
本日宝塚の舞台を見てきた。
『ベルサイユのばら フェルゼン編』
ご近所の夢華あみさんに声楽を教えていた先生から声をかけられて、チケットを購入した。もちろん一度夢華あみさんの出る舞台を見てみたかったのがもっとも大きな理由。
ミュージカル自体は自分から観に行くほど好きなわけではないが、機会があれば観て楽しめるという自分。当然宝塚は初めてだ。背中を押されない限り観に行くことはなかったので、いい機会だったと思う。
京葉線一本で日比谷にある東京宝塚劇場まで行けるので、便利と言えば便利だ。もちろん東京駅地下ホームから少し歩くが、大した距離ではない。
事前に夢華あみさんがどのシーンに出るかはメールでもらっていて、印刷しておこうと思っていたのだがすっかり忘れて、タブレットを開いて確認。結構何カ所も出るらしい。
さて、劇場到着。
私の席は2階のS席。開演40分前ぐらいに行ったのだが、まだお客はまばらで、オーケストラピットからは楽器の音が聞こえていた。
緞帳は唐草模様のようなデザイン。
文字が隠れているのが分かったが、一番右はどうしても分からない。「S」は分かるがあとは何だろうか。
あとで調べたら、左から
FLOWER(花組)、COSMO(宙組)、STAR(星組)、MOON(月組)、SNOW(雪組)
であると。成る程、そういうことだったか。
お客は99%が女性で、結構年齢層は高い。
男性は夫婦できているのかと思いきやからずしもそうではなく、お一人の方の割合が高そうだった。
女性の親子連れが目立つ。
客電が落ち、いよいよはじまる。宝塚は電飾が派手だ。
音はオーケストラピットも含めて全て電気音響を介している。生音の舞台が中心の自分はなんか違和感があるが、ミュージカル系はみんなそんなものだ。双眼鏡でよく観察すると、胸元にピンマイクをつけているのが分かる。他のミュージカルだと肌色のマイクを顔・頭につけているものもあるが、衣装にピンマイクなのがちょっと不思議な感じ。もっともピンマイクの方が顔のまわりに見えないのでいいのだろう。中にはかつらに仕込んで全然分からないようなものもあるらしい。
台詞のある出演者全員がつけているので、音響のオペレーションは大変そうだ。もっとも我々の舞台のように一つのマイクを使い回すようなことはないので、変な混乱はないだろうけれど。
舞台は当然ながら、照明を多様に活用し、見事だった。
そして、意外にも結構のめり込んで三時間のステージを見てしまった。
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もともとは舞台演劇は得意な方ではなかった。わざとらしい台詞や芝居がかった(?)立ち居振る舞いが好きではなく、子供時代の自分はテレビで見る舞台演劇には違和感ばかりを感じ、TV[ドラマや映画の方がはるかに取っつきやすかった。
ところが演劇も悪くないと思い始めたのは、文化祭での生徒の舞台を見てからだ。「PUCK」というこれも宝塚の舞台をうまく短くまとめてかけていたのだが、原作の巧みさもあって結構のめり込んでみてしまった。このあたりから舞台演劇系に違和感を感じなくなり、『こういうものだ』として楽しめるようになったのだ。大人になったのだろう(?)
やがて地元でいくつかの舞台に関わっていく下地にもなった。
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宝塚はミュージカルであり、唐突に歌や踊りが展開する。現実にそんなことがあれば不自然きわまりないのだが、それが舞台では目玉でもある。そこではただ歌って踊るだけではなく、オケピでの生演奏、照明や舞台装置の様々な効果、音響の全てが相まって、すばらしく高いレベルの舞台になっている。自分は裏方経験があるだけに、そういう舞台を創る人たちのちからをとても強く感じて、よりいっそう楽しめた。ほほう、ここではこういうやり方をするのか、などと感心してみていた。
照明と舞台装置の使い方で圧巻だったのは、本編最後、マリーアントワネットが、断頭台へ続くであろう階段を上っていくシーン。
手前にフェルゼンがいて、その後ろには鉄格子を表していたかすみ幕があったが、その後ろに照明が当たったとき、斜めに細く伸びる階段が見え、そこにマリーアントワネットがいて、やがて階段を上っていった。
ところが本編終了と共にかすみ幕の後ろがどういう状況なのかが判明する。この階段は宝塚名物の電飾付きの幅広い階段だったのだ。その一部にだけ照明を当てることで、細長い斜めに伸びる階段に見せていたのだ。この演出は見事というほかない。
本編からショーのパートに入ると、舞台は一変。それまでの暗く重苦しい雰囲気が明るく派手派手の電飾とラインダンスに変わった。ここまで見事に転換できるとはと驚いた.
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さて、夢華あみさんだが、いろいろな役で出てくる。しかし、今回はフェルゼンの妹という役で、二つのパートで多くの台詞を喋っていた。ベテラン勢に引けをとることなく、堂々としていた。
何しろ、新人公演ではマリーアントワネット役。実力を認められている人だけに、不足感は何もない。
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宝塚の舞台を見終わったわけだが、また機会があれば見てみたいと思う自分がいる。
今回はベルばらという、内容は大づかみに知っている(原作はさすがに読んでいないがアニメ版は見た)ものだけに親しみやすかったと言うことはあるだろう。
しかし、舞台としての迫力、圧倒的な表現に感銘を受けた。プロが創る舞台はすばらしい。それ故それにすっかり浸かり、また見てみたいと感じた。
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正直言って、役者のほとんどは知らないし、化粧で元がどんな顔かも分からないほどになっているので、役者の方にはあまり興味はわかない。そのあたりがいわゆる宝塚ファンとの違いになっているのだろう。純粋に舞台芸術を楽しむ部分しか自分には分からない。役者のことが分かるようになればぐっと楽しみ方は多様になるのだろうが、自分はあんまりそう言うことにはなりそうにない。
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幕間にホワイエに出てみると、女性の長い列ができていた。何かと思えば女性トイレに並ぶ列だった。

面白いもので、ここのトイレは入り口と出口が別なのだ。圧倒的に観客が女性が多いだけに、トイレ問題は充分考えられたはずだ。
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宝塚はミュージカルとは言え独特の文化を持っている。舞台中に何度も拍手が起きるし、観客も少し独特な印象を受ける。自分がよく見るクラッシックのコンサートの文化や観客の行動とは随分違うので少し驚く。
女性だけの舞台で観客もほとんどが女性。
それ故男性には少しハードルが高いが、こういう文化もあるのだと一度経験しておくのはいいことだと思う。これまで動画で宝塚の舞台は何度か見てきたが、やはりその場にいないと独特な空気感までは分からないものだ。
Posted at 2013/07/06 22:36:14 | |
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