世間では、「高校生物からメンデルの法則が消えた」と騒がれた新生生物・「生物基礎」だが、テストを採点していると改めて新しい時代に入ったことを実感する。
まさか高1の生徒に、免疫機構のくわしいしくみや、ディフェンシンなんて対細菌タンパク質の名前を答えさせる時代が来るとは思わなかった。以前なら理系の生徒だけが学習する生物IIでも教科書では突っ込まなかったレベル。樹状細胞なんて生物IIでは出てこず、マクロファージがその役割をするものとして紹介されていた。しかし、現代では樹状細胞の役割がマクロファージを超えるものとして重要視されているのだ。
この後学ぶ4単位の生物では更に突っ込んだ内容になっていくことになっている。
本当に今年から数年の授業は、生物教員に対するリトマス紙の役割を果たすことだろう。
旧態依然の内容を、実際とは異なる単純なルールや暗記の仕方をばかりに特化して繰り返して生物を教えてきた教員にとって、この大変革はかなりしんどいものになろう。
正直、(教科書の組み立てにもよるが)生物基礎のとっかかり部分は冗長で授業としてはやりにくいし、すぐかなり細部に突っ込むのでやり方を考えないとついて行けない生徒も出るだろう。
だが、現実社会における生物分野の取り扱いレベル(テレビや新聞報道レベル)と高校生物のレベルに相当な格差が生じてしまっている以上、教育内容の方をアップデートせねばならないのは当然のこと。それがなかなか進まず、むしろ後退してきた。特に文系はとんでもなく低いレベルでもう二度と生物学に触れることがなくなってしまっていた(物理学についてはもっとひどい)。
それ故に、私自身は大改革を支持する。細部は見直すべきところもあるかも知れないが。
Posted at 2012/12/16 20:07:07 | |
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