必要がある。出先で充電したい場合はこのコードを持ち運ばねばならず,携帯性に難がある。
2Aの電流を要求するため、0.5A規格のUSBからの給電は難しいという判断があるのかも知れないが、一方ドックコネクタ経由でも電源はUSB端子に接続する(ACアダプタにUSBコネクタがついていてそこに差し込む)ので、一貫性がない。電源系統はドックコネクタに集中させるという発想しかなかったのではないか。
しかもこのコードが東芝純正品としてもサードパーティーからも発売されておらず、もし断線等があれば端末がただの板になってしまう。
カカクコムのクチコミに電源ケーブルの型番があり、ビックカメラ横浜店で取り寄せたとあったのでビックカメラ有楽町店に依頼するも
「メーカーに問い合わせるも適合不明。取り寄せで記録されるはずの型番が記録されておらず、他店での取り寄せ実績不明」
とのこと。
東芝パソコンシステムに取り扱いがあり、問い合わせると
>お問合せの型番:PA3S035DNASに合いますUSBケーブルの件ですが、
>部品型番:G80C0002B114016の適合で間違いありません。
との返信あり。ただし、在庫なし。入荷目処がなしとのこと。
近いうちに再度発注をかけておくつもり。
(ちなみに、US東芝ダイレクトではドックとAC電源、電源コード本体ケースのセットが49.8ドル。日本ではドックだけでも4200円。ケーブルが2100円。AC電源が5000円ぐらい。US東芝ダイレクトが海外発送してくれるなら買うのに)
■無線LANやBluetoothについても難がある
・無線LANがad-hocモードに非対応
このため、ハイブリ等のPHS端末にWifiSnapというソフトを入れて無線ルーターとして使うことが出来ない。
端末のroot権限をとって手を入れれば不可能ではないらしいが、そこまでは出来ない。
・BluetoothにPAN/DUNプロファイルがない
このため、PHSなどにPAN接続もDUN接続も出来ない。内部に回線を持つわけでもないのにネットワークとの接続が無線LANのみとはちょっと考えられない。
対応はHID、A2DP、AVRCP、OPPのみ。
■USBにはホスト機能はない
クライアントとしてPCにつなげばデータのやり取りはできるが、自身がホストになってキーボードをつなぐことは出来ない。USBメモリーもつなげられない。
■静電容量式タッチパネル
安価で軽く触れるだけでも反応し、iPhoneをはじめとする今日の携帯端末の標準とも言えるタッチパネルだが、これまでW-ZERO3シリーズやD4で慣れた接触式と比較するとどうも使いにくいと感じることが多い。と言うのも、タッチパネルが反応するのは静電容量変化が検知できる指であり、爪や先のとがったものではない。細かな操作は苦手で、入力ペンを使いたければ専用のペンを使わねばならない。
■キーボードレス設計
タッチパネル端末の多くは物理キーボードを持たない。
タッチパネル入力でもパネル自体が大きいので打ち間違えは少ないが、物理キーボードに比べると遙かに劣る。
ATOKを使えば学習内容もPCと共有できるが、効率は上がっても物理キーボードの効率には全く及ばない。
どうしてもという場合はBluetoothキーボードを使うことになるが、ハイブリやAdvanced W-ZERO3[es],D4のように電車内で立ったまま入力するようなことは困難。移動中はタッチパネル操作になる。
■バッテリーが交換不可能
まるでiPhoneのようだ。メーカー送りになる。
数年間しのいだら、新機種に買い換えが前提だろう。
携帯端末のバッテリーなど時間が経つと手に入らないし。
■アンドロイドアプリの対応状況
アンドロイドは元々がスマートホンOSであるので、アプリもスマートホン用に出来ている。タブレット端末では高い解像度が生かせなかったり、動作がおかしいものがあるようだ。
また、あくまでスマートホン用に出来ているため、機能も簡易に抑えられていることが多い。Windows PCの置き換えが出来る分野は限られている。
自分の場合はかなり残念なことが多い。
ただ、純正のGoogleマップやナビは携帯端末を生かす設計になっており、かなり使える。
Windows Mobileでは提供されていなかった機能が使える。
・ブラウザ
標準のものだけではなくFireFOXやOperaなども使える。OperaのLink機能でPCとブックマークなどの共有が出来るので便利。
PC用のサイトのかなりのものが見られるので、Windows Mobileでは見られなかったサイトもOKなものが多い。
機能はほぼ同じOpera mobileでもアンドロイド版の方が遙かに使い勝手がよく感じる。
・メーラーが限られる
アンドロイドではGMailの使用が前提となっている。k9mailのような他のメールサーバーのアカウントを追加できるアプリもあるが、振り分けに難がある。Imapでサーバーと同期させ、サーバー側で振り分けても、メーラー自身には振り分け設定がないらしい。pop3ではただだらだらとメールが流れてくることになる。
GMailはつかっていない(Googleがメールの本文をスキャンしてデータを取っているので気分が悪いしどんなリスクがあるか分からない)ので、どうもよくない。
3.まとめ
ハイブリの電話以外の機能はすべて置き換えられるだけでなく、遙かに使い勝手が向上する。GPSの使い勝手はハイブリの方が上のようだが、アプリの機能や使い勝手、対応アプリの数を考えると、ハイブリを使い続けるメリットはない。
なにより見やすく動作が軽く操作がしやすい点でレグザの圧勝である。
一緒に持ち歩くならハイブリではなく、物理キーボードを持ち感度もよくバッテリーの保ちもよいAdvanced W-ZERO3[es]の方が良さそうだ。
D4との置き換えについては【いまのところ全面的には不可能、部分的にのみ可】と言える。PC用アプリと同様な機能を持つアプリがあればよいが、そうでない現状ではとても置き換えられない。
ただし、WEBはかなり見られるので、PCアプリと同様な機能をもつアンドロイドアプリがなくても、サイトの機能で置き換えられるケースはある。
また、D4の物理キーボードは大量の入力には向かないが立ったまま入力が出来る点で非常に優れている。これをレグザ+外部キーボードで置き換えることは出来ない。
画面が5インチ1,024×600のD4で、タッチパネル対応が一部に限られるWindows7PCでは操作が快適とは言いがたい。7インチと見やすく操作しやすく邪魔になりにくいサイズでタッチパネルに最適化されているアンドロイド端末はかなり快適だ。
休日に外に出たときに持ち歩くには、レグザの方が遙かにメリットがある。ただし、丸一日使い倒すには外部バッテリーが必須になる(注)。
(注)
XP18000では問題なく充電できている。