先週のイベントの裏だったのでみられなかったNHKスペシャルの録画をようやく見た。
『至高のバイオリン ストラディヴァリウスの謎』
というバイオリンの番組。未だ誰も超えることができないストラディバリ製作の楽器と、それを追う人々を紹介した番組。

個人的には、おそらく意外にシンプルな経験則がそれを支えているのだろうと思っていて、ニスなんかじゃなく、制作時のちょっとしたことが効いているのだろうと思っていた。
明らかになってきたシンプルな方法の一つが、板を叩いたときの音がどこでも均一になるように板の厚みを調整すること。木材は不均一な材料なので当然だと私は思っていたのだが、ストラディバリウスコピーを寸法から忠実に再現しようとするとそう言う発想にはならなかったらしい。
近所のバイオリン好きの人とのやり取りでも出てきたのだが、究極の姿をストラディヴァリウスに求めすぎて、そこから踏み出した方向がないこと。もしかしたらそう言う方向の方がストラディバリウスを超える楽器にたどり着けるのではないかという気がするのだが。もっとも新たな形を探るとなれば試行錯誤は相当なものを必要とするだろうが。
**
番組の中で取り上げていた楽器が出す音の指向性の話。まるで初めて明らかになったかのようなことを言っていたが、自分は当たり前のことだと思っていた。

(無響室での、指向性の測定の様子)
というのは、バイオリンをステージで弾いてもらうと、明らかに向きによって聞こえ方が異なるし、演奏者自身もこういう音が飛ぶ方向、指向性があるとかと言っていた。
しかし、番組で紹介した研究に依れば、ストラディバリウスでは指向性が強いが、他のモダン楽器では均一に音が出ているという。
自分が接したステージでは皆がストラディバリウスを弾いていたと言うことなのか?
実は、自分の手持ちの楽器でも指向性を意識していた。例の山形の旧家から出たノンラベルの楽器は、極めて指向性が強いのだ。
高音の弦(e線)の音が弱いと思っていたが、壁に向かって弾くとまったく印象が異なっていた。そこで持ち方を変えてバイオリンに向かって耳を指板側にしたりテールピース側にしたりと移動させると明らかに音が違う。指板側に強い指向性があるのだ。まるでストラディバリウスだ。
他の楽器ではそういうことがないので高い音が演奏者の耳にそのまま強く聞こえる。

ノンラベル君、ただ者ではないのかも知れない。
Posted at 2013/11/10 17:41:03 | |
トラックバック(0) |
楽器 | 日記