ロストジェネレーション、略してロスジェネと言われる世代がある。
就職時に就職氷河期にぶつかった世代、おおよそ今の40代後半から下で、団塊の世代退職前までに就職期を迎えた世代だ。
この世代は正規職に就けなかったものが多く、非正規で不安定な生活をしてきたものが多い。当然結婚が困難だったり子供を作ることをためらったりしてきた。
人口ボリュームのある団塊の世代の子供の世代(いわゆる団塊ジュニア)が含まれるが、見事なまでに団塊世代の孫世代には人口ボリュームが現れなかった。

この世代は十分な職業上の経験を積む機会を得られずに来ている。
昨今人手不足と言いながら、あいかわらず新卒採用重視で、ロスジェネ世代を生かそうという動きにはなっていない。この世代は事実上見捨てられていて、高齢者となったときには資産もなく、年金もおそらくまともに受け取ることができない。それがかなりのボリュームで存在するので、相当な惨状になることは間違いない。今ですら捕捉率を低くしていながらそれでも負担が高いと扱われている生活保護制度も、その頃にはほとんど機能しないだろう。
おそらく、貧困、生活苦を理由にした自殺率がうなぎ登り。社会負担となるこの世代を抹殺しろという議論すら出かねない。
すべてバブル崩壊後に構造改革することなく、コストカットだけで自分の立場を確保した当時のお偉いさんたちの責任逃れの産物である。今日大企業は減税、円安、賃金カットという本来の経済活動による利潤とは異なる部分で利益を確保し、積み上げている。
製品を作って輸出しても競争力がないのでかつてのようには売れない。無理矢理円安にすることによって利益の幅を大きくしても、輸出量は変わらないので仕事は増えない。むしろ賃金はカットされ、労働者は貧しくなる。そもそも円安によってどんどん資産も目減りしている。一方で海外ではインフレが進んでいるので、日本は海外からものを買うのも困難になってきている。中国製と言えば安いものだったが、中国の人件費が上昇し、製品価格も上昇している。貧乏な日本人はやがて中国製品も高くて買えなくなりかねない。
賃金が減り、円安で資産は目減りし、税金は増えたが、大企業、富裕層の利益に回ってしまっている。
お金が分配されないから内需は盛り上がらない。景気はよくならないが、大企業の利益だけは高水準という最低な状態になっている。
**
団塊の世代の大量退職期に、その半分のボリュームしかない新卒世代は引く手あまたになっている。
ロスジェネ世代は団塊の世代を温存するために割を食ったと言っても間違いではないだろう。
団塊の世代は戦争も知らず、高度経済成長のなか好景気で大きな利益を得て、バブルを謳歌し、バブル崩壊後もポジションを確保し、退職後も年金は支払総額より多く得られる。おそらく戦後もっとも恵まれたまま一生を終える世代になるだろう。
そのツケを背負わされたのがロスジェネ世代である。子供時代は豊かではあったがそのボリューム故過剰な受験競争に追いまくられて真の生きる力を身につけることなく偏差値で輪切りにされて、いざ就職しようとすれば職がなく、技術も経験も積むことが出来ず、資産もなく、最初から払った額より少なくしか受け取ることが出来ないことがわかっている年金も、おそらくそれ以上にまともに受け取ることが出来ない。その多すぎるボリュームとその下の少なすぎるボリューム故にまともな福祉も受けられない。
おそらく、このまま役に立たない邪魔者世代として切り捨てられて終わるのだろう。
無策、一部の利益確保の犠牲者だ。
本当に悲惨な世代だ。
これで戦争でも経験しようものなら、子供時代は豊かだったものの、ひたすら沈み続け、それ以上の地獄を見て一生を終わることになる。
Posted at 2019/01/17 13:02:42 | |
トラックバック(0) |
ひとりごと | 日記