医師は相当に給与が高い。一方で日本の医師(勤務医)はまさにブラックとも言うべき状況で酷使されている。
資料をつけているので見て欲しい。
http://pediatrics.news.coocan.jp/my_paper/nichii2010_4.pdf
http://www.huffingtonpost.jp/koichiro-yuji/post_4867_b_3363253.html
年間給与平均が1228万円だが、国際比較すると決して高くはない。一方で実態としての勤務時間はかなり長いことが分かる。過労死認定水準を多くの年齢層で超えている。
一人で対応せざるを得なくなっている産婦人科医や小児科医の負担は極めて重く、急変時には真夜中でも呼び出しに対応せねばならない。
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以前、検診時に病院のロッカールームで医師と雑談をしたことがあるが、医師の勤務は厳しいのでは?との問いに意外な答えが返ってきた。
「検査病院は定時に帰れ、とても楽です」
基本的に患者の診察とは違うので、診療時間が限定できる。業務の多くは健康な人の問診であり、負担もかなり少ない。
それでいて医師の給与なのでそれなりに高い。
以前は警察病院だったかに勤めていたそうだが、夜中でも解剖が入ることがあって大変だったとか。
この医師はもしかすると正規の勤務先を持たずアルバイトだけで食いつないでいる人だったのかも知れない。医師のアルバイト先は非常に多く単価も高額で、かなりの年収が得られるらしい(さすがに家族は安定な正規勤務を望むらしいが)。しがらみに縛られることもなく、勤務時間も限定しやすいのでこのような生き方をする医師もいる。
医師の養成コストから考えるとどうなのだろうか。
医師を養成するコストは、私立医大の学費ベースでは3000万円程度と言われる。実際には税金から負担する社会コストもかかっている。
一流企業(三菱東京UFJ)に就職する場合と高いコストを払って医大に入学し医師になった場合を比較すると、下の資料によれば
1 医師の収入と医師養成のコスト (春永)
http://sky.geocities.jp/kunippi7/seminar/yoshida_ch5_2010a.pdf
(引用ここから)
2006 年時点:
三菱東京UFJ銀行員の年収――39 歳で 1,115 万円;
同時点で同年齢の医師の収入――30 代後半と 40 代前半の平均で 1,232 万円。
→ 銀行員も医師も、年間総労働時間は同じだとし、この年齢における収入の差で前年齢における収入の差を代表させるとすると、医師と銀行員との収入の差は、約 120万円。
私立医学部に入学し医師になるためのコストと、有力経済学部に入学し卒業するためのコストの差を 3,600 万円だとすると、私立医学部進学の私的収益率は
120 万円/3,600 万円=3.3% となる。
→ この程度の収益率であれば、金銭的利益だけを考えのであれば、3,600 万円を株か不動産に投資したほうがいいかもしれない。
(引用ここまで)
としている。
しかも、医師の給与は一貫して下がってきているという。
少なくとも勤務医は世間が思うほどいい仕事ではないらしい。
一方、開業医はかなり多くの収入を得ている人が多い。3000万円程度の年収の人も珍しくない。教え子は私立医大に進学したが、その間もたびたび親子で海外旅行していたようだ。一般庶民とは全く金銭感覚の違う世界に住んでいる。
とは言え、開業医も、行き詰まって莫大な借金を抱えるケースもある(しかし、仕事は豊富で報酬は高額。やり直しがきくのが他の職種との決定的な違い)。
なお、医学部六年で四年制大学と2年の差がつくほか、低賃金に甘んじる研修医を経るので、勤務医として働く期間は短くなる。
一方でアルバイト収入は高額であるし、退職後も高額なアルバイト収入を得ることが可能である。諸条件が一般サラリーマンとはかなり違っていることには注意が必要。
Posted at 2015/12/23 15:05:44 | |
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